2025年12月29日、中国福建省の平潭島から見た台湾海峡上空を、中国の戦闘爆撃機「殲轟7A」2機が飛行した。平潭島は台湾に最も近い地点とされる(ADEK BERRY / AFP via Getty Images)

中東情勢緊迫の中 中共が台湾海峡への圧力強化も効果限定か

中東で戦火が広がるなか、台湾海峡情勢も緊張が高まっている。報道によると、アメリカが軍事力と戦略上の重心の一部を中東に移すのに合わせ、中国共産党(中共)当局は混乱に乗じて台湾への軍事的圧力や世論工作を強めている。台湾社会の不安をあおり、対米信頼を揺るがす狙いがあるとみられる。一方、こうした「認知戦と軍事行動を連動させる」手法は、効果が限られるとの見方も出ている。

ロイターが3月25日、台湾政府関係者の話として伝えたところによると、中共は3月14日から台湾周辺で多数の軍機による活動を再開した。これに先立つ約2週間は、台湾海峡周辺で確認された中国軍機の動きが激減していたという。

匿名の台湾安全保障関係者は、「今は中共が影響力を示そうとしている局面だ」としたうえで、「アメリカが兵力と関心をインド太平洋から中東へ移すなか、緊張と不安定化を招こうとしている」と述べた。

これに対し、台湾国防部は顧立雄国防部長の今月の発言を引用し、「中共は武力による台湾統一を放棄したことは一度もない」との認識を示した。

同時に、台湾が入手した内部評価では、北京が中東情勢を宣伝材料に利用し、台湾に対する認知戦を拡大しているとされる。たとえば、AIで生成した動画を使い、台湾が「壊滅的な」エネルギー供給危機に直面するかのような印象を広げているという。

また、中共当局の官製メディアや関連メディアは、「アメリカ製兵器は信頼できない」との宣伝も強めており、台湾の対米安全保障協力への信頼を揺さぶる狙いがあるとみられる。ただ、この種の主張には事実と明らかな隔たりがあるとの指摘も出ている。

軍事チャンネル「マーク時空」の司会者マーク氏は、「米軍のベネズエラやイランに対する作戦の結果を見ると、中国製兵器とアメリカ製兵器の差は非常に大きい。米軍の技術的優位は比類のないものだ。こうした主張はまったくのでたらめで、中共を一方的に擁護しているにすぎない」と述べた。

台湾国防安全研究院の沈明室研究員は、中共が台湾への軍事的威嚇や認知戦を通じて、アメリカには複数の戦線に対応する余力がないとの印象を広げ、台湾のアメリカへの信頼を揺るがそうとしていると分析した。

沈氏は、「主な目的は、アメリカがイラン問題への対応で手いっぱいで、解決能力を欠いているように見せることにある。あるいは、アメリカの対イラン軍事行動の正当性や合法性をおとしめ、台湾社会の疑米論をあおることだ」と述べた。

一方、沈氏は、中共が「インド太平洋で戦力の空白が生じている」との印象を作り出そうとしても、効果は限られるとみている。こうした認知戦は、既存の立場を持つ層への影響は限られており、むしろ地域の反発を招き、かえって台湾支持を後押しする可能性もあるという。

沈氏は、「現在のアメリカは、THAAD、パトリオット、海兵隊以外、インド太平洋に投入している海軍や空軍の戦力も動かしていない。グアムやハワイに駐留する海空軍にも目立った動きはない。アメリカはもともとインド太平洋の重要性を認識しており、容易に戦力を動かすことはない。さらに、イランとの戦争でも主に海空軍で対応しており、泥沼化しているわけではない。したがって、手が回らないとの印象にはつながらない。もともと台湾には疑米論があるが、そうした立場の人には多少影響があるかもしれない。しかし、台湾の価値と戦略環境を理解している人々にとって、この認知戦は実質的な効果がない」と述べた。

一方で、マーク氏は、外部が中共の対台湾行動を「認知戦と軍事行動の連動強化」と受け止めるのは、北京の実際の能力を過大評価している可能性があると指摘した。中共は近年、内政と外交の両面で苦境にあり、対外的に軍事力を行使する条件は大きく制約されているとの見方だ。

マーク氏は、「国内では景気低迷に直面し、軍内部では上層部の対立があり、多数の将軍が粛清されている。私は、中共には実際の作戦能力がないと思う。アメリカも、いわゆる2027年に習近平が台湾に侵攻するという見方を取り下げ、そうした可能性はほとんどないとみている。現在広がっているこうした見方は、結局のところ対外プロパガンダにすぎない」と述べた。

報道によると、台湾当局はこうした北京の認知戦の動きを警戒している。これに対し、米国務省報道官は、アメリカは台湾海峡の平和と安定の維持に取り組んでおり、米軍の世界各地の複数の脅威に同時に対応する能力は依然として強固だと表明した。

関連記事
法輪功迫害を追査する国際組織が発表した最新の報告書は、武漢市で生体臓器の強制収奪に関与しているとされる医療機関 […]
2月10日、米国在住の盲目の人権活動家・陳光誠氏が王志安を名誉毀損で提訴した裁判の第1回口頭弁論が東京で開かれた。審理当日、東京地裁前の通りには陳氏を支持する人々が集まった
2月1日、米カリフォルニア州のロサンゼルス郡モントレー・パーク市で、一部の在米華人がガーフィールド・リンカーン・センターにに集まり、集会とデモ行進を行った。
🔴 購読のお申し込みはこちら  👉https://eptms.jp/Waravoidance-Sub […]