インド洋と太平洋(shutter stock)

中共が太平洋などで海洋情報収集 従来の中国近海から範囲拡大

中国共産党は現在、太平洋、インド洋、北極海において大規模な海底測量および監視活動を展開している。これにより詳細な海洋環境のデータを構築しており、行動範囲は従来の中国近海から、世界の戦略的要衝へと拡大している。

背景には複数の軍事的・地政学的目的があり、将来的な米国および同盟国との潜水艦戦に備える狙いがあるとみられる。

ロイター通信は3月24日、「中国が海底地図を作成し、米国との潜水艦戦に備えている」と報じた。

記事によると、中共はこれまで東シナ海、台湾海峡、南シナ海など自国の沿岸周辺で海洋探査活動を行ってきたが、近年ではこうした「海洋スパイ活動」が徐々にインド洋へと拡大している。エネルギー輸送路の確保が目的とみられるほか、アラスカ周辺での活動は新たな北極航路を視野に入れた動きとされる。さらに、活動は太平洋全域や北大西洋にも及びつつある。

台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」助理研究員 鐘志東氏:「中共は現在、海底の総合作戦環境の把握を積極的に進めている。特に米国の重要基地周辺や戦略的水域、主要航路に至るまで探査を行っており、もはや東アジアの地域国家にとどまらず、米国と肩を並べて競争する意図を明確に示している。これは陰謀というより公然たる戦略であり、水中での戦争に向けた全面的な準備であり、将来の米中軍事衝突への備えでもある」

ロイターは、太平洋やインド洋、北極海で活動する中国の調査船42隻の過去5年間の動向を分析。その結果、少なくとも8隻が海底地形の測量を実施し、10隻が測量機器を搭載していたことが確認された。「軍民融合」戦略のもと、表向きは民間研究とされる活動が実際には軍事目的に資するとの見方が広がっている。

台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」助理研究員 謝沛学氏:「東方紅3号などの調査船に加え、約100隻に及ぶいわゆる『影の船団』が存在する。これらは漁業研究や資源探査を名目としながら、台湾やグアム、フィリピン東方といった戦略的要衝の海域で、高頻度かつ集中的に軍事的スキャンに類似した測量を行っている。中共は、水中戦場のデジタル化された早期警戒システムの構築も試みている。深海環境のデータを精密に把握し、雑音を除去することで、米軍の原子力潜水艦のソナーの性質をより正確に識別できるようになる」

海事戦略の専門家や米政府関係者は、こうした深海に関するデータの蓄積により、中共が水中環境を掌握し、潜水艦の効率的な運用や、敵の潜水艦に対する探知および攻撃能力を高める可能性があるとみている。

謝沛学氏:「中共は前例のない規模で世界的な深海測量を進めているが、これは単なる科学研究ではなく、将来の米中潜水艦戦に向けた戦略的布石である。この大規模な測量は、『透明な海洋』戦略の具体化でもある。これまで、深海は米潜水艦にとって天然の防壁であり隠れ場だったが、中共はその優位性を打ち破ろうとしている」

報道によれば、中共の調査船はグアムやハワイ周辺でも頻繁に活動している。これらの地域は米国のインド太平洋戦略における後方支援および指揮の中枢であり、周辺の海底地形を把握することは、中共の海洋戦力が米軍の第二線の基地を直接脅かすことを意味する。

鐘志東氏:「こうした露骨な海域調査は、米国や日本など関係国の警戒感を一層高める。結果として、安全保障上の緊張と対立はさらに強まり、対抗措置の応酬が続くことになるだろう」

また、海底地形のデータは、世界中を結ぶ海底通信ケーブルの位置特定や妨害、遮断のためにも不可欠である。国際社会では、中共がこれらのデータを掌握した場合、有事においてインターネットやデータ通信の遮断能力を持つ可能性が懸念されている。

一方、米国側も対応を強化しており、台湾とフィリピン間の重要海域の防衛を強化するとともに、アラスカやグアムなどの敏感地域での巡視活動を拡大。中共の調査船に対する近距離監視や電磁妨害を実施するなど、情勢変化への対応を急いでいる。

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