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夜眠れない? ぐっすり眠る鍵は午前10時に

沢山の人が不眠に悩まされ、寝返りを打ってもなかなか眠れず、夜のストレスや就寝前の習慣ばかりに注目します。しかし、本当に睡眠の質を左右するのは、昼間、特に午前10時の過ごし方かもしれません。

世界睡眠学会によると、世界の約3分の1の人が不眠問題に直面しています。研究では、昼間の行動パターンが生活リズムと神経系に深刻な影響を与え、朝までぐっすり眠れるかどうかを決定します。

科学的視点から見ると、体内には見えない体内時計があり、脳の視交叉上核がそれを制御します。朝8時から10時の自然光は、この「体内時計」を調整するうえで重要な時間です。ハーバード大学睡眠医学教授チャールズ・A・ツァイスラー博士は、午前の日光浴がメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌リズムを調整し、夜の入眠を容易にすると述べています。

中医学の観点では、人体の気血の流れは「子午流注(経絡の時間的リズム)」に従います。午前9時から11時は脾経が活発な時間で、脾胃の働きが最も盛んになり、食物を気血に変換します。中医博士のアンナ・ゴールド氏は、朝に脾胃を適切に養わないと気血が不足し心神が落ち着かず、夜の睡眠が困難になると指摘します。中医の古典『黄帝内経』にも「胃が調和しなければ、眠りも不安になる」とあり、脾胃の健康と睡眠の質の密接な関連がわかります。
 

体内時計を乱す3つの悪い習慣

長時間の電子画面の使用:画面から出るブルーライトはメラトニンの分泌を抑制し、脳に昼間と誤認させ、夜の入眠に影響します。2021年の『Journal of Biological Rhythms』に掲載された研究では、朝に2時間以上画面を見ると、入眠時間が約30分遅れることがわかりました。

高糖質の食事や過剰なカフェイン摂取:甘いものやコーヒーは神経系を刺激し、血糖変動を激化させ、交感神経の活動を高めます。2022年の『Journal of Clinical Sleep Medicine』に掲載された研究では、朝に高糖質や高カフェインの摂取を行うと、夜間睡眠障害のリスクが25%増加することが示されました。

活動不足や感情的緊張:長時間の座位は血行不良や代謝低下を引き起こし、睡眠の深さに影響します。中医学では、長時間の座位は気の停滞を、ストレスは肝気の鬱結を引き起こし、脾胃の運化や心神の安寧に影響すると考えます。

 

専門家の提案:これで体を良い睡眠の軌道に

日光浴:睡眠専門家リサ・メルツァー博士は、毎日午前10時頃の日光浴で、内分泌と体内時計を調整できると提案します。中医学でも、日光は「陽を温め、気を動かす」効果があり、脾胃の活力を高め、間接的に心を落ち着けると考えます。

正しい朝食:栄養士スーザン・ブラムは、空腹時のコーヒーやデザートを控えることを勧めます。全粒穀物、タンパク質、高繊維の野菜や果物が推奨食材です。

中医学では、脾胃を温め養うことを推奨し、たとえば小米粥にナツメやクコの実を入れたり、酸棗仁茶を飲むことで心を落ち着けるとされます。

運動とマッサージ:睡眠専門家マイケル・ブルース博士は、朝の適度な運動(速歩やヨガなど)が血行を促進し、神経を安定させると述べます。中医学では、足三里(ふくらはぎ外側、膝下約7.5cm)と内関(手首の横じわから約5cm上)のツボをマッサージし、気血を疏通させ、心を落ち着かせ安眠を促すと勧めます。

呼吸法の練習:複数の臨床実験で、正念呼吸(意識的に呼吸に集中すること)がコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を減らし、不安を軽減し、睡眠の質を高めることが証明されています。中医学ではこれを「気を整え、心を落ち着かせる」と呼び、特に神経過敏型の不眠に効果的です。

不眠で悩んでいるなら、昼間、特に「午前10時」の行動パターンに注目してください。日光浴、朝食の調整、ツボマッサージ、深呼吸など──中西医の専門家は、この時間帯の自己調整が、高品質な深い睡眠を決定する可能性があると指摘します。

明日午前10時から、小さな変化を試してみてください。一夜の深い睡眠は、想像以上に簡単だと気づくはずです。

良克霖