欧州議会スコット副議長、人権派弁護士・高智晟氏に書簡
【大紀元日本6月5日】欧州議会副議長のエドワード・マクミラン-スコット氏はこのほど訪中し、中国の人権や政治状況を現地調査、「中共政権は10年前と同じ、依然凶暴残忍で、偏屈な独裁体制である。この国では言論の自由が存在しておらず、報道の自由が規制を受け、宗教の自由は完全に剥奪されている。政治と社会の改革は、論じる価値のあるものはない」と批判した。今回の訪中で胡錦濤主席に公開書簡で法輪功迫害の停止を訴えた人権弁護士・高智晟氏との面会は実現しなかったが、法輪功学習者二人と面会。しかし、このため学習者は当局に違法監禁されてしまった。学習者の解放・救援を国際社会に呼び掛けるとともに、六四天安門事件17周年の日、スコット氏は高弁護士に公開書簡という形で熱いエールを送った。
書簡の全文は以下のとおり。
高智晟弁護士へ:
5月20日から24日の間に、私が北京で2人の法輪功学習者と面会した後、彼らが行方不明となった件について、貴方が文章を発表されたことに、感謝致します。面会した法輪功学習者たちは、中共に監禁され、拷問を受けた時の体験を話してくれました。安全のため、私は今回貴方とお会いする事が出来ませんでした。私は、自分が法輪功学習者と面会した初めての欧米の政治家であることを知りました。それであるならば、私は更に多くの政治家がこのような行動を起すよう呼びかけたいと思っています。
後の調べで、失踪した牛金平氏と彼の娘さんは自宅に軟禁されており、曹東氏は依然行方不明だということが分かりました。現在、私は中共政権に対し、彼らの安全を保証するよう促しています。我々の面会を手配した米国人スティーブン・ジリオッティ(Steven Gigliotti)氏も、面会直後に中共に逮捕され、取調べを受けた後、国外強制退去となりました。中共政権のこれらの行為は、現在の国際社会において、まったく通用しないものです。
十年前、私は欧州議会の外交事務委員会・特別調査官に就任し、EUと中国の戦略関係の報告書を作成するため、中国とチベットを訪問しました。中国とEUの間では、貿易関係が発展し、それも非常によいことですが、民主発展の現状について、私は非常に遺憾に思っています。私は「政治関係は、貿易関係の発展と同様であるべき」と主張しています。貿易が盛んでも、政治の発展は依然停滞し、前進していません。EUと中共政権の人権対話は、始まった時から、形式だけのもので、まったく効果が得られていないのです。
EUの新しい民主と人権方案は2007年から実施します。このプロジェクトの欧州議会の報告人として、私の今回の中国訪問は中国国内での実施方法を調査するためであり、駐中国のEU外交官や、学者、非政府組織および個人と面会しました。
私の調査後の結論としては、中共政権は依然凶暴で、恣意的、偏執狂的な体制です。しかし、中国国民は智慧と自立の精神で、社会の発展と法制の健全化に伴って、将来必ず中国を民主の道に導くと確信しています。
中共政権下で監禁された人の悲惨な境遇は、すでに世界に伝わっています。しかし、中共が監禁している法輪功学習者を残虐に拷問し、臓器移植のために生きたままの人体から臓器を摘出するという恐ろしい蛮行が明るみに出たのはほんの数ヶ月前のことです。これは明らかにジェノサイド犯罪です。
『ジェノサイドの防止および処罰に関する条約』第二条には、「全体または、局地的にある国家や、民族、人種あるいは宗教団体を計画的に破滅させ、以下の定めに当て嵌まる如何なる犯罪もジェノサイド罪にあたる。例え、これらの特定グループのメンバーに対し、殺害したり、精神の健康を厳重に損害したりすること、これらの特定グループを完全または部分的に消滅させる目的で、故意に特定の生活環境を強いること」とあります。
私は貴方と同じカトリック教徒であり、この教育環境の中で人生を歩んできました。今回の訪問で、北京や、香港、台湾で法輪功学習者と接触しました。6月1日には、ヘルシンキで開かれた法輪功学習者が受けている迫害を描いた美術展を観覧しました。私は、法輪功は政治運動ではないことに気付きました。あえて定義するならば、法輪功は仏教の修練方法で、私が接触した信仰者たちは太極拳と類似する練習で心身共に受益したと語っています。
私が北京で面会した法輪功学習者は、彼らと彼らの奥さんが受けた監禁時の体験、特に残酷な虐待について、詳細を語ってくれました。彼らによると、睡眠の剥奪、様々な侮辱、懲罰手段などがあり、あるときには20時間にも及ぶ暴行に耐え続けたといいます。これらすべては彼らに法輪功を放棄させることを目的としています。ある法輪功学習者によると、彼は既に知り合いの法輪功学習者30人を拷問で亡くしています。彼らは臓器販売のことをも知っており、ある学習者は、臓器を摘出された後の友人と学習者の遺体を実際に見たと証言しました。
1999年、中共政権は法輪功への迫害を開始し、鎮圧を指揮する専門組織「610オフィス」を立ち上げました。法輪功学習者も迫害の事実と中共の犯罪を暴露し続けています。1千万人の中国人が中共とその関連組織に脱退することを声明したようです。
私は英国保守党のメンバーとして、大勢の欧州人民が共産党から自由になったことを目にし、肩の荷を降ろしたような心情でした。中共政権が犯した犯罪ー-大躍進、文化大革命、天安門大虐殺などー-により、8千万人の中国人が死に追い込まれました。私はすべての中共党員が、これら中共の犯罪を認識することを願っています。
今の状況からみると、中共政権の余命はもう長くはないでしょう。大規模な経済問題や、公然の行政腐敗、農村部での蓄積した不満、宗教信仰者の高まる勇気、若者のネット封鎖を突破する能力、これらはすべて変革の前兆です。
中国人民の友は思想や、宗教、集会を自由に持つことのできる地区にいます。しかし、中共政権に友はいません。私は共産党を軽蔑していますが、しかし、中国の変革は、欧州で一党独裁が終焉した時と同様に、平和的であることを望んでいます。
最後に、自由世界の政治家と同じく、このジェノサイド犯罪の責任を負う人たちに対し、警鐘を鳴らしたいと思います。
1989年の「天安門大虐殺」17周年に先立ち、私は欧州議会の同僚たちと全世界の自由選挙で成立された議会に対し、貴方が勇敢に暴露したこの(法輪功学習者への)迫害に注目するよう呼びかけました。また、私はEU諸国の駐中国のすべての大使館に対し、あなたのような人権保護者に支持と必要な庇護を提供するよう呼びかけています。未来は我々全員に公正な評価を下すはずです。
2006年6月4日