石狩鍋(Shutterstock)

秋の終わりの「土用」食養生法― 冷えと湿気を取り、胃腸を整え、肺を元気に

霜降が過ぎると、空気が冷たくなり、湿気も増えてきます。季節の変わり目である秋の終わりの「土用」の時期は、とくに肺と胃腸(脾)が弱りやすい時期です。

肺は呼吸や体のエネルギーをつかさどりますが、冷えを嫌います。胃腸は食べ物を消化して栄養に変える働きを持ちますが、湿気に弱いです。冷えと湿気が重なると、胸の重苦しさや咳、痰、食欲不振、体のだるさなどが起こりやすくなります。

昔の人たちは、自然の変化と体の反応をよく観察していました。そして季節が入れ替わる前の18日間は「土の気」が強くなり、湿気が胃腸を傷めやすいことを知っていました。そのため、この時期に体を整えるための食事や生活法が生まれ、「土用の養生」という考え方ができたのです。

 

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立冬は肺が弱まり腎が冷えやすい季節。今年は金気が不足し肺の働きが乱れやすいため、五臓の調和が重要です。白菜や豚肉を使った温かい料理で脾と腎を温め、気血の巡りを整えましょう。
秋冬は湿気と乾燥が重なり、脾胃と肺が弱りやすく便秘が増える季節。セロリは気の巡りを促し、エリンギは腸を潤し、牛肉は胃腸を温める食材。三つを組み合わせることで、気血が整い、自然な排便リズムが戻ります。
シソは胃腸を整え、体を温め、風邪や寒さから身を守る力を高めます。特に朝に食べると、体の陽気が自然に立ち上がり、秋冬の風邪予防に効果的。朝食に取り入れたい伝統の養生法です。
中医学の養生は、体を自然界のように調和させる「気候調整」の学問。五行の働きが乱れると病が生じ、整えば健康が戻る。季節と連動した「人体の気候」を理解することで、日々の食と生活に新たな視点が生まれます。