中国:B型肝炎、全人口の1割が感染
【大紀元日本8月21日】
広がる感染の現状
現在、中国では、B型肝炎感染者(HBVキャリア)が1.2億人に達している。これは中国全人口の約1割に相当する。HBVは血液の接触や性交渉でしか感染しないとされているが、どうして、これほど感染が広がっているのかについて、政府の衛生管理部門から、いまだに明確な説明がなされていない。病院の検査器械や治療器械(注射器など)により感染を広げた可能性が高いと考えられているが、今まで、政府部門は医療管理の不備を認めたことはなかった。
普遍的に存在する社会差別
HBVの感染経路の特徴は、一般生活上の接触、握手や抱擁、同じ食堂、事務用品、手洗いなどでは感染しないと考えられているが、近年来、悪徳薬品メーカは自社の薬を売るために、B型肝炎の危険性を過剰に煽って宣伝した結果、一般市民のB型肝炎に対する恐怖心を増幅させた。そのため、1.2億人のHBVキャリアの人々の中に、進学、就職、結婚、交際及び子供の入園などで差別を受けた人や、或いは差別されるのを恐れて強い心理的負担を抱えている人々も少なくない。
その実例として、2004年に河北経済貿易大学では50数人の新入生、山東省医薬工業学校では58人の新入生がB型肝炎キャリアを理由に強制的に休学、退学させられた。昨年、新疆大学の92人の新入生は、同じ理由で強制休学をさせられた。そのほかに、入社を拒否されたり、会社から解雇されたり、入園が拒否されたりした例が数多くある。
差別により生じた悲劇
周一超さんは1993年に浙江大学を卒業後、地方政府職員の採用に内定したが、健康検査時に、肝機能は正常であるが、B型肝炎ウィルスの陽性反応が出たため、採用が取り消された。激怒した周一超さんは、二人の人事担当者を刺した。その一人は重傷を負い、一人は亡くなった。これによって周さんは死刑を言い渡されて銃殺された。この事件によって、B型肝炎感染者に対する差別が、初めて社会問題として明るみに出た。
芽生える人権意識
これまで共産党国家では、人権という言葉の実質的な意味は何もなかった。生きていく権利さえ、共産党政権から賜わったものとされ、これ以上贅沢なことは考えることもしなかった。
近年、国際社会との交流が増えるとともに、中国人の人権意識が段々高まってきた。農民の土地徴収権益を守る運動、都市住民の住宅用地徴収権益を守る運動、一般市民の自由な信仰を守る運動とともに、1.2億人のB型肝炎感染者は、自分たちの人権を守るために活動し始めた。彼らは、「肝胆相照」というウェブサイトを開いて、互いの連携を呼びかけ、集団陳情、民事訴訟などの手段を利用して差別と戦い、すでに一定の効果を得ているという。関係者は、これにより、共産党政府はもうこの1.2億人の人権を無視し続けることは出来ないだろうと見ている。