最新の研究により、普段あまりコーヒーを飲まない人でも、朝に一杯のコーヒーを飲むことで、その日を快適に感じられる可能性があることが分かりました。一方で、遅い時間にコーヒーを飲んだり、過度に依存したりすると逆効果になることも指摘されています。
この研究は、イギリスのウォーリック大学とドイツのビーレフェルト大学の研究者によって共同で行われ、その報告は最近『サイエンティフィック・リポーツ』誌に掲載されました。
研究では、200人の若年層を対象に4週間にわたる追跡調査を実施し、彼らの感情反応を測定しました。参加者には1日7回、スマートフォンを通じて通知が届き、その都度の感情や直近のカフェイン摂取時間を記録するよう求められました。
結果によると、カフェインを摂取する人の中でも、起床後2時間半以内にコーヒーまたは紅茶を飲んだ人は、より遅い時間に飲んだ人より気分が良い傾向が見られました。研究者たちは、情熱や喜びといったポジティブな感情の高まりが、カフェイン摂取と関係していると述べています。
ウォーリック大学心理学教授のアヌ・レアロ氏は、「カフェインは脳内のアデノシン受容体をブロックすることによってポジティブな効果を生み出します」と説明しています。
さらに、「この作用は感情の改善や覚醒度の向上に関係する脳の重要な領域におけるドーパミン活動を活性化させることが分かっています」と述べました。
従来の研究によれば、アデノシンは眠気を引き起こす物質であり、カフェインはその働きを抑制することで効果を発揮します。
脳内のアデノシンは、朝起きた時には比較的少なく、日中にかけて徐々に蓄積していきます。アデノシンが受容体と多く結びつくと、脳は「休息が必要だ」という信号を送り、私たちは疲労や眠気を感じるようになります。
コーヒーによって得られる覚醒感はカフェインの作用によるものであり、研究ではその覚醒感は「身体のエネルギーを借りている」状態だと指摘しています。つまり、カフェインがもたらす「元気さ」は、疲労信号を抑えることによるものであって、体力そのものを高めたり、食物のようにエネルギー源を与えたりするわけではありません。
実際に、ブラックコーヒー1杯のカロリーは5キロカロリー未満であり、エネルギーは身体から「借りている」と言えます。
アデノシンは睡眠中に取り除かれるため、睡眠後にはすっきりした感覚が得られます。一方、十分な睡眠をとらないと、脳内のアデノシンおよびその受容体が増加し、翌日のぼんやり感の原因となります。
2020年に発表された総合的な分析によると、複数の研究が、睡眠不足時にカフェインを緊急的に摂取することで、認知機能や仕事のパフォーマンス、運転能力などが一定程度改善されることを示しています。ただし、カフェインの過剰摂取は身体のリソース配分に影響を与える可能性があります。
カフェインは、エネルギーを「注意力の向上」へ優先的に配分させるため、筋肉の回復や免疫力、持久力活動に必要なエネルギー補給を損なう恐れがあります。特に、遅い時間帯にコーヒーを摂取すると、睡眠の質を低下させ、細胞の修復に悪影響を与え、長期的な健康リスクを高める可能性があります。
なお、コーヒー豆以外にも、世界中で60種類以上の植物にカフェインが含まれています。代表的なものとしては、茶葉、ガラナの実、カカオ豆などが挙げられます。
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