釈放された人権派弁護士、上海派の汚職内情を暴露

【大紀元日本6月15日】家屋の強制移転を強いられた上海市住民が3年前に同市と上海屈指の大富豪・周正毅氏を告訴したが、人権派弁護士・鄭恩寵氏は原告側に協力したため、中共政権に3年の懲役刑を課せられ、本年6月5日に刑期満了で釈放された。鄭氏はこのほど大紀元の取材で、上海派(中共政権の中で、前国家主席・江沢民をリーダーとする上海の権力派閥)は共産党を破滅させ、国を崩壊させる悪勢力と批判し、上海での中共高官と商人の癒着を暴露した。一方、鄭氏のスキャンダル暴露を阻止するため、同氏は中共による厳しい監視を受けている。

大紀元の取材で、鄭恩寵・弁護士は上海派の汚職証拠を大量に握っていると説明、中共の副首相で上海市元市長の黄菊氏や、その妻の余慧文氏、上海市書記・陳良宇氏、上海市市長・韓正氏などの汚職事実を告発、大金持ちの周正毅氏は、黄菊副首相の妻・余慧文氏が支配する「上海慈善基金会」に2千万元(日本円約3億円)を「寄付」したことを初めて暴露した。

鄭氏は、周正毅氏によりさらに大物の金持ちが上海の中共高官と結託しているとしたが、その大富豪の名前を明かさなかった。内部情報筋によれば、この人物は上海世茂集団の総裁であるという。

鄭氏によると、3年間の服役中に、彼は死刑囚と一緒に監禁され、人間の排泄物を入れる桶が枕代わりに、警官たちは度々ほかの犯人に彼を暴行するよう命令、目から血が出るまで殴られたこともあったという。一方、中共は執行猶予や、早期釈放などの条件を提示、彼に罪状を認めさせようとしたが、同氏に固く拒否されたという。3年間の拷問生活で、記憶機能に障碍が現れ、本人曰く地獄から生還した思いであるという。

釈放された当日、BBCや、米国VOA、大紀元、新唐人テレビなどのメディアが中共の封鎖を突破して、同氏への取材に成功した。一方、上海派のスキャンダルが暴露されるのを阻止するために、中共政権は厳密な監視網を仕掛けた。自宅の入り口付近に監視カメラが設置され、エレベータには3人、付近の住宅地には約60人の私服警官が24時間見張り、警察車両が6台以上も常駐している。直訴者百人以上が鄭氏の釈放を聞きつけ、自宅を訪れたが、全員警官に強制連行された。妻の身内を含め親戚一同の自宅電話が切断され、インターネット接続も封じられ、外部との接触が完全に遮断されている。戸籍所在地の派出所の警官は、鄭氏に取材を受けないよう警告し、出獄した5日後の6月10日に、鄭恩寵氏は再度勾留された。複数の海外メディアは現地の閘北区公安局にこの件について、調査や取材を申し込んだため、国際影響を恐れる公安当局は、当日の夜に同氏を釈放した。

鄭氏の弁護を引き受けた郭国汀弁護士は、当時の「中国弁護士ネット」で50編あまりの文章を公開し、無実を訴え続けた。郭氏によると、これらの多くの文章は海外のサイトに転載され、国内外で多くの人々がこの冤罪に注目し、約30近くの海外メディアが郭氏を取材したという。郭氏は「中共政権と司法部門は結託して、鄭氏を陥れるだけに留まらず、内情を知る人や、同情者をも迫害した」と指摘、鄭恩寵氏の案件を報道したため、全国で4人以上もの記者が監視され、上海の某メディアの責任編集者が免職処分に、記者も左遷された。ある新聞社は永久に閉鎖されたなどと明かした。郭氏自身も、鄭氏の案件を高裁、最高裁に上告し続けたため、最後に弁護士資格が剥奪され、経営する法律事務所も強制閉鎖された。中共の迫害から逃れるため、昨年5月に郭氏はカナダに脱出した。

(記者・李真)
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