広東省で農民約1万人、抗議運動=ワシントン・ポスト紙

【大紀元日本7月1日】中国広東省仏山市順徳区倫教街道の三洲村で、1万人近くの農民は、現地の地方政権による土地の強制徴収に激憤するあまり、現地幹部とその用心棒の身柄を拘束した。これまでの農民抗争への弾圧と違い、今回、中共は強制徴収した土地の価格を再評価すると許諾した。しかしその後、事態の解決の目処はまだ立っていない。農民の抗議運動は一時的に沈静化したに過ぎないとの見方もある。

ワシントン・ポスト紙の6月28日の報道によると、6月13日頃1万人近くの三洲村の農民は、農地の違法徴収に抗議するため、棒や硫酸を入れたビンなどを持って、現地の中共幹部とその用心棒を捕らえ、2日間拘束したという。

今回の農民抗争に対し、中共政権はこれまでの同様な事件への武力弾圧の手法を使わず、農民たちの一部の要求に応じ、強制徴収した300万平方メートルあまりの農地や、強制没収した不動産などの価格を公正に再評価すると許諾した。そのため、6月14日夕方、農民の抗争運動が一時沈静化した。

今回の抗議運動の農民代表が匿名の条件で、一部始終を明かした。それによると、三洲村の地方政権は90年代中頃から、農地を強制徴収し始め、鯉の養殖する大池が工業地域に変り、米畑は食糧倉庫などに建設された。現地幹部はあるときに、村で橋を建てると称し、農民たちから実際の建設資金の10倍にあたるお金を徴収し、しかも完成した橋は手抜き工事だった。6月11日から、不動産開発業者は強制徴収した農地に大型ビルを建設するため、200人以上の用心棒を村に駐留させた。積もりに積もった農民の激憤が爆発し、1万人近くの農民が集結、用心棒たちと衝突を起した。彼らは硫酸を入れたビンを持って、用心棒に棒を振り、石などを投げつけ、数人の現地幹部と用心棒たちを不動産業者の事務所に閉じ込め、翌日の午後、中共側と協議する直前にこの人たちを釈放したという。

中共政権は農地の再評価を許諾したとは言え、ことは順調に解決する目処は立っていないようだ。協議の一部内容として、農民は建設の中止を許諾した不動産開発業者と談判したが、業者側は強制徴収した農地への弁償金の支払いとは無関係、現地政権の管轄であると主張し、現地政権の幹部は農民との話し合いを拒否、村幹部のトップである党の書記は行方を暗ましている。

記者が現地政権の上級管轄機構である広東省宣伝部などに情況確認を申し入れたが、ことの経緯を知らないなどとコメントを拒否された。一方、現地メディアの記者によると、中共政権は今回の抗議活動の報道を禁止しているという。

そのため、今回の農地の強制徴収をめぐる抗議活動は、一時的に収まったに過ぎないとの見方が浮上している。

中共政権の国土資源部の部長・孫文盛氏は6月23日メディアの取材で、「全国範囲で遂行している土地徴収の案例の中で、3分の1以上は現地政権の幹部による違法行為がある」と明言した。中共政権の公表によると、2005年度に、全国計8万7千件の大規模抗争が発生した。約6分間に一件の抗議活動が発生する換算である。

(記者・馮静)
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