中国:全人代、中共指導部に矛先
【大紀元日本4月1日】中共政権第10期の4回目の全国人民代表会議が3月上旬に開かれたが、会期中、中共指導部は統制力を失いはじめ、人民代表による多くの提案と発言は「大会のテーマ」をよそに、中共指導部に矛先を向けているという。
香港誌「動向」によると、会期中に約1320通の「人民代表」提案が集まり、主に社会政治や経済問題、貧富の格差、官僚汚職、金融犯罪、社会の道徳低下などの分野に集中した。これらの提案の中、約三百通は直接中共政権に向けられたもので、厳しい非難が続き、中共指導部の面子が損なわれた様子で、人民代表による「脱線行為」と見なされている。
そのため大会委員長・呉邦国は、2度にわたり各地区の代表団団長に警告を発し、「各代表が『大局』を考慮し、会議の主題に沿って議論を交わすよう」と要求したという。制御力を高めるために、大会の各副委員長に、各代表団の中に入り、代表達を「励まし、指導」し、「事前交流」を深めるようにと指導した。
中共指導部に矛先を向けた人民代表団の提案
約三百通の提案は、中共政権に直接矛先を向けたもの。
その中、57通は、社会主義制度の優越性を改革の中でいかに実現させるかについて。41通は、社会の深層における衝突およびその衝突がもたらす社会不安への克服と対処に関するもの。41通は、国民重視と法治の実行、政府関係者、公務員の法律遵守への監察強化。35通は、中共高官の経済収入と個人財産の公開、公職者の経済収入と財産公開を法律化することに関して。33通は、現存の人民代表の選挙制度を改革すべきというもの。37通は、国家機構の財政収支を公開、社会の監査を受けるようにすべきであるという内容。27通は、官僚の親族が持つ政治、就職、学習の特権を取り消し、監督体制を整備すること。19通は、党指導者の旧居や記念堂などの建設を中止する内容。
江蘇省、浙江省、遼寧省代表団は、国民とメディア関係者の合法権利を守るため、新聞法の制定を提案した。
北京市、天津市代表団は、「共産党員や、官僚の犯罪は、党の紀律で処罰するだけではなく、行政処分と法的責任の追及が必要」と提議した。
四川省、雲南省、重慶市代表団は、省長や市長選挙は差額選挙(定数より多い候補者を立てる選挙)を実施すべきと提議した。
北京市、山東省、福建省、上海市、陝西省代表団は、汚職罪で教育と医療衛生改革の中での政策の深刻な失敗を追及すべきと提案した。
人民代表による中共指導部への質疑
湖北省代表団の代表は、王兆国・副委員長に対し、資本主義の意味や、中国社会の現状、社会制度の定義などを質問した。
黒龍江省代表団の代表は、李鉄映・副委員長に対し、「今、産業労働者や、農民は政治と経済の両面において、社会の下層部に置かれている。共産党は誰のためにあるのか、執政の土台が崩壊しているのでは」と質問した。
江蘇省代表団の代表は、呉邦国・委員長に対し、「党政幹部は人民を重視すると言っているのだが、どうして個人財産と経済収入の公開がこんなに難しいのか。すでに17年間要請してきたのに」と詰問した。
甘粛省代表団の代表は、温家宝首相に対し、「官僚や党幹部の腐敗についての対策推進はどうしてこんなに困難なのか」と質疑し、温家宝首相は、「これは体制上の問題、さらに言うと、自己建設の問題だ」と答えた。
江西省代表団の代表は、曾慶紅・副総書記に対し、「社会の衝突が激化し続け、党と民衆の関係はますます乖離しているのではないか」と質問したが、曾慶紅・副総書記は「様々な要素が交錯し、複雑だ。政策と実務上の問題も存在する」と答えた。