牛乳はタンパク質とカルシウムが豊富な食品で、正しく飲めば、健康促進の効果があります。体に負担をかけずに効率よくカルシウムを吸収できる飲み方、血管を守りながらコレステロールをさげる効果を期待できる牛乳と相性のいい食材、カルシウムの含有量が多い、高カルシウム牛乳の効果についてご紹介します。
冷たい牛乳を控えるべき
まず、牛乳は冷たいまま飲まないことです。牛乳は体にとって栄養補給に役立ちますが、飲みすぎると、体内に「湿気」と呼ばれる余分な水分や老廃物が溜まることがあります。特に冷たい牛乳を飲むと、この「湿気」が倍増する可能性があります。その「湿気」を取り除かなければ、脾胃(脾臓と胃腸など消化器系の機能)に悪影響を及ぼし、消化能力が低下してしまうことがあります。
漢方医学では、「湿気」は病気の発生源の一つとしています、「湿気」が体内に長時間溜まることによって、肥満や心血管疾患を誘発する恐れがあります。
「湿気」が体内に溜まらないようにするためには、牛乳を温めてから飲むことをおすすめします。暖かい牛乳は体にとって栄養素が吸収しやすく、特に夜に温かい牛乳を飲むことは、胃にも優しく、快眠を促す効果が期待できます。
漢方医学では、「胃に不調があれば安眠できない」という考え方があります。つまり、お腹や胃に痛みや膨張感など不快な症状があれば、睡眠に悪影響を与えるということです。この時、温かい牛乳を一杯飲めば、胃の粘膜を補強し、胃液分泌を高め、不快を解消できます。
漢方医学の古典《温病条辨》にも「風邪が治ったばかりの人は、胃液が少なく、喉が渇きやすい、牛乳を飲めば、その症状をやわらげられる」と牛乳の胃腸への効果を記載しています。
一日摂取量の目安
大人でも子供でも、一日に牛乳を1~2杯摂取することが推奨されています。これにより、カルシウムとタンパク質を十分に補給できます。ただし、最大でも480ミリリットルを超えないようにしましょう。飲みすぎると、お腹の膨張感や消化不良を引き起こす可能性があり、また、牛乳には脂肪分が含まれているため、過剰に摂取するとコレステロール値が高くなることもあります。
米国農務省の食事ガイドライン「MyPlate(マイプレート)」によると、成人と青少年は1日に乳製品を3回、子供は1日に2~2.5回摂取することが推奨されています。1回分は、以下の量に相当します:
• 牛乳1杯(約240ミリリットル)または200ミリリットルの紙パック牛乳