中国の七大河川、水汚染問題が深刻化

【大紀元日本12月26日】揚子江水利委員会の最近の発表によると、2004年度には中国揚子江に288億トンの汚染水が排出され、水質がさらに悪化しているという。中国中部を貫く揚子江と中国南部の珠江は水質が比較的良いとされていたが、近年の経済発展に伴い、大量の工業廃水が排出されたため、深刻な状況に直面している。それにより、汚染がかなり進んだ海河や、遼河、黄河、淮河、松花江を含めて、中国全土の七大河川は全て深刻な汚染問題にさらされている。専門家によると、七大河川のすべてが重度汚染されているため、実質上約7億人から8億人が汚染された水を飲んでいるという。水不足、健康被害などの社会問題を引き起こすばかりでなく、経済活動にもマイナス効果が現れ始め、悪循環に陥っているようだ。

揚子江は、全国の水の消費量の36.5%の水資源であり、揚子江流域には19の省や市が集中し、GDPの3分の1をここで生み出している。政府の発表によると、沿岸に位置する上海や南京、武漢、重慶などの大都会の廃水処理率は半分にも満たない、地方都市の処理能力はさらに低い、各都市は揚子江に汚染水を排出し続け、2004年には288億トンの汚染水が排出されたという。これは揚子江の汚染の主たる原因と見られている。

また、政府調査によれば、南部の珠江河口の海水を調べた結果95%が重度汚染、5%は中度汚染の状況にあるという。珠江水利委員会の岳中明氏は「珠江汚染の重要原因は無謀な経済発展による大量の汚染物質の排出であり、すでに川の自浄能力を遥かに超えている」と指摘している。

そのほか、淮河、海河、黄河流域などの重度汚染地域においては、肝臓病や、ガンの発病率は非常に高く、集団感染するガン村、肝炎村などが増え続けている。浙江省や、広東省などの地区の農村部では、長い間環境破壊が放置されてきたため、業を煮やした農民による大規模抗議活動が続発している。

河川汚染が導いた健康被害や、水不足などの社会問題

ドイツ在住の中国水利専門家・王維洛氏は、「中国における水資源の品質はますます低下し、そのため当局は飲用水の実質評価基準を下げ続け、80年代では飲用禁止の第5類水源はいまでは合格ラインの第3類水源に分類されている」と実情を明かした。中国水利部・汪恕誠部長は最近、「中国農村部で3億人以上の人々が飲用する水は安全でなく、都市部の水源もかなり汚染されていおり、健康に害をおよぼしている」と認めたが、王氏は「七大河川のすべてが重度汚染されているため、水利部のデーターは極めて不正確だと言える。実質上約7億人から8億人が汚染された水を飲んでいる」と指摘した。

中国政府の公表によると、全国669の都市で、約400の都市は慢性的水不足の状態にあり、110の都市では重度の水不足に悩まされ、全国で約60億トンの水が不足しているという。こうした問題を解消するために、中国北部では、方針を転換し地下水を利用することにしたが、過度の汲み上げにより地面沈下が起こっている。2003年10月に公表された地下水源調査資料によると、全国合計で約15万平方キロで地盤沈下が発生し、揚子江の南側の地区で、こうした地質災害による経済的損失は3500億元にのぼる。深刻な水不足は経済活動にも影響を与え始め、まさに悪循環を引き起こしている。

王維洛氏は中国での水資源汚染は当局の経済発展政策によるものだと指摘し、「経済を最重要視するあまり、環境保護を無視し続け、子孫代々が生存する自然環境を破壊してしまった」と厳しく批判した。専門家の間では中国の経済発展は自然環境破壊の上に成り立っているとの声が上がっている。米国経済学者ウィリアム・ペェシェック氏が発表した論文によると、世界銀行は全世界で環境汚染状況が最も深刻な十大都市を調査したが、中国の都市がそのうちの6つを占めた、毎年中国における環境破壊とその健康治療費は540億ドルに達し、今年度の11月までの外国投資の総額484億ドルを超えたという。

一方、国が管理・監督責任を十分果たしていないため、企業による有毒物質の違法排出も野放し状態にある。11月13日、吉林省の化学工場における爆発事故が発生したが、事故を処理する現地地方官僚及び会社幹部は大量の有毒物質ベンゼンが松花江に流出した事実を隠ぺいし続け、結果ハルピン市を含め複数の沿岸都市では、長時間にわたり水道供給が停止され、さらに国境を越えロシアまで影響を受けた。そして今月15日またもや広東省では精錬工場から重金属カドミウムが大量に北江に排出されていたことが明らかになり、沿岸の3つの都市の水道供給が危機的状態に陥った。中国国内ではこのような人為的な事故は数多く発生している。

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