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「雀大水に入って蛤となる」——寒露にあらわれる自然の変化と貝の季節

秋分が過ぎると、季節は寒露(かんろ)を迎えます。これは10月8日から22日ごろまでの15日間で、深まる秋を象徴する節気です。秋の最後の月のはじめにあたるこの時期は、朝晩の冷え込みが強まり、露も冷たく、空気の中に「冷たさ」と「静けさ」が増してきます。自然界では陽のエネルギーが弱まり、陰のエネルギーが強くなる——いわば、「陽が潜む」時期です。この陰陽の変化を感じ取り、食事や生活のリズムを調整することで、体調を整えることができます。

昔の人は、自然界の動物や植物の様子を見て季節の移り変わりを知りました。これを「物候」といいます。古代では、陰と陽のエネルギーの変化を観察し、一年を二十四節気に分けていました。そして一つの節気をさらに三つの「候」に分けます。一候は五日間で、つまり五日ごとに自然の気の流れが少しずつ変わる、という考え方です。三候で十五日になり、これが一つの節気を形づくっています。

寒露の三候は次の通りです。

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