中共の対日戦略、自国民を欺く「靖国問題」
【大紀元日本8月14日】80年代始め、胡耀邦氏は日中友好を推進、双方の関係はハネムーン時期に入ったが、‘90年代以降、日本と中共政権との関係が悪化し始めた。ここ2年で更に谷底まで落ちた。最大の分岐点は日台関係、日米安保、東シナ海の油田の開発、釣魚島の領土問題、日本首相の靖国神社参拝、日本の歴史教科書問題などである。
日本と中共の指導者は2001年以来一度も正式な会談が行われていない。2005年11月の韓国釜山APEC首脳会議と同年12月のマレーシア・クアランプール東アジア首脳会議では、双方の指導者と外相は対面を避けた。日本総務省は2005年12月21日、翌年1月にマカオで開催予定だった「第4回中日韓情報通信担当相会議」の延期を発表した。新華社が2005年12月18日に年末特別記事を発表、1972年から日中国交が正常化されて以来、日中関係がすでに最悪になったと指摘した。日本の小泉首相が靖国神社を5回参拝したことは、両国関係を難しくする主要な原因であり、日中関係の「絶縁状」だと考えられているが、1972年から1985年までの間、日本の首相は靖国神社を32回参拝したのに、中共はいかなる抗議も出していなかった。なぜ1985年以降、靖国神社参拝はこの様にデリケートな問題になったのか?
時事評論員・陳破暇氏は、「靖国神社はただ1つの表看板に過ぎない。対外的には、中共が問題にしているのは、主に日台親善関係及び、日米安保条約が台湾問題を共通戦略目標に入れていることである。国内では、中共はナショナリズムの看板をあげて、反日感情を煽ることをもって愛国心を発揚し民意をまとめようとしている。実際には、中国国内の対立は非常に敏感で、民衆抗争は非常に多く、中共政権は噴火口の上に座っているようなものだ。それゆえ中共当局は、反日のような時事問題を捏造し、メディアと民衆の視線を逸らせ国内の危機を回避しようとしている」と分析している。
米VOAは、米カーネギー国際平和基金会の中国担当主任・イミンシン氏の分析を引用し、「1989年六四事件以降、中共は六四弾圧後のマイナスイメージを改善するために、日本を敵対視することが、中共指導者のナショナリズムを利用する有効な手段になった」と伝えた。
それでは、小泉首相が靖国神社参拝の問題で絶対譲歩しない理由はなにか?
米国ワシントンの学者・石蔵山氏は「日本が中国に対して強硬な声が益々高まっていることには、日本なりの理由がある。日本は戦後の世界二等国民の身分を抜け出す必要がある。自身の文化、伝統、民族と国家に対する承認は、日本人が再びまっすぐ立って話をすることができるかどうかに関わっている。日本は『NO(ノー)』を言うことができる。それは米国に対するだけではない」と思っている。
石蔵山氏は「中共も敵を必要とする。共産主義意識は中国で徹底的に崩壊したことから、中共はナショナリズムや、国家主義で再び国家イデオロギーを作りあげる必要に迫られている」と述べた。
集団的自衛権、日米安保と「中共脅威論」
日中関係はアジア太平洋地域の安全保障に関わる。国際地域政治上、世界の衝突する六大注目焦点において、アジアは三つを占める。台湾、北朝鮮と南シナ海の問題はすべて、日中外交の焦点である。
米VOAが米国伝統基金会アジア研究センターの主任・ブルックス氏の観点を引用して伝えた。日中の争いは両国が東アジア地区での指導権争いの反映であるという。中共は「日本軍国主義の復活」を理由にして、日本は地域を指導する資格を備えていないと、アジアその他の国家を説得しようとする。日本は「中共脅威論」で反撃している。
日本外相・麻生太郎氏は昨年12月22日、情報公開をせず、核兵器を持ち、軍事支出が絶えず増加する中共政権は日本に対して「相当な脅威」になると発表した。麻生太郎氏は「この隣国は核兵器を持っていて、その上軍事支出は12年間連続二桁で増加している。その上情報公開をしないし、私はこれがすでに相当な脅威になったと思っている」と述べた。日本の閣僚級が初めて外部に対して公に「中共脅威論」を公表した。
米国ワシントンの学者・石蔵山氏は「外交上、古代中国は『遠国と結び隣国を攻める』という策略を取ったが、現在中共が採ったのは『隣国と結び遠国を攻める』というものである。米国防省シンクタンクが中共軍人の書いた書籍数百冊を収集・分析し、「米国は中共の敵の筆頭であり、中共のすべての軍事目標は米国を指している。その代わり、その他の隣国すべて、例えばロシア、東南アジアなどに対して、中共は懐柔政策を取る。ここ数年来、日米は政治的、軍事的な同盟をしっかりと結んだ。特に昨年2月、日米安保協議は台湾海峡の問題を日米の共通戦略目標に入れた。日中関係は迅速に悪化してしまった」と見ている。