中国経済は崩れても潰えないのか?(2)

【大紀元日本9月27日】中国経済は近年、高成長の発展を見せる一方で、教育や医療など多くの分野で問題を生み出し、そのひずみが貧富の拡大として民衆に負担を強いているが、当局はそうした現状を覆い隠している。中国経済の問題点を的確にとらえた経済評論で定評のある草庵居士はこのほど、新唐人テレビ対談番組「独立評論(39)」で、経済学者伍凡氏と対談し、中国の経済問題を深く掘り下げた。

伍凡:皆さん、こんにちは。独立評論の時間です。前回は、中共が経済改革を行った結果として、もともと公益事業に属していた教育や医療を市場化したことについて触れました。このため、4兆元もの資金を節約しましたが、この節約分は政府が支払うべきものでした。改革の結果として、民衆は税金を納めた後で、更に自己負担をすることが必要になりました。今日は、中共が改革のスローガンを如何に利用し、民衆の財産を奪い、自己の政権を維持してきたかについて続けて論じていきます。

草庵:実際のところ、経済改革が必要なのは確かです。中国経済自体はずっと悪い状態にあり、経済改革を行うこと自体は誤りではありません。しかし、問題は、経済改革は、中国共産党(以下、中共)にだけ有利で、民衆に利益がないということであってはなりません。また、もう一つ、最も重大な責任転嫁的政策として、養老(老齢)保障制度の市場化が挙げられます。中共は、市場化をスローガンとして、50年代にコミットした退職年金制度を消し去りました。これにとって代わったのが、市場による保険としての、利潤型の年金制度でした。特に、ここ数年、年金基金の大きな赤字が発生しています。政府が発表している数字によると、中共が市場化の原則を実施して以来、中共は年間約1兆5000億元の負担を軽減しました。長期的に、この赤字分は15兆元もの巨大な額となり、中国大陸の2004年一年間のGDPを超えます。

伍凡:公益事業に係る経費が減少したことで、民衆の負担が重くなりました。実際、中国の民衆が最も困っている問題は、まさに、教育、医療、年金等の公益に関る問題なのです。また、中国の内需が増えないで減少する状況が続く一方で、貯蓄率が高まっている原因は、先に述べたいくつかの要素です。西側先進諸国では、社会保障制度が整っており、民衆は自分の生存、教育及び退職後の問題ついて心配する必要はありません。得た収入は大量に消費に用いられ、内需が増えて経済成長を刺激し、経済の好循環を形成します。中共政府は、財政支出上公益事業への支出を減少させ、その分のお金をモデル的プロジェクトの建設に費やしており、中国における、現在のいわゆる「高速発展」ぶりを作り出しています。

草庵:中共が、積極財政及び公共インフラの建設を展開させていくに伴い、政府の建設における高投資、低効率、低収益が次第に顕在化していきました。そして、銀行の不良債権が大量に発生しました。2005年6月までに、中共政府は、銀行の不良債権の総額が4兆4042億元に達することを様々な場面で認めました。これと前後して、国有銀行の救済のために投資された公的資金は2兆6042億元に達しています。その他の方式で投資された資金を加えると、金融界の「輸血」された資金は合計で3兆元を超えています。こうした状況は、世界各国の経済の専門家を驚かせました。多くの人は、困惑して次のような疑問を持ちました:中共の財政収入は2兆元余りであり、国債を発行してもこれだけ巨額の財政支出を捻出することはできません。江沢民、朱鎔基の執政時代に、1兆4000億元を支出して国有銀行を救済しましたが、当時、中共の財政収入は2兆元に及びませんでした。これらのお金はどこから来たのでしょうか?

伍凡:あるアメリカの学者は、有名な経済誌上で次のような困惑を表明しています:「中国政府の財政収入は現実と符号しておらず、収入と支出には2倍の格差がある。中国政府はこの差額分をどこから得たのだろうか?」 しかし、この学者はこれに対して非常に荒唐無稽な結論を出しています:「中国の経済状況が非常によいため、中共は真の経済状況を隠しているからである」。

