全人代常務委 前倒し会合でも張又俠に言及なし 軍権粛清は足踏みか
中国共産党(中共)全国人民代表大会(全人代)常務委員会が、突如として第二十回会議を前倒しで開催し、大きな注目を集めている。外部では、この会議で、中共中央軍事委員会副主席の張又俠、中央軍事委員会委員の劉振立に対し、何らかの追加処分が下されると見ていた。しかし、最終的な会議結果は予想を裏切るものとなり、張又俠と劉振立の名前は一切言及されなかった。では、この「異例の臨時会合」は何を意味するのか。
中共第十四期全人代常務委員会第二十回会議は、2月4日に北京で開かれた。
慣例では、全人代常務委員会は2か月に1度開催し、前回は2025年12月だったため、次回は2月下旬となるはずだった。今回の突然の前倒し開催は、外部の強い関心を呼んだ。
一部メディアは、この会議の本当の目的は、張又俠と劉振立にレッテルを貼り、職務および全人代代表資格を剥奪することにあるのではないかと推測していた。しかし、実際に決定したのは、軍需産業系統に属する3人の全人代代表資格の終止のみだった。
大紀元コラムニストの王赫氏は、「張又俠は中央政治局委員であり、軍委副主席という非常に高い地位にある。党内で正式な説明がなされていない段階で、全人代常務委員会が彼について決定を下すことはあり得ない」と述べた。
時事評論家の李林一氏も、今回の会議は不可解だと語った。「軍需産業系統の3人の全人代代表資格を剥奪するだけなら、後の常務委員会で自然に処理できたはずだ。わざわざ臨時に会議を開く必要はなかった」。
何衛東については、昨年10月17日に失脚が公式発表され、その11日後には全人代常務委員会が中央軍委副主席の職務を解いた。
これに対し、1月24日に中共国防部が張又俠と劉振立に対する調査を公式発表しており、今回の前倒し会議まで同じく11日が経過していたが、会議では2人に一切言及がなかった。
さらに、1月30日に開かれた中共中央政治局会議の公報でも、張又俠と劉振立についての言及はなかった。
王赫氏は「この件に決着をつけるのであれば、中央政治局会議で明確な説明が出るはずだが、それがなかった。張又俠をめぐり、政治局内で大きな意見の対立があり、党内で一致した見解が形成されていない可能性を感じる」と述べた。
現在、中共当局は「重大な規律違反および違法行為の疑い」を理由に、張又俠と劉振立を審査・調査しているが、具体的な罪名や証拠は公表していない。
李林一氏は、「最高指導部内部で調整がついていないのか、元老間で折り合いがついていないのかは分からないが、少なくとも現時点では決着していない。だから国家軍委副主席の職務も解かれていない」と考えた。
王赫氏は、張又俠の背後にある政治的象徴性は、個人をはるかに超えていると指摘する。「張又俠は一個人ではなく、軍隊、紅二代、太子党、さらには中共元老層を代表する存在だ。この案件の複雑さは何衛東のケースを大きく上回る」
国際メディアは総じて、張又俠の件は中共による軍の粛清、戦略調整、そして上層部の動揺を反映しているとみている。
1月28日、張又俠の調査が台湾関係に影響を与えるかを問われた中共国務院台湾事務弁公室の報道官は、動揺した様子を見せ、原稿に約10秒目を落とした後、軍の反腐敗方針を繰り返した。
また、1月31日から2月1日にかけて、中共機関紙「解放軍報」は、張又俠と劉振立の調査は重大な政治的リスクを排除するための断固たる闘争だとする論評を、連続して1面に掲載した。
この軍高官案件について、今後「逆転」が起こる可能性があるのかどうかが、現在、世間で大きな話題となっている。
李林一氏は、中共内部に意見の相違はあるものの、最終的な方向性は変わらないとみている。
「内部で分岐はあっても、最終的には解消される。習近平が一定の譲歩をする可能性はあるが、すでに発表した以上、張又俠らを解放することはない。最終的に必ず免職される。ただ、その過程で抵抗が大きいというだけだ。兵変や大規模な反乱の可能性については、軍内部での消極的な抵抗は今後も続くだろう。大規模な反抗に発展する可能性は、現時点では低いとみている」
王赫氏は、張又俠事件は中共内部の権力闘争が白熱化していることを示しており、情報を厳重に封鎖しても、軍権の亀裂を隠しきれないと指摘する。この案件は、習近平にとっても中共にとっても、体制崩壊を早める加速装置になりかねないとしている。