中国、不良債権問題で銀行の人事にメス

【大紀元日本7月29日】新唐人テレビ局の報道によると、中国の銀行でこのほど、大規模な人事整理が行われ、55歳以上の支店長はほぼ全員が退けられたという。当局はこの人事大異動を公開していない。専門家らは、銀行の内部大調整は不良債権問題と関係があるとみている。

政治評論家・伍凡氏と経済評論家・曹庵氏は、新唐人テレビの「独立評論」という番組で、この件に関して次のように述べた。「中国の銀行は高いリスクが伴い、内部は非常に不安定となっている。主要問題は、70%に達する不良債権の存在。億万人民元を超える汚職流用事件が毎月のように頻発し、不良債権の発生には、銀行責任者が深く関係している。特に、ここ数年に起きた大規模な汚職流用事件には、銀行責任者が直接関与しているのがほとんど。今回の内部大調整は、これらの問題に関係している」。

両氏によると、中国株式市場の下落に続いて、不動産市場もバブルが発生している。これらの問題は、中国共産党の財政収入に直接影響を与え、特に金融業の存続に響く。株式市場が崩壊すれば、約2億人の国民が損害を負うことになるが、銀行が倒産すれば、13億人が全員被害者となる。だからこそ、中国政府は、株式市場を放棄しても、銀行を必ず守ろうとする。先日、中国政府は銀行業に外国資本の参入を許可する政策を発表したが、これは事実上、火の車と化した中国の銀行内部の事情を表したに等しい。

両氏によると、温家宝総理は、金融問題を最重要視しており、再三にわたって「銀行に問題が生じてはならぬ」と強調し続けてきた。金融危機を回避するために、最近一連の金融法案を制定した。これは、中共政権設立以来、初めての政策である。最近、バンク・オブ・アメリカ社が中国建設銀行に資金参与したことからも、中共が必死で銀行を救おうとしていることが伺える。

現在、中国の株式市場は非常に不安定で、政府は証券会社の利益集団からの圧力で、大量の資金を破綻寸前の証券会社に融資し、国の資産で株式市場を維持しようとしている。6月に約1000億人民元を投入したが、200ポイントしか上昇せず、7月に再び下落ムードに突入した。中国政府のこうした措置の目的は、上場企業が株式市場で資金を稼ぎ、銀行融資を返済できるようにするためであり、いわば、一般の株主が食いものにされている。

両氏の分析によると、海外市場で上場するために、中国政府は銀行内部の大調整に踏み切ったが、問題の長期化と複雑性のために、銀行の支店長レベルの責任者以外に、政府と本店すら各支店の不良債権の実態を把握できていないのが実情である。政府は何度も銀行に業務の徹底整理を命じたが、各支店の責任者は、問題の深刻さを報告する勇気がなく、いつも結果がないままで終わっていた。根底から不良債権状況を把握するには、銀行支店長人事を刷新するしかないと認識し、政府が内部の大調整に乗り出したのだろう。

「今回の銀行内部大調整はつまり、中国共産党には、経済を主導する力がもはやなく、過去のような強制手段も通じなくなったことを反映している。国内の改革派は、欧米の経済体制を利用して、中共の独裁体制を変えようと期待しているが、片思いで終わる可能性が高い。さらに、強大な利益集団を形成してしまうこともあり得る(中国共産党は事実上利益集団が中心の独裁政党)。利益集団は中国政治の悪性腫瘍である。改革開放の中、多くの知識人が銀行の責任者になったが、共産党主導型の経済制度が彼らを腐敗官僚に転身させ、利益集団のメンバーとなってしまったのである。中国建設銀行の歴任トップが汚職流用問題で逮捕されたが、いまだに、当銀行の問題は解決されていない。新しい責任者が就任しても、すぐさまこの制度に汚染され、悪官僚に変貌する。問題の根底であるこの制度を覆さない限り、金融問題は永遠に解決できない」と両氏はこのように締め括った。

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