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8つの落とし穴──“金持ち思考”が資産を減らす理由

多くの人が富裕層の仲間入りを夢見ています。高級車や豪華なバケーション、ブランド品といった、いわゆる「お金持ち」の象徴を手に入れることが「富」だと考える人も少なくありません。しかし、こうした要素は財務的な成功を錯覚させるにすぎず、真の富裕層は必ずしも「外見上の豊かさ」を追い求めているわけではありません。

アメリカ個人金融サイト「GoBankingRates」は、金融専門家でFinlyWealth共同創業者のアビド・サラヒ氏の見解を紹介しています。同氏は、「お金持ち」と「富裕」の違いを正しく理解することが極めて重要だと強調します。

「『金持ち』とは、高収入や華やかな財産を指すことが多いですが、真の『富』とは財務の安定、自由、そして長期的な安心感を意味します。多くの人は外見上の豊かさを追うあまり、気付かないうちに自ら資産形成の道を閉ざしてしまうのです」と説明しています。

以下では、「富」を妨げる可能性のある行動や兆候を紹介します。

1. ライフスタイル・インフレーション

サラヒ氏は、収入が増えると支出も急激に増える「ライフスタイル・インフレーション」は典型的な危険信号だと指摘します。「これは、富の基盤となる『パッシブインカム(不労所得)』を生む資産の蓄積を妨げます」

昇給後すぐに高級車へ買い替える行動は魅力的に思えますが、資産形成においては大きな落とし穴です。「支出が膨らめば資産は増えず、収入に頼らざるを得ない悪循環に陥ります」

富裕層は資産が増えても生活レベルをむやみに上げず、余剰資金を投資へ回す傾向があります。

イラスト:バンクーバーオートショーに展示された高級車とスーパーカー。(張克新/大紀元)
バンクーバーの高級車展示会に並ぶスーパーカー(大紀元/張可欣)

 

2. 高リスク投資

サラヒ氏によれば、一時的な「ひと儲け」を狙う投機的投資に資金を注ぎ込む行動は、短期利益を優先する典型例だといいます。真の富裕層は、分散投資や低リスクかつ長期で着実に増える投資戦略を好みます。

一攫千金を狙う人は、貯蓄の大半を特定の暗号資産や低位株に投入するかもしれません。一方、富を築く人は株式、債券、不動産など幅広い資産に分散し、高リスク投資は最小限にとどめます。

「このバランスの取れた方法は、安定した長期成長をもたらし、破滅的損失を防ぎます」と説明しています。

リターンを得るために、どれだけのリスクを負う覚悟がありますか?(Shutterstock)
リターンを得るために、どれだけのリスクを負う覚悟がありますか?(Shutterstock)

 

3. 金融リテラシーを軽視する

サラヒ氏は、「金持ちになりたい人ほど、資産管理や投資の基本を学ぶという重要なステップを見落としがちです」と語ります。

一方、真に富を築く人は金融リテラシーを磨き続け、本を読んだりセミナーに参加したり、専門家に相談したりと、継続的な学習を怠りません。

「目先の金を追う人はSNSインフルエンサーの投資情報を安易に信じがちですが、資産形成を目指す人は市場の基礎、税の仕組み、長期的な経済動向を理解し、長期的利益につながる賢明な判断を行います」
 

4. 限度なしのレバレッジ利用

サラヒ氏は、贅沢な生活を維持するための借金や、投機的投資のための高額な借り入れは非常に危険だと警告します。富裕層もレバレッジを使うことはありますが、それは慎重で計画的であり、必ず返済可能な範囲にとどめます。

カードローンや借入で贅沢な生活を維持しようとしたり、短期利益を狙って大きなリスク投資をすると、状況によっては財政破綻に直結します。

富裕層は収益を生む不動産や事業への投資にレバレッジを活用しますが、常にキャッシュフローの安全網を確保しています。
 

5. 税金・税率を考慮しない

「税込みの収入だけに注目し、税負担額を考慮しないことは大きな誤りです」とサラヒ氏は述べます。

真の富裕層は合法的な手段で税負担を最適化し、「税引後の資産」を最大化する長期戦略を立てます。高収入だけを追う人は税の影響を無視しがちですが、富を築く人は税引後の所得を重視し、構造全体を最適化します。

税の影響を無視して税引き前の収入だけに焦点を当てるのは間違いです。(Shutterstock)
税込み収入だけに目を向け、税負担を見落とすのは大きなリスクです。(Shutterstock)

 

6. 短期思考

「お金持ちになりたい人は、その場の達成感や短期利益で判断しがちです。しかし富裕層は数十年、さらには次世代を見据えて考えます」とサラヒ氏は述べます。

例えば、目の前の収入だけを求めて転職を繰り返す人もいますが、富を築く人は短期的な給与が低くても株式報酬が得られる仕事を選んだり、将来伸びる事業を育てるために時間を投じたりします。

「後者は利益が出るまで時間がかかりますが、長期的には大きな資産成長につながります」
 

7. 保険・相続対策を軽視する

資産を積み上げることばかりに意識が向き、保険や遺産計画を怠るのも典型的な誤りです。

「富裕層は、適切な保険と相続計画が資産保護に不可欠であることを理解しています。一度の事故や訴訟が長年の資産を失う原因になることを知っているからです」
 

8. 収入ばかりに注目し、純資産を見ない

サラヒ氏は、「金持ちを目指す人は収入増に執着する一方で、純資産を犠牲にしてしまうことがあります」と指摘します。高収入は資産形成の一助になりますが、それ自体が「富」ではありません。本当の富は、保有資産総額から負債を差し引いた「純資産」によって測られます。

富裕層は短期的な収入増を抑えてでも資産基盤の拡大を優先し、純資産が毎年増え続ける状態を目指します。「真の富とは、速く稼ぐことではありません。必要なのは忍耐、自律、そして長期的な視点です」と彼は補足しています。

(翻訳編集 正道勇)

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