調査:万里の長城、三分の一もはや存在しない
【大紀元日本7月10日】中国長城研究会は長城の現状について調査を行った。調査結果、長城は三分の一が基本的に原形を保っているが、三分の一は破損し、三分の一は既に存在していないことがわかった。長年にわたる風雨と灼熱による風化に加え、人為的破壊が主な原因であると指摘された。
中央テレビ局7月5日の放送で、寧夏省にある1500キロメートルに及ぶ長城は、地元の農民らが豚舎や羊舎及びトイレに使用していると報道された。壁に穴が開けられ、たった30メートルの短い距離だが既に4箇所で豚舎やトイレが確認されている。
文化遺産専門家によると、寧夏省の長城は北京・八達嶺の長城と同様に高い価値があり、明の時代の建築における奇跡である。レンガによって建築された八達嶺に比べて、黄土で作り上げた寧夏省の長城が独特の魅力を持つという。また、黄土で作り上げた長城が万里の長城の中でもっとも弱い箇所であり、この部分の長い壁がなくなれば、万里の長城が半分を失い、重大な損失を被ると専門家が警告。
寧夏省塩池県博物館館長の張氏が、塩池県には平行している二列の長城があり、自然的かつ人為的破壊によって、一部分の長城が既に消えてしまったと話した。
しかし、危機にさらされている長城は塩池県内の部分に限らず、青銅峡、中衛などにある部分も危機に瀕している。寧夏省霊武県の小龍頭長城景勝の地では、観光地開発のために、黄土で築いた長城をレンガで覆い、長城の本来の姿が全く失ってしまった。
山東省章丘県の七星台観光名所地は観光開発のために、世界文化遺産である長城を壊し、コンクリート材などを使用し、遺跡に売店や客室を加えた新しい長城を築いた。
河北省、遷安鎮は文化財関連部署の許可を取らずに2000メートルの長城の工事を勝手に民間企業の請け負いに任せた。この企業は百万元と3,4ヶ月を費やし、二十数人の村民を雇い、長城をまるで白い怪物のように改築した。この部分の長城は既数箇所が崩れ始めている。
中国文化遺産学会・長城研究会の成大林会長は、長城の危機は日増しに大きくなっていると話し、個人が長城の壁に穴を開けることから企業の不正な採掘まで、さらに、コンクリート製の偽長城までに至って、長城はかつてない速さで消えていると指摘した。