静脈瘤は通常、下肢の血液循環不良によって起こると考えられており、長時間立ちっぱなし・座りっぱなしの人に多く見られます。しかし臨床観察では、運動習慣のある人も高リスク群に入る可能性があることがわかっています。台湾・翰鳴堂中医診所の院長、頼睿昕氏によれば、日常の保養や精油マッサージが静脈瘤の緩和と予防に役立つとされています。

虚実2タイプの静脈瘤
下肢の血液循環が悪くなったり、静脈弁が正常に働かなくなると、血液が心臓へ戻れずに滞留、あるいは逆流します。その結果、静脈が拡張・蛇行し、重症の場合は静脈瘤や血栓につながることもあります。
頼氏によれば、中医学では静脈瘤を体質によって「虚」と「実」の2タイプに分けて治療します。
虚タイプ: 気虚の人に多く見られ、高齢者、栄養不足、運動不足の人が該当します。気が不足すると血流に影響が出るため、漢方薬で気を補い血液循環を改善します。
実タイプ: 健壮で湿熱体質の人に多く、特にフィットネス愛好者に見られます。高たんぱく食をとることが多く湿熱が生じやすいため、清熱・利湿、活血・化瘀の漢方で改善を図ります。
運動習慣のある人も高リスク
運動をよくする人が静脈瘤になるケースは大きく2種類あります。
筋トレ(重量挙げなど): 下肢からの血液は腹腔を経由して下大静脈に集まり、心臓に戻ります。筋トレ時に腹圧が上がると下肢の血液の戻りが妨げられ、静脈瘤リスクが高まります。
筋肉疲労: トライアスロンやマラソン選手のように長時間立ち続けたり激しい運動をした後、休養が不十分で筋肉疲労が起こると血流が滞り、静脈瘤につながる可能性があります。
頼氏は、筋肉疲労が原因で下肢炎症を起こした症例を紹介しています。ある女性患者は静脈瘤を中医学でコントロールできていましたが、日本旅行で長時間歩いた後に下肢が腫れて炎症を起こし、皮膚が黒ずみました。西洋医学では手術を勧められましたが、患者は中医治療を選択し、頼氏が鍼灸と精油の塗布を行ったところ、血管の炎症が改善され、腫れや赤みが消え、皮膚も回復しました。
静脈瘤を減らす2つの養生法
頼睿昕氏によれば、静脈瘤ははっきりした前兆がないことが多く、「青いミミズのような血管」が現れたときには、すでに症状が進んでいるケースが多いそうです。そのため、以下の2つの日常ケアを実践することがとても大切です。
定期的に体を動かす: 長時間立ちっぱなしや座りっぱなしを避け、こまめに姿勢を変えて下肢の血流を促す。
弾性ストッキングを着用: 仕事の都合で姿勢を変えるのが難しい場合、医療用弾性ストッキングが有効です。部位ごとに圧力をかけ、血液の流れを助け、筋肉マッサージのような効果があります。
また、仕事や運動後に足のだるさやむくみを感じる場合は、就寝前に足を高く上げて休むと、血管への負担を和らげることができます。
血管ケアに役立つ4種の精油
頼氏は、精油が皮膚から吸収されることで鎮静や抗炎症、血行促進に役立つと説明し、次の4種類を勧めています。
- イモーテル:中医学でいう「瘀(うっ血)」を和らげ、血液の滞りを改善。
- フランキンセンス:気を補い、陽気の巡りを助け、血流を促進。
- サイプレス:静脈瘤に伴うむくみに有効で、水分代謝を整える。
- ゼラニウム:炎症を落ち着かせる作用。
使う際はやさしいマッサージで肌になじませることが大切です。マッサージは足首からふくらはぎにかけて心臓に向かって押し上げるように行うか、足裏から上に向かって行います。足裏には健康に関わるツボが多くあり、マッサージに適しています。
(翻訳編集 華山律)
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