草庵:中国の経済状況が非常によいというのは本当なのでしょうか?私の見方は否定的です。しかし、結局のところ、問題は存在しています。こうした超過支出はどこから捻出したのでしょうか?多くの学者は、外資の投入と高貯蓄に原因を求めています。しかし、数字を真面目に分析しさえすれば、この背後に大きな問題が存在していることが分かります。中共政府の数字によると、1979年以来、受け入れた外資は総額で5300億ドルですが、実際に擁している外資は2700億ドルです。平均すれば、毎年100億ドル流入したことになります。一方、大陸内部における民衆の貯蓄は、2004年末時点で、11兆元です。しかし、このうち37%は、各級政府機関及び政府系企業の“帳簿外資金”の貯蓄であり、本当の民衆の貯蓄は7兆元です。5年前、中国の民衆の貯蓄は総額で5兆元でした。こうした貯蓄をもって、中共が大量の金銭を支出していることについての説明とすることは決してできません。政府の数字によると、1979年以来、中国から流出した資金は3000億ドルになります。うち、2004年だけを取り出しても、3000人余りの腐敗官僚が持ち逃げした資金は500億ドルにも達しています。中国からの流出資金は海外からの投資額よりも多いのです。

伍凡:問題はどこにあるのでしょうか?それは簡単な話で、制度上の問題であって純粋な経済問題ではありません。中国が実施しているのは社会主義制度です。資本主義とは正反対の公有制で、あらゆる財産は公有で、土地、鉱山も皆公有で、これらを私的に売買することはできません。また、これらに表面上の価値はありますが、中国は貨幣流通体系の中に計算として織り込んでいません。もともと実施していた実物交換経済及び公有制を西方の貨幣制度に転換した場合、大量の有価物は制度及び理論上の原因から、依然として無視されます。中国の土地、鉱山資源及び国有企業の価値は無視され、中国の貨幣体系からは遊離した「無価物」となったのです。現在、中共政府は土地や鉱山を売却していますが、多くの土地や鉱山は、依然として「価値のない黄金」となっています。

草庵:中共が政権を樹立した時、総額で約8兆元の貨幣を発行しました。現在の中国の貨幣流通量は20兆元です。50年余りを経ても中国経済における総量の伸びは3倍にも満たないのはなぜでしょうか?実際、この50年の中で、中国の経済は成長を続けており、中共の発表した成長率に従うならば、毎年平均で7・8%に達しています。ということであれば、現在の中国における貨幣流通量は150兆元であるべきです。しかし、中共がかつて実施していた計画経済のもとでは、大量の富が貨幣流通体系の中に計算として織り込まれていませんでした。現在の流通量はわずか20兆元であり、これが流通貨幣の不足をもたらし、外部の人々が困惑する要因となっています。この点が明らかになれば、なぜ中国から大量の資金が流出しているにもかかわらず、経済が依然として高速で成長できているのかも明らかになります。その理由は、中共が巨額の「簿外」の資源によって統治を維持し、不良債権が累積した金融体系や損失が深刻な国有企業を救済しているのです。中共が売り出す土地及び鉱山は中国の貨幣流通体系には現れておらず、海外のドル流通体系の中でこうした「黄金」の価値を実現させるのです。中国の貨幣流通体系における巨大な差異は、腐敗官僚を通じて、毎年500億ドルもの資金を流出させますが、これが中国経済に全体的な影響を及ぼすことはありません。中共が失脚しない原因は、中国が、実質的に100兆元の隠れ資産を保有しているからであり、毎年5兆元の損を被っても、それはごく一部の損失にすぎず、その他100兆元隠れ資産には衝撃は及びません。しかし、これらの公共財産が中共のものであるということは決してなく、少なくとも名義上は中国の民衆全体のものであるということは、説明しておくべきです。

伍凡:中共の経済改革の第三段階におけるもう一つの明確な特徴は、税収の高速な伸びと給与総額の急激な減少です。政府の資料によると、中共の税収は1998年から現在まで、ずっと2ケタの伸びを示しています。去年の伸び率は25・7%で、GDPの伸び率の2・71倍でした。1999年における税収の伸びは最高というわけではありませんでしたが、この数字は当時のGDPの伸びの3・22倍でした。これとは反対に、アメリカその他主要先進国の税収伸びは大幅に下落しています。

草庵:別の角度から見ますと、2000年の国家財政収入は1・3兆元でしたが、2004年には2・6兆元となりました。わずか4年の間に財政収入が倍になったのです。しかし、GDPに占める給与総額の割合は、1980年に29・1%であったものが、1989年には16%、2003年には12%に下落しました。中国経済は発展しましたが、民衆はその成果を全く享受しておらず、逆に、収入は減少しています。財産が中共に掠奪されており、その額は毎年1兆元余りとなっています。もう一つの政府公表資料によると、1997年から2004年までの7年間、中共中央政府及び地方政府は、建造物の立退きにより、民衆から不動産建設による“ハサミ状態の価格差”を奪い取っており、その額は6兆元にもなります。この7年来、地方政府が民衆から徴収した税収外の費用は9兆元以上に達しています。しかし、それでも、全国に38290ある郷・鎮のうち、およそ3分の2の郷・鎮の財政債務の負担は深刻で、財政負債の平均は400万元前後となっています。ある郷鎮の債務負担は、既に今年の財政収入の70%前後に達しています。全国の郷村の債務の総額は既に1兆元を突破しており、中国のGDPに占める割合は、既に10%に接近しており、財政収入の30%~50%を占めています。

