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気軽な摂取は避けたい! がんリスクを高める3つのサプリメント

世界的に、ビタミンの栄養補助食品を摂取する人々が増加しています。しかし、いくつかの研究では、ベータカロテン、ビタミンE、ビタミンB群などの特定のサプリメント摂取が、がん発症のリスク増加と関連している可能性があることが示唆されています。

ベータカロテン

2023年に医学雑誌『Nutrition Reviews』に発表された報告において、8つの実験を分析した結果、ベータカロテンのサプリメント摂取はがんの発生率において全体的に有益でも有害でもないことが示されましたが、特に喫煙者において肺がんのリスクを高める可能性があることがわかりました。そのため、がん予防のためのベータカロテンサプリメントの摂取は推奨されません。

さらに、2022年に同雑誌に発表されたメタ分析結果によると、ベータカロテンのサプリメント摂取が肺がんリスクを16%増加させることが示されました。特に喫煙者やアスベスト作業者は、リスクが21%増加するという結果が得られました。

医療従事者と他の職業従事者がベータカロテンのサプリメント摂取した際の健康への影響を比較した所、医療従事者には健康への有意な影響は見られませんでしたが、他の職業群では健康リスクが18%増加しました。研究者たちは、医療従事者が普段から、健康的なライフスタイルを維持することを意識しているため、このような結果が得られたのではないかと考えています。

2020年に学術雑誌『Antioxidants』に発表された研究では、ベータカロテンは人体内で抗酸化物質でありながら、プロオキシダント(酸化促進物質)としても作用する可能性があり、さらに紫外線による発がんリスクを悪化させることが示唆されています。

米国予防サービス特別委員会(USPSTF)は、心血管疾患(CVD)やがんの予防のためにベータカロテンのサプリメント摂取を推奨しないとしています。

2023年にイギリスのニューカッスル大学が発表した研究によると、ニンジンを多く食べることが、がんの発症率の低下と関連していることが分かりましたが、ベータカロテンを多く摂取してもそのような効果は見られませんでした。

台湾の腎臓専門栄養士であるリン・シー・ハン(Lin Shi-hang)氏はエポックタイムズに対して、1粒の栄養補助食品の摂取量は食品中の量よりも高いことが多いと述べています。ニンジン、ホウレンソウ、カボチャ、柑橘類、メロン、ピーマンなど、ベータカロテンが豊富な食品を食べることは安全で、抗酸化物質を取り入れることにもなり、果物や野菜からより多くの栄養素を吸収するのに役立ちます。

 

ビタミンE

ビタミンEは抗酸化物質です。フリーラジカルを排除する効果があり、抗老化を促進し、免疫力を向上させることができます。しかし、ランダム化比較試験において、ビタミンEのサプリメント摂取が男性の前立腺がんリスクを大幅に増加させることが明らかになりました。アメリカ、カナダ、プエルトリコからの3万人以上の参加者が、7〜12年間、1日400 アイユーIU (268ミリグラム)のビタミンEを摂取したところ、比較薬としての偽薬と比べて前立腺がんのリスクが17%高いことが示されました。

2019年に科学雑誌『Cell』に発表された研究によると、ビタミンEと抗酸化物質であるN-アセチルシステインの長期的なサプリメント摂取は、肺がんの転移をさらに促進する可能性があることがわかりました。

米国予防サービス特別委員会(USPSTF)は、心血管疾患(CVD)やがんの予防のためにビタミンEサプリメントを使用することを推奨していません。その理由として、9つのランダム化比較試験の分析結果を挙げており、いずれの試験でも効果が見られなかったことが示されています。

ビタミンEは優れた抗酸化物質ですが、過剰に摂取すると消化管出血やその他の症状を引き起こす可能性があると、台湾長庚記念病院腎臓科の教授でありポイズンセンターの所長を務めるイェン・ツンハイ(Tzung-Hai Yen)博士は「エポックタイムズ」に語りました。

特に慢性疾患を抱える人々にとっては、この点が重要だとしています。彼らにとっては、健康食品の多くが自身に適さない可能性があるため、より慎重であるべきです。ビタミンEのサプリメントを摂取する前に、まず医師に相談することが推奨されます。

