中共、東シナ海での航行禁止通達に「技術的な誤り」
【大紀元日本4月19日】ガス田拡張工事のためと称し、中共政権が東シナ海の日中中間線を超越し日本側海域も対象にした船舶航行禁止を通達した件で、新しい展開があった。中共側はこれまで航行禁止範囲の緯度表記を「北緯二七度七分から同二九度四分まで」としていたが、17日夜日本政府に対し、技術的な誤りがあったと伝え、「北緯二九度七分から同二九度四分までに修正する」と通知、航行禁止区域を日中中間線の中国側の海域に修正すると説明した。しかし、日本が主張した境界線に同意しないと表明、「中国側の作業は中国の海域内で行い、日本に中国の行動を通知する必要がない」と主張、日本側の批判に不満を示した。
安倍官房長官は十八日午前の記者会見で、「ここは日中関係にとって係争地域であり、こうした事実関係については直ちに調査して通告してもらいたい」と強調、「技術的な誤り」が1カ月以上放置されていたことに不快感を示した。また、航行禁止区域について「日中中間線の中国側であっても、他国の権利、義務に妥当な考慮を払うべきだ」とけん制した。
麻生外相は安部長官よりも強硬な態度を示し、中国が航行禁止令を出す前あるいは実施中に、他の国に通知するのは通常の礼儀であるが、日本の海上自衛隊が3月末に始めて航行禁止令があると分かったと、中共を批判した。
小泉首相は18日昼、政府内部の情報公開が遅れたことについて「現場でしっかり対応するように、何が問題で、これから何が必要かよく検討している。再発防止も含めてしっかりと対応する」と述べた。
中共外交部秦剛報道官が、中国の禁止通知に技術上の正確さが不足であると認めたが、日本が主張した境界線に同意しないという。秦報道官はVOAの記者に対して、日本に中国の行動を通知する必要がないと表明、「中国側の作業は中国の海域内で行い、正常の主権行使の活動である」と日本側の行為に不満を示した。
一方、産経新聞の報道によると、海上保安庁は三月下旬、中共政権の海事局のホームページで航行禁止の開示を確認した。すぐに中共海事局に事実関係を問い合わせたが、中共側は一週間も返事せずに、その後、ガス田の拡張工事自体を否定するメールを送ってきたという。また、外務省は3月28日にこの事実を把握したが、4月16日になって、初めて首相官邸に事実関係を報告し、同日に「日本の主権的権利を侵害し、国連海洋法条約に反する可能性がある」と中共政権に抗議した。それに対し、中共政権は沖縄トラフまでを自国の排他的経済水域(EEZ)とする従来の立場を強調したという。
中国はこの数年間の沿岸部の経済発展に伴ってエネルギー需要が急増したため、なりふり構わず中近東、アフリカ諸国の石油資源を買い付けている。 東シナ海のガス田開発は約30年前から中国沿岸部で進められた中共のエネルギー政策の一環であるが、推定埋蔵量が現在の中国の需要量で数年分程度と見られるため、ガス田開発の本当の目的は東シナ海の制海権であり、今回の船舶航行禁止海域の設定も、中国潜水艦日本領海侵犯事件などと同様の、制海権確保に向けた具体的な行動との見方もある。