ラテンアメリカ首脳会議 なぜ習近平は祝電のみで出席見送りか
「ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)」第10回首脳会議が21日、コロンビアで開催された。中国共産党の習近平は出席する代わりに、書面による対応にとどめ、祝電で同地域の主権と安全の維持を支持する姿勢を示した。この対応をめぐり、米国の国家安全保障上の圧力が強まる中、中共が対外戦略が後退しているのではないかとの見方が浮上している。
「ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)」第10回首脳会議が21日、議長国コロンビアで開催された。同会議は、大国間競争や地政学的変化を観察する重要な場とされる。会議でブラジルのルラ大統領は、トランプ政権によるベネズエラおよびキューバへの強硬措置を「植民地主義への回帰」と語気を強めて批判した。しかし、ラテンアメリカ諸国の「重要なパートナー」と主張する中国共産党は、習近平が祝電を送るだけの形となった。
習近平は祝電の中で、中共は「常にラテンアメリカおよびカリブ諸国が自国の主権、安全、発展利益を守ることを支持する」と主張した。
台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の研究員 沈明室氏:「米国がマドゥロ政権の打倒を目指し、西半球を最優先の戦略地域とする状況において、中共は米国に対抗することも、ラテンアメリカの権威主義国家を公然と支持することもできず、同地域での影響力拡大や軍事支援にも慎重にならざるを得ない。今回の書面による参加は、本質的に一種の後退、あるいは米国の国家安全保障戦略を受けての緩和措置である」
分析によれば、米中関係が高度に緊張し、かつラテンアメリカの地域情勢が不安定な現時点で、中共の最高指導者が直接出席すれば、米政府に対抗や拡張の意思表示と受け取られる可能性が高いとされる。書面による参加は、政治的支持を示しつつ、視覚的な挑発姿勢を抑える効果がある。
沈明室氏:「中共は、米国が最近行っている軍事的行動に強い不満を持っている。ベネズエラやキューバにおける中共の影響力を排除する動きであるためだ。しかし、その不満を表に出して米国に対抗することはできない。現在、中共は米国から大きな圧力を受けている一方、従来密接に協力してきたラテンアメリカやカリブ諸国との関係も維持しなければならない。これらの国々は中共にとって戦略的拠点であり、公然と不満を示せば、米国が中共やこれらの国々に矛先を向ける可能性がある」
一方で、戦術的な「後退」が戦略的な「撤退」を意味するわけではないとの見方もあり、中共はラテンアメリカ諸国を自らの戦略圏に取り込む意図を放棄していないと指摘されている。祝電で言及された「5大プロジェクト(団結、発展、文明、和平、民心)」や主権支持の表現からも、北京が経済的・政治的手段を通じてこれらの国々を国際舞台での自身の支持勢力とする方針を維持していることがうかがえる。
独立研究者 頼建平氏:「中共がいうところのラテンアメリカやカリブ海支援とは、国際社会で支持してくれる『仲間』を動員することを意味する。これらの国々の政治・経済の方向性をコントロールし、戦略的に従属させようとしている。さらに、米国の『裏庭』で影響力を拡大することで、自らの実力を誇示し、米国の世界的覇権に挑戦できると考えている。そのため、戦略的に容易に譲歩することはなく、撤退もあり得ない」
頼氏はまた、中共当局は米国の「裏庭」で過度に刺激することは避けたい一方、「グローバルサウス」における主導的地位を手放す意思もないとの見方を示している。
頼氏:「もし中共がかつての鄧小平時代のように『韜光養晦』の路線に戻り、改革開放を再び進めるならば、それは世界にとっても、中国にとっても再発展の機会となる。しかし現在は対抗的な戦略を取り、覇権争いにおいて妥協せず、存在感を強く打ち出している。この状況では、米国の対中圧力は一層強まるだろう」
祝電に見られる「主権、安全、発展利益の支持」といった抽象的表現は、外交的儀礼を維持しつつ、具体的な対立問題を巧みに回避する意図があるとみられる。
沈明室氏:「現在、米国はイラン問題への対応で手一杯であるため、中共が強硬姿勢や対抗姿勢を示せば、優先的に対処される対象となりかねない。そのため、中国やラテンアメリカ諸国はいずれも当面は『韜光養晦』の姿勢を取り、米国を刺激しない方針を採るべきだ」
習近平の祝電は、国際的な圧力が高まる中での中共の「韜光養晦」路線の現代的表れと位置付けられる。専門家は、中共が戦略的に撤退する可能性は低く、国際覇権をめぐる競争やラテンアメリカ地域への長期的関与の意図は依然として維持されているとみている。