中国臓器狩り:BBC「報道は事実に基づいている」、中国当局の捏造報道説を否定
【大紀元日本10月25日】英国BBCの北京駐在記者が中国の移植手術を行う病院の潜入取材報道し、臓器移植は中国では巨大産業と化している実態を伝えたが、中国当局の政府メディア新華ネットは、中国衛生部の報道官の発言を引用し、今回のBBCの報道を暗に批判し、捏造報道と非難した。この一件について、本紙記者はこのほどBBCの報道事務局に真相を確認した。BBCのスポークスマンは、今回の報道について、情報の事前審査を行っており、報道は事実に基づいていると回答し、捏造報道説を否定した。
BBCの報道では、同局の記者は、父親が肝臓移植を必要としている一般人を装い、天津市の移植手術を行う病院を訪れた。病院側から、適合する肝臓の手配は約3週間を要するとし、肝臓移植に掛かる全費用は約94,400米ドル(約1100万)で、臓器の出所は死刑囚であるとの説明を受けた。
一方、中国当局の政府メディア新華社のホームページ「新華網」では10月10日、中国衛生部の報道官の発言を報じた。
この報道官は、「一定の影響を持つある海外メディアの記者が患者の家族と扮し、中国のある病院で状況の調査を行ったと称しているが、その記者は、虚偽な人物を捏造、作り上げた発言を報じ、中国での臓器移植に深刻な問題が存在するとの結論を出した。非常に無責任な報道である」と非難した。また、その記者は放送の前日に、この報道官を独占取材し、中国で臓器移植の管理法を実施した後の状況などについて、説明を受けたが、報道の中で、この内容について触れなかったとし、「同メディアは、情報を捏造し、悪意にわが国の司法制度を攻撃している」と強く非難した。
捏造説について、本紙記者はBBC報道事務局のポール・ラスムセン(Paul Rasmussen)氏とスポークスマンを取材した。
BBCのスポークスマンは、「この報道は、中国の司法制度を攻撃するためのものではなく、単純に臓器売買に関する報道であり、これは民衆が非常に関心を持っている問題」と述べ、BBCの報道製作の原則は、事実と真相に基づき審査を行い、情報の正確性を最大限に追求することと説明、「中国の臓器売買に関する今回の報道の内容は、十分な事前審査を受けていた、事実に基づいている、我々はこの報道を支持する」と強調した。
一方、BBCの記者は放送の前日に、中国衛生部の報道官を直接取材し、中国で臓器移植の管理法を実施した後の状況などについて、詳細な説明を受けたという。報道の中で、中国での臓器移植の管理が強化されているとの内容に触れなかったと批判したことについて、大紀元のコラム作家・王一峰氏は、「BBCの記者は、中国当局の関係者から、中国での臓器移植の管理強化について、一時間以上も説明を受けたが、その後、患者の親族を扮して病院でおとり調査をした。報道の中で、中国当局の説明を伝えなかったのは、恐らく、BBCは中国当局の説明を真実と受け止めていなかったからだろう」と指摘した。
中国当局の矛盾する反論
中国衛生部(日本の厚生省に相当する)の黄潔夫・副部長が昨年7月に、国際保健機構(WHO)のマニラでの会議の席で、中国での臓器移植の提供者の大半は死刑囚であると初めて認めた。一方、臓器狩りの告発が出されてから3週間後の今年3月28日に、中国当局の秦剛・報道官は定例記者会見で、「中国で死刑囚が臓器移植のドナーとして使われているうわさは、真っ赤な嘘であり、中国の司法制度に対する悪意の攻撃だ」と発言した。しかし、9月27日のBBCの報道の翌日、秦剛・報道官は前回の発言を覆し、中国での死刑囚による臓器提供を認め、司法機構の審査を経て、死刑囚本人の同意を得ていると説明した。
中央指導部の発言が二転三転し、矛盾していることから、臓器狩りの疑惑は深まるばかりである。