日本にも影響が及ぶウイグル人弾圧に「止めるために具体的な行動を」 地方議員らが警鐘鳴らす
「日本にとっても他人事ではない」(アフメット・レテプ氏)
日本ウイグル協会とウイグルを応援する全国地方議員の会が共催で12月6日、横浜市で「ウイグル証言集会in横浜」を開き、国際的な非難をうけながらも、今なお続く、中国共産党政府によるウイグル人への弾圧の実態を訴えた。
話者の日本ウイグル協会会長のアフメット・レテプ氏によると、新疆ウイグル地区では、かつて漢人の比率は5%未満だったが、中国共産党政府の大規模な移民政策によって現在ではウイグル人を上回る勢いで増加しているという。言語、宗教、生活習慣の違いから「自然同化」が進まなかったことを受け、習近平政権は力による民族同化へと政策を転換し、ウイグル文化そのものの排除へと踏み込んだと証言した。
国際調査機関や各国政府の分析によれば、少なくとも300万人規模のウイグル人が裁判もなく収容所に送られ、思想改造や拷問を受けているとされる。女性に対しては強制的な不妊手術や避妊措置が広範に行われ、出生率は統計上も急落している。
これらの事実は、流出した内部資料や写真、名簿によって裏付けられ、収容所から逃げようとする者には「逃げれば射殺せよ」との指示が存在したことも確認されている。弾圧は収容所の内部にとどまらない。多くのウイグル人が強制労働に動員され、その製品が世界のサプライチェーンに組み込まれている。
すでにアメリカや欧州諸国、国連の複数機関は、これらを「ジェノサイド」および「人道に対する罪」に該当すると位置付けている。
2023年4月には、岸田文雄首相は強制労働に関与する企業の製品を公共事業などから排除する方針を示し、また「国際人権問題担当首相補佐官」を設置したが、欧米に比べると法的な強制力のある措置には慎重で、「人権DD(デューディリジェンスとは、Due・当然の、正当な、Diligence・精励、努力という意味)ガイドライン」の策定にとどまっている点などが、課題として指摘されている。
太陽光パネル、衣料品、電子部品などが例として挙げられ、日本の大手企業も例外ではない。日本ウイグル協会が5月に出した報告書によると、日立製作所をはじめとした日本企業34社がなんらかの形で関わっている。
また集会では中国における「臓器移植」の異常性が指摘された。台湾国際臓器移植ケア協会副理事長を務める黄千峯医師は、中国では公式なドナー数と移植件数が著しく乖離しており、移植待機期間が通常の数年単位ではなく、数日から数週間という異常な短さで実施される例が後を絶たない。こうした状況から、ウイグル人や法輪功学習者が「生体臓器バンク」として利用されている疑いが極めて濃厚だと訴えた。
イギリスの法曹関係者らによって設置された「中国民衆法廷」では、強制的な臓器収奪が実際に行われているとの判断を下している。
専門家によると新疆では、大規模なDNA採取や超音波検査を行っているが、これは単なる健康診断ではなく、将来の臓器移植の需要に備えて適合する移植臓器のデータベースを構築している可能性が高いとみられる。
当初、強制的臓器収奪は法輪功学習者が犠牲となっていた。この構造が容認されれば、被害は新疆にとどまらず、台湾、さらには日本にも拡大しかねないと黄医師は警鐘を鳴らした。
丸山治章 市議会議員(逗子市)はムスリム(イスラム教徒)であるウイグル人などが臓器移植ビジネスの犠牲になっている現実を直視してほしいと訴えた。イスラム教徒は宗教的な規律により豚肉を食さないため、イスラム教徒の移植臓器がハラル臓器としての需要が高まっている。
また日本から中国へ帰国したウイグル人留学生が、その後収容所に送られ、死亡した事例が確認され、弾圧が実際に起きていることを強調した。
また水島誠司 市議会議員(茅ヶ崎市)は日本国内においても監視の動きは確認されている。ウイグル人支援の集会や講演の場に中国側とみられる人物が姿を現し、参加者の写真を撮影するなどの威圧行為を行っている実態を明かした。
中国共産党(中共)政府は一貫して、これらの指摘を「内政問題への干渉」「虚偽の情報」として否定しているが、流出資料、統計データ、複数の国際調査、法廷判断、そして各国で一致する証言は、中共が反論するような単なる噂や一方的主張という水準をすでに超えていると指摘した。
強制労働で生産された製品は、日本の消費市場を経由して私たちの生活の中に入り込んでいる。日本に暮らすウイグル人はすでに監視や圧力の対象となっており、言論や集会の自由も間接的に侵食されつつある。日本は決して無関係ではいられない。
丸山議員は「平和というのは努力しないと維持できない」と述べ、事実を知るだけでなく、それを止めるために何らかの具体的な行動を起こしてほしいと呼びかけている。