村上氏、インサイダー取引を全面的に認める=阪神株は売却へ

ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引疑惑で、M&Aコンサルティング(村上ファンド)を率いる村上世彰氏は5日午前、記者会見を開き、証券取引法違反(インサイダー取引)を全面的に認めた。すでに検察の事情聴取に対して罪を認めるサインをし、起訴は免れないとした。一方、今後は証券市場から身を引く姿勢を明らかにした。

<検察の聴取に対して罪を認めるサイン>

村上氏は会見で、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引疑惑について「罪を認めて甘んじて(罰を)受けるのがやるべきことと判断した」と語った。何らかのかたちで「起訴されることは間違いない」とも述べた。

すでに検察の事情聴取に対して、証取法違反を認める供述を行い、供述調書にもサインをしたという。

村上氏は、ライブドアがニッポン放送株式を取得する際に、幹部から事前に話を聞いていたことを明らかにしたが、ニッポン放送株の取得は、フジテレビとの資本関係のゆがみを直すのが趣旨で「決して(それで)儲けようとしたわけではない」と強調。しかし、「(ライブドアの大量取得を)聞いてしまい、知ってしまった。そのことは罪に問われても仕方がない」と語り、証取法に抵触するのはやむを得ないとの考えを示した。

村上氏はまた、証取法違反を受け、証券市場からの引退を表明。「証取法を犯した以上、今日をもって証券市場から身を引く」と語った。ファンドの今後については、従業員に会社を譲ると述べるとともに、ファンドの解約期限は12月だが、投資家からの申し出があればそれ以前に解約に応じることこともありえるとした。

<阪急・阪神のTOBには協力>

村上ファンドは会見に先立ち、筆頭株主になっている阪神電気鉄道に対する株主提案を取り下げるとともに、阪急ホールディングスによる株式公開買い付け(TOB)が成立するように株式の売却を検討すると発表。

村上氏は「TOBが成立するように売却したい」と述べ、基本的には全株を視野に売却する考えがあることを示した。同ファンドは約7つのファンドを保有しているが、村上氏は総額4000億円の規模であることを明らかにした。阪神株の売却により、1800億円の現金が入ってくる予定で、ファンド総額の3分の2が現金になるとした。

(ロイター6月5日=東京)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]