春深まる穀雨 湿気が脾を傷めやすい季節
春が深まり、雨の多い季節となる穀雨(こくう)のころ。しとしとと続く細かな雨とともに、湿気が静かに満ち始めます。この時期、大地に湿気が重たくのしかかるように、私たちの体にも影響を及ぼし、五行で「土」に属する脾胃の働きを乱しやすくなります。
中医学には「脾土は湿を恐れる」という言葉があり、湿気によって脾の働きが鈍ると、気の巡りが滞りやすくなり、食欲不振、体の重だるさ、精神的な疲れなどの不調を引き起こします。
脾胃が弱れば、体を支える気血も十分に生み出せず、さまざまな不調を招くもとになります。そのため、穀雨の時期の養生では、脾を元気にし、湿を取り除き、気の巡りをスムーズにすることが何より大切です。
そんな季節、日本の食卓にぴったりなのが、ふわりと香る炊きたてのそら豆ごはん。新鮮なそら豆の清々しい香りと、ふっくらと炊き上がった米粒が織りなす一膳は、まるで田畑の生命力と脾胃の活力をそっと呼び覚ましてくれるようです。
そら豆ごはん

食材の性質と効能
・そら豆(温性・甘味/脾・胃・腎に作用)
脾を助け、湿を取り除き、消化力を高め、気血の生産を促します。
・白米(平性・甘味/脾・胃に作用)
脾胃を養い、湿気を排出し、体内の水分バランスを整えます。
・生姜(温性・辛味/脾・胃に作用)
胃腸をあたためて寒さを払い、脾胃の働きを活性化し、湿気によるお腹の張りをやわらげます。
・干し貝柱(温性・甘味/脾・胃・腎に作用)
脾胃を元気にし、消化を助けながら、気血の巡りを促進します。
材料(2人分)
- そら豆(生または乾燥) 200g
- 白米 150g
- 干し貝柱 50g
- 生姜 3枚
- だし汁(または干し貝柱の戻し汁) 適量
- 塩 適量
作り方
- そら豆の下ごしらえ:
乾燥そら豆は6時間ほど水に浸して皮をむきます。生のそら豆は皮をむいて洗っておきます。
- お米の準備:
お米を洗って10分ほど水に浸し、水を切ります。
- だしを準備:
干し貝柱を30分ほど水に浸し、戻し汁をだしとして使います。そこに生姜と塩を加えて軽く温めます。
- 炊飯:
炊飯器に米、そら豆、生姜、干し貝柱、だし汁を入れ、塩加減を調整して通常通り炊飯します。
- 仕上げ:
炊き上がったら全体を軽く混ぜ、器に盛りつけて完成です。
こんな方におすすめ
- 湿気がたまりやすく、脾胃が弱りがちな方
- 気血不足で疲れやすい方
- 食欲が落ちている方、消化不良気味の方
注意が必要な方
- 脾胃の冷えが強い方(湿寒体質)
- 豆類にアレルギーがある方
体質に合わせた調整
- 寒湿体質の方
生姜を多めにしたり、紅棗やクコの実を加えると温め効果が高まります。
- 湿気が強い方
はとむぎを加えると、さらに湿を取り除く効果が高まります。
まとめ
このそら豆ごはんは、そら豆による脾胃の強化と湿の除去、お米による胃腸の養生、干し貝柱による気血の補いが一体となった、穀雨の季節にぴったりの一品です。湿気で重だるくなった体を軽やかに整え、脾胃を元気に、気血を生み出す力を高めてくれます。
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