中国:広西自治区でもヒ素汚染、抗議する住民に暴行
【大紀元日本9月18日】今月初めに湖南省で発生した飲用水のヒ素化合物汚染事故につづき、南部の広西チワン族自治区の賀州市でも、現地の飲用水にヒ素が厳重に汚染されていることが最近明らかになった。現地のある製錬工場は5年間に、周辺地区の果物農園や農作物、魚の養殖池、または住民数千人の飲用水などを汚染してきた。被害の農民たちは先月、工場前で平和抗議を行ったが、工場側が雇った用心棒から暴力を振るわれ、1人が頭や腕などに重傷を負った。
工場周辺に居住する農民の証言によると、同市にある「風帆」製錬工場は4年前に操業し始めてから、周辺約70万平方メートルの果物農園と竹林などの作物が汚染された。市環境保護局と、農業を管理する政府部門が調査を行い、今年5月に、周辺地区の農作物は汚染によって、「栽培価値がゼロ」との調査結論を出した。
また、工場が排出するヒ素を含有する工業廃水が、約14万平方メートルの魚の養殖池を汚染し、ヒ素の含有量は漁業養殖基準の2~8倍に達し、フッ化物の含有量は同基準の2~5倍に達している。毎日、大量の魚が死亡するため、いま、養殖池は完全に廃棄された。周辺に居住している数千人の農民たちが使用する飲用水の安全も脅かされているという。
そのため、現地の農民らは、工場側などに対し、改善策を求め続けてきた。法律専門家によると、当工場が周辺の農民にもたらした汚染による損失被害は、環境汚染の犯罪に準ずるため、刑法を違反することになるという。住民らは現地の関連政府部門に陳情し、加害者を法的裁きするよう要求した。
しかし、現地関係者の話によれば、当工場は、現地政府と緊密な裏関係を結んでいる上、闇勢力とのつながりも深く、そのため、農民らは再三に直訴したが、まったく問題が解決されなかったという。
現地の情報によると、工場側は2003年10月に、広西大学農業学院の関係者を招き入れ、当工場が排出したすべての金属元素は、許容範囲内にあるとの調査結論を出した。農民らは、この調査を行った関係者は、すべて買収され、サンプルの採取は非合法的であると主張している。
2004年6月、当工場は巨額の資金を投じ、地元の賀州テレビ局にドキュメンタリ映画の製作を依頼した。後に放映された映画の中で、現地の環境監測センターの責任者は、汚染問題に取り込んだ結果、同工場の汚染状況はすでに安全基準に満たしていると宣言した。
2004年9月、広西省テレビ局が現地の果物農園に訪れ、汚染の状況を報道する番組を製作したが、工場を背後から支援する政府部門の圧力で、いまだに番組が放映されていないという。
更に、昨年から、工場の経営者は闇勢力の用心棒を雇い、現地の抗議する農民を脅迫し始めた。今年8月18日、農民たちは工場の前で座り込みの抗議を行う際に、約30人の用心棒が現れ、公安警察と現地政府の幹部の目の前で、手に棒を持ち、農民らに暴力を振るった。その間、農民1人は頭などに大怪我を負い、病院に運ばれ緊急手当てを受けた。用心棒のリーダーは、農民代表を殺すなどと幾度も公言したという。
現在、被害を受けている農民らは、外部の関与を呼びかけ、当工場による汚染を一刻も早く止め、農民に損害賠償を支払い、工場の法的責任を追求し、現地政府の汚職を調査するなどと訴えている。
中国建設部は先週、中国全土の河川の90%が汚染されていると発表した。水源の欠乏と無秩序な開発のため、水質環境は全体的に低下しており、河川の枯渇や湿地の減少など水辺の生態系退化現象も中国各都市で見られる。また、有機汚染物、水質の改善、工業廃水による突発性汚染、農村地区の飲み水における安全などの深刻な問題も現れたという。