2024年11月29日、台北の民主大道にある中正紀念堂で、警備員が台湾の国旗を掲揚した(I-Hwa Cheng/AFP via Getty Images)

中共が対台湾優遇措置を発表 「糖衣の毒薬」との指摘

台湾の最大野党・国民党の鄭麗文主席は、4月12日に訪中日程を終えて台湾に帰還した。その後、中国共産党の対台湾窓口である国台弁は、観光、交通、農水産品、映像・文化などの分野を含む10項目の対台湾措置を発表した。これらいわゆる「台湾優遇措置」は、中共による認知戦の「糖衣をまとう毒薬」に過ぎないとの見方もある。

鄭麗文氏は4月7日から12日まで中国を訪問し、中共の習近平と会談した。12日当日、鄭氏が訪中日程を終えて帰路に着くと同時に、中共中央台湾工作弁公室は一方的に10項目の対台湾措置を発表した。

中共側が公表したいわゆる対台湾措置の内容には、上海市および福建省の住民による台湾への個人旅行の解禁、台湾産の農水産品および食品の輸入円滑化などが含まれている。

同時に、中台間の航空旅客直行便の正常化を推進し、ウルムチ、西安、ハルビン、昆明、蘭州などの都市を含む路線の運航を対象とするほか、厦門に新設されたを共同利用する案なども提示された。

しかし専門家は、これらのいわゆる台湾優遇措置は実際には中共の「糖衣をまとう毒薬」であると指摘している。

国立台湾大学政治学系の副教授 陳世民氏:「この10項目の対台湾措置は、統一戦線工作の一環にすぎず、台湾に大きな利益をもたらすものではない。基本的にこれらは、政治的な統一戦線の手法を通じて台湾が中共に取り込まれているかのような国際的な印象を作り出す狙いがある」

台湾励志協会の執行長である頼栄偉氏:「今回の10項目の開放措置は特定の層を狙ったものだ。台湾社会を細かく分断し、それぞれの層に中国からの利益を受け取らせる仕組みになっている。利益を得た人々は利害関係で結びつき、最終的には台湾内部からの圧力となり、経済や社会の側面から政府に譲歩を迫ることになる」

台湾行政院の報道官である李慧芝氏は、総統府は健全で秩序ある、対等かつ尊厳を重んじる両岸交流を支持しているとしつつ、今回の多くの措置は過去に北京当局が様々な根拠のない理由で断続的に停止してきたものであり、台湾の産業や農漁民に被害を与えてきたと指摘した。これは交流の道具化、経済・貿易の武器化による統一戦線的圧力であると述べた。

頼栄偉氏:「福建省と上海のみを開放するというのは、まさに糖衣に包まれた毒薬だ。これは政治条件付きの選択的開放に過ぎない。開放の範囲や時期はすべて中南海の判断に左右される。利益を得るためには、中共が定めた政治条件に従う必要がある」

陳世民氏:「福建省と上海を開放しても、その意義は大きくない。台湾に個人旅行で来る人々がどれだけ収益をもたらすかという問題もある。実際には、これらの旅行は中国側の一貫したサービス体制による産業チェーンに組み込まれており、利益は中国と関係のある企業に流れることが多いのだ」

台湾の大陸委員会も、これまでの経験から、北京のいわゆる経済的「優遇措置」はしばしば一方的に撤回・停止され、台湾の農漁民や産業に大きな損失を与えてきたと指摘している。こうした「一方的な利益供与」は糖衣をまとう毒薬に過ぎず、経済を圧力手段として用いるものであり、「養套殺(育て、依存させ、殺す)」という本質を示しているとしている。

陳世民氏:「これらの措置を享受するためには、台湾が中国の一部であるという『一つの中国』原則の枠組みを受け入れる必要がある。時間が経てば台湾の人々も中国の政治的意図を自然に理解するようになるだろう」

頼栄偉氏:「いわゆるグレーゾーンとは、完全な平和でもなければ武力行使でもない状態を指す。武力行使には大きな代償が伴うためそれは避けつつ、威圧や脅迫、圧力、心理戦を通じて影響を及ぼすのだ」

大陸委員会はまた、中共が中台間の交流を武器化・道具化し、政治目的に利用しているため、各種開放措置はいつでも中断され得る不確実性と高いリスクを伴うと指摘している。

しかし、このようなグレーゾーンにおける認知戦は次第に効果が薄れていくとの見方も出ている。世界各国が中共の「養套殺」の手法を認識しつつあり、経済的圧力から距離を置く動きが広がっているためだ。

さらに、習近平と鄭氏の会談が行われた当日にも、中共は台湾への圧力を続けており、台湾軍は中国軍のそれぞれ25の航空機および艦船を探知し、台湾海峡周辺での活動が継続していることを確認した。

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