過ぎ去った上海住宅市場の活況

【大紀元日本10月4日】住宅市場における投機的売買を引き締めるため、上海政府が本年6月に住宅にかかわる取引税の賦課を実施したが、それ以来、住宅価格は次第に下落している。香港の亜州商業(ASIAN BUSINESS)誌(2005年10月号)が報じた。

2002年より、上海住宅市場の価格は年間30%のペースで急伸した。6ヶ月前の上海住宅市場は世界で最も活気のある市場であったが、現在では状況が逆転している。ある現地事業者が明らかにしたところによると、現在、高級マンションの価格は30%下落しており、販売量もまた70%下落している。上海では、過去3ヶ月間で、小規模の不動産事業者4000社が既に閉鎖しており、空室への投機者が巨額のローンに苦しんでいる。

スイス・クレディ・ファースト・ボストンの香港主席エコノミストである陶冬氏によると、上海住宅市場の低迷は、非常に深刻な結果をもたらすことになる。彼の推計によると、中国における銀行ローン市場の40%~50%は上海にあり、上海の住宅向けローンは全国のローン市場の5分の1であり、上海で仮に住宅市場が暴落した場合、既に危険極まりない銀行業にとっては泣きっ面にハチの状態となる。昨年、上海のGDPは14.3%成長したが、その4分の1は不動産によるものであり、住宅市場が低迷すれば、連鎖的な影響をもたらすこととなる。陶冬氏は次のように述べた。「これは、物資、電力、保険及びローン需要の低迷を惹起し、財政収入及び消費者の自信に影響を与え、かつ中国経済及び世界の商品市場に深刻な脅威となる」。

短期的に、事業者は、消費者の購買意欲を刺激するためのインセンティブ措置を実施した。例えば、以前、消費者はコンクリートだけの空室しか購入できなかったが、現在では、事業者が台所、浴室、空調及び家具を設置し、ひいては無料の駐車場、クラブの会員カードや無料の自動車を提供するに到っており、競争は十分に激化している。長期的に、上海住宅市場は再度活況を呈すると考える楽観論者もいる。彼らの見解によると、2000万人の人口を擁する上海は磁石のようなもので、全国の人士を上海に引き付けるだけでなく、海外の企業も、上海が、中国における拠点を設置するにふさわしい場所であると考えている。

これまでの慣例からすると、10月が購入のピークで、消費者は1週間の休暇(ゴールデンウィーク)を利用して住宅市場を尋ねる。しかし、今年10月のゴールデンウィークにおいてはマイナスの影響があり、北京は呼びかけを行って消費者の自信を高めようとするであろう。仮に住宅市場が30%以上下落した場合、資産担保がマイナス(担保資産価値がローンの額を下回る)となりうるが、これは、中国政府が目にしたくない結果である。

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]