伍凡:中共は世界で最も高い税収を維持していますが、社会保障制度への支出は極めて少ない状況にあります。2003年の拠出人口は2246万人に達しており、各級政府財政からの拠出額は、151億元ですが、一人当たりでは毎月56元程度です。このうち、中央政府は92億元、一人当たり毎月34元しか拠出していません。中共が重税を搾り取った結果、中国の民衆の一人当たりの資産はわずか335ドル、負債は1862ドルとなっています。これと比較すると、アメリカの民衆の平均資産は118340ドル、負債は15316ドルとなっており、信じがたい格差となっています。

草庵:第三段階の資本輸血型改革のもう一つの問題は、大量の腐敗が出現したことでした。制約、監督のないままに中国民衆の隠れた公共財産を売り出し、大量のブラックマネーを発生させました。政府の公表した数字によると、1999年のブラックマネーの総額は40億元でしたが、2002年には2100億元、2003年には1・37兆元、2004年には1・68兆元に達しています。今年、中共が初めて発表した反マネーロンダリング活動報告には次のような記述があります:「2004年1月~12月、全国各銀行系金融機関が報告した人民元の高額取引及び疑わしい取引について、件数は463・91万件、取引金額は合計で16兆5820・75億元。毎月の平均ベースでは、38・66万件、1381・40億元。このうち、報告された人民元の高額取引の件数は460.3万件、取引金額は16兆5325.29億元で、疑いのある取引は3・61万件、取引金額は495・46億元”:

伍凡:企業について、報告は次に述べています:“企業の高額な国際外貨取引において流出した金額は3056・68億ドルである。” 資金の流出先については、“このうち、中国香港特別行政区、アメリカ、日本、台湾、シンガポールが、企業の高額な外貨資金の取引の主要な来源であり、かつ流出先である。”となっています。個人資金については次のとおりです:“個人の高額な国際外貨取引において流出した額は合計で9・64億ドルである。”資金の流出先については、“このうち、アメリカ、中国香港特別行政区、台湾、日本及び韓国は個人の高額な国際外貨取引の主要な来源であり、かつ流出先である。”となっています。

財産がこのようにして奪い取られていくのです。公共の財産が、中共が独裁を維持するための私的財産に変貌していくのです。

草庵:おそらく、次のような疑問を持つ人もいるでしょう:「中共は、今後もこうした政策を利用し、長きに渡る独裁を維持し、中国経済が崩れても潰えない状況を保つのではないか?」世界においてこのような国家が本当にあり得るのでしょうか?まず、中共の第一の経済資源—-国有企業は、既にほとんどが売り尽くされており、4000万人に上る国有企業の下崗労働者の存在がこの問題の十分な説明となっています。土地、鉱山など民衆の生存に関る資源の売却もまた、既に中国大陸における動乱の原因となっています。政府の資料によると、中国において土地を持たない農民は、既に8000万人に上っています。ある社会学者はこのように述べています:「社会が安定する主要な要因は、不安定人口が8%を超えないことである」。しかし、実際のところ、中国の不安定人口は10%を超えています。中国の民衆は、最もよき、忍耐力のある民衆です。しかし、中共は崩れても潰えない状況を永遠に保持できるのでしょうか?彼らは中国全ての資源を売却することができるのでしょうか?全ての民衆を無職の遊民にすることができるのでしょうか?

中国経済について、今の状態は一時的なものでしかなく、崩壊は必然的です。

伍凡:中国の政治制度を改めなければ、経済問題は解決できません。問題のカギは、政治制度です。前回、私たちが言及した林毅夫や王建等中国官員の分析や講話もまた、この問題を明らかにしています。中共の経済改革は、既に袋小路に乗り上げています。民衆の利益を剥奪し、自らの安定と独裁を維持する目的で経済改革を進めることは、長くは続きません。また、中国経済の崩壊の兆候がますます増えています。

草庵:そのとおりです。誰もが中国経済の崩壊を希望していません。しかし、この問題は、私たちが左右できる問題ではありません。中共が如何にこの問題を処理するかについて、私たちは随時観察する必要があります。今日は時間となりました。ご視聴ありがとうございました。さようなら。

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