2024年8月29日、中国共産党中央軍事委員会副主席の張有霞氏(右から2番目)は、北京の八一ビルでジャック・サリバン米国国家安全保障問題担当大統領補佐官と会談した(NG HAN GUAN/POOL/AFP via Getty Images)

張又俠の「機密漏洩」説 巧妙に設計された「情報の逆輸入工作」か?

中国共産党中央軍事委員会の張又俠副主席が拘束されたとの公式発表後、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、上層部の通報状況に詳しい人物の話として、張が中国の核兵器計画に関する情報を米国に漏洩した疑いがあると報じた。しかし、この記事はすぐさま華人圏や中国情勢に詳しい専門家の間で疑問を呼び、当局から「意図的にリークされた情報」であるとの見方が強まっている。これは、「まず海外メディアに報じさせてから、その実績を国内に逆輸入して世論を誘導する」という巧妙に仕組まれた「情報の逆輸入工作」ナラティブではないかと疑われている。

ベテランジャーナリストの矢板明夫氏は、新唐人の番組「新聞大破解」において、この情報は間違いなく中国側から米メディアへ流されたものだと指摘した。中国共産党が意図的に情報を漏らしたのは、張又俠に泥を塗り、その粛清を正当化するためである。「売国」は許されざる罪であり、核機密の漏洩は極めて深刻な問題だ。過去の慣例に照らせば、少なくとも死刑や無期懲役以上の重刑に相当する。これは習近平の自信のなさを反映しており、「腐敗問題」で張を処理するには、もはや説得力が欠けていることを示している。

矢板氏は長年の北京での取材経験に基づき、「機密漏洩」は単なる口実であり、今回の事件を正当化するための理由に過ぎないと断じた。この説は「根も葉もないデマ」か、あるいは通常の情報交換や米軍との交流を「漏洩」として拡大解釈したものであり、文革以来の粛清で繰り返されてきた常套手段だという。

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