 

ビタミンBの過剰摂取

アメリカの大規模な研究によると、高用量のビタミンB6(1日20ミリグラム以上)またはビタミンB12(1日55マイクログラム以上)のサプリメントを摂取した男性は、摂取しなかった人々と比べて肺がんのリスクがほぼ倍増していることがわかりました。

医学雑誌『Journal of Clinical Oncology』で発表された研究では、50〜76歳のアメリカ人7万7118人を対象に行われ、ビタミンB6またはB12を摂取していた男性、特に喫煙者は30〜40%の肺がんリスクの増加が見られました。

しかし、ビタミンB6、B9(葉酸)、およびB12のサプリメント摂取と女性の肺がんリスクとの間には関連は見られませんでした。データによると、参加者のビタミンB6およびB12の摂取量は、アメリカ政府の推奨する1日あたりの摂取量(それぞれ1.3ミリグラム/日および2.4マイクログラム/日)を大幅に超えていました。

がん研究の医学雑誌『International Journal of Cancer』に発表された症例対照研究では、5183組の症例から、ビタミンB12の高摂取が肺がんリスクの増加と関連していることが示されました。また、2万9266件の肺がん症例と5万6450件の遺伝データも分析され、同様の結果が得られました。

この結果は観察的なものであり、因果関係として扱うことはできないと、台湾の登録栄養士であるチェン・シャオウェイ(Chen Xiaowei)氏はエポックタイムズに語りました。

現代人の食事は多様化しており、過剰でない限り、追加のビタミンをサプリメントで摂取することに危険はないとChen氏は指摘しました。がんのリスクがある人や家族にがんの病歴がある人は、ビタミンを摂取する際に注意が必要です。ビタミンB12やその他の栄養素に関しては、医療専門家に従うのが最良だと述べています。

 

自然食品こそが最良の健康食品である

イェン・ツンハイ博士は、人工的なビタミンから製造されたサプリメントにはしばしば賦形剤(医薬品や農薬などの取扱いあるいは成形の向上や服用を便利にするために加える添加剤)と呼ばれる添加物が含まれており、多くの場合、見た目を良くするために人工的な着色料が加えられていることを強調しました。これにより、人々は意識しない間に過剰に摂取してしまうことがあると指摘しています。

これらはすべて合法的な添加物であるものの、医師は通常、腎臓透析を受けている患者、重度の栄養失調の患者、または自力で食事を摂取できない患者を除いてはこれらの摂取を推奨しません。彼は、最良の健康食品は常に自然食品であると強調しました。

中国伝統医学(TCM)はこの哲学と一致しており、自然食品を通じて健康を促進し、多様な栄養素を摂取することを推奨しています。日本九州漢方研究会のTCM専門家であるケン・リツガク(Ritsugaku Ken)氏は「自然食品は人間の体に必要なビタミンが豊富で、これらのビタミンは他の栄養素と相乗効果を発揮し、より簡単に吸収、利用されるようになる」とエポックタイムズに語りました。

イェン博士によると、伝統的な中国伝統医学(TCM)には「ビタミン」という現代の科学的な用語は存在しません。TCMでは、食物の代謝によって生成される微細な物質が、人体を養い、生命力を維持し、体内のエネルギーの流れを促進し、内臓の機能を高め、寿命を延ばし、病気に対する抵抗力を向上させるのに十分であると述べています。これは、現代の栄養学におけるビタミンの概念に似ているといえます。

彼は、中国伝統医学(TCM)が、食物の五味(酸味、苦味、甘味、辛味、塩味)と五色(緑、赤、黄、白、黒)の摂取を推奨していると言いました。これらは、体内の五つの重要な臓器とエネルギーシステムに対応しています。多様な食事を意識的に摂取することで、体を調整し、免疫力を高めることができます。これが行われると、ほとんどの人はサプリメントを必要としなくなります。

 

(翻訳編集 山本 拓)

Ellen Wan
2007年から大紀元日本版に勤務しており、時事から健康分野まで幅広く携わっている。現在、記者として、新型コロナウイルスやコロナワクチン、コロナ後遺症、栄養学、慢性疾患、生活習慣病などを執筆。