中国の新版歴史教科書、弾圧運動など記述せず

【大紀元日本11月30日】今年9月の新学期から、中国上海市の中学校で歴史教科書の改訂版が使用された。改定された新しい歴史教科書は、経済成長や対外国貿易、政治の安定などを重点的に記述、多元化文化の尊重と調和社会の構築を強調し、歴史転換点と見なされていたフランス革命やボルシェビキ(旧ソ連共産党の代名詞)の重要度が下がり、高校の歴史教科書では毛沢東は国葬礼儀を紹介する部分に掲載される程度だという。米VOAの報道では、この改訂教科書について、米国在住の中国人学識者のコメントを伝えた。

米プリンストン大学の歴史学者・余英時教授は、中国の以前の歴史教科書を読んだことがあると述べ、「1950年からの内容は全部偽造の歴史である。ひたすら中国共産党とその革命の偉大さを唱え、毛沢東を賞賛し、中国国民の大黒柱で、命の恩人であるなどと筆を使い尽くしている。総じて言うと、宣伝が溢れ、しかも過去の歴史を抹殺、偽造、歪曲し、政治宣伝が充満していた。最新版のこの歴史教科書について注意すべきは、歴史上の王朝の盛衰や、帝王と将軍、宰相の記述、外部民族による侵略、例えばモンゴル人の侵略、満州人の侵略、および現代での共産党の様々な革命に一言も触れずに、経済の発展や、技術の進歩、社会の風習、対外貿易、政治の安定、多元化文化の尊重、社会の調和などを強調している」と指摘した。

また、余英時教授は、「この問題はさて置いて、どうしてこのようにしたのか、その根源を探ってみたい」と述べ、以下のように説明した。「中国の歴史教科書への批判の1つは歴史を抹殺した。歴史には共産党が犯したたくさんの重大錯誤が含まれている。例えば、大躍進運動や文化大革命などの弾圧運動は、数千万人に苦難をもたらした、しかし、そのことについて一言も触れていない。すなわち歴史の真相を隠ぺいしたものだ」と説明した。

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