ドキュメンタリー作品『国家の臓器』は中国共産党政権による組織的な生体臓器摘出と闇の産業チェーンを暴いている(主催者提供)

ドキュメンタリー『国家の臓器』参院会館で上映 日本の渡航移植などの課題浮き彫りに

中国での臓器収奪を追ったドキュメンタリー映画「国家の臓器」の上映会が12月10日、参議院会館講堂で開催された。作品で取り上げられている中国で組織的に行われている強制臓器収奪について、北村議員は医師による臓器摘出の証言を含む複数の証拠が存在し、中国側から有効な反論が示されていない現状を挙げ「裁判官であれば有罪と認定する事案である」と述べた。

「国家の臓器」は、中国共産党による臓器収奪をテーマに、レイモンド・チャン監督が7年をかけて制作した作品である。内容は極めて衝撃的で、北村晴男議員は「派手な映画ではないかもしれない」が、野蛮でまともな人間であれば想定できないことが行われている中国の実態を知るために重要」と語った。

同作は2025年アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞部門の候補に挙げられ、国際映画祭では12の賞を受賞、13部門にノミネートされている。

北村議員は死刑囚からの臓器摘出疑惑の国際的調査要請を中国当局が拒否してきた経緯に触れ、調査を受け入れればウイグルなど強制収容所での臓器摘出疑惑にも調査要求が及ぶため「入り口から全て断る」という姿勢を取っていると指摘した。

また、映画には登場しないが、新たな疑念として「生まれたばかりの乳児の臓器を取り出し、成人に移植する行為が大規模に行われている」と述べ、超未熟児の臓器が利用されている可能性にも言及した。これは、子供の臓器に高い値がつくことが背景にあるとの認識を示し、極めて野蛮な行為だと述べた。

日本国内では移植臓器が慢性的に不足しており、現在、日本人が中国で移植を受ける、いわゆる「渡航移植ツアー」に参加し、移植手術を受ける日本人が増加している。中国で移植を受けるということは、その移植臓器のために誰かが殺されることを意味する。

北村議員は、本人の救命となるとしても、中国を利する結果となり、同数の人々が臓器を奪われている構図になると指摘した。そのうえで、日本は「そのような行為に加担しないための法律を作るべきだ」と強調した。

北村議員は作品の内容にあるような臓器収奪の問題についてはTVでは放送されない。仮に放送されれば「猛烈な抗議が(中国)大使館から」あるだろうと予測し、大使館からの抗議だけでなく、中国と関わりのある様々な日本企業を通じて「二度とスポンサーしない」あるいは「CMが出せない」などの圧力がかかることになると指摘した。

北村議員は、日本が隣国である中国と経済的に強いつながりを持つことで、この問題について「様々な手枷足枷をはめられている」状況にあり、政治家やメディアも中国からの圧力を恐れてこの問題に触れないでいると日本の現状を分析した。

北村議員は映画の中で登場する法輪功の学習者に触れ、中国共産党政府の弾圧の被害者であり、ウイグルの同胞の方々と同じく「命がけ」で声を上げている「その勇気を振り絞って活動されている方」に対して「敬意を表したい」と述べた。

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