菜食は環境にも健康にも良い一方で、特定の栄養素が不足しがちです。栄養士が、栄養バランスを崩さず「健康に食べ、長寿につなげる」ための工夫を紹介します。
1. ビタミンB12

働き:赤血球の生成を助け、神経系の正常な働きを維持する。不足すると、貧血・記憶力低下・神経障害・疲労を引き起こしやすい。
人体では合成できず、主に動物性食品に含まれるため、菜食者が特に注意すべき栄養素。
推奨食品:植物性ミルク、海苔、ビタミンB12サプリメント。
2. 鉄分

働き:ヘモグロビンの材料となり、酸素を全身に運ぶ。不足すると、めまい・爪が割れやすい・免疫力低下などを招く。
植物性食品の鉄は吸収率が低く、フィチン酸やシュウ酸を含む食物はさらに吸収を妨げる。
推奨食品:濃い緑色野菜、ビタミンCを多く含む果物や野菜(例:パプリカ、グアバ)。
3. 亜鉛

働き:不足すると免疫機能の低下、大量の抜け毛、成長の遅れ、嗅覚の鈍化が起きやすい。
野菜に含まれる食物繊維やフィチン酸は亜鉛の吸収を妨げる。
推奨食品:ナッツ、オート麦、発酵食品(味噌、納豆など)。
4. たんぱく質

働き:細胞修復、筋肉成長、免疫強化を担う。
不足すると免疫異常、体力低下、サルコペニア、傷の治りの遅さにつながる。
動物性たんぱく質は必須アミノ酸を完全に含むが、菜食では不足しやすい。
推奨食品:豆類・大豆製品と穀物を組み合わせて摂取する。
5. オメガ3脂肪酸

働き:必須脂肪酸で脳の健康に重要。
不足すると物忘れ、気分の落ち込み、炎症、ドライアイなどが起きやすい。
魚由来のオメガ3は利用効率が高いが、植物由来は変換効率が低い。
推奨食品:藻類オイル、亜麻仁、クルミ。
6. カルシウム

働き:骨の健康維持、筋肉の収縮、神経伝達に関与。
不足すると骨密度の低下、脚のけいれん、筋力低下を引き起こす。
推奨食品:黒ごま、ビタミンD(太陽光、干ししいたけなど)。
7. ビタミンD

働き:カルシウム吸収を助け、骨の健康や免疫機能、情緒の安定を支える。
不足すると気分の落ち込み、骨粗しょう症、免疫低下、疲労を招く。
主な供給源は太陽光と動物性食品。
推奨食品:サプリメント、日光浴。
補足アドバイス:菜食者は栄養バランスを意識し、食材を多様に選ぶことが大切です。また、油は同じ種類を続けず、定期的に変えるのがおすすめです。
(翻訳編集 華山律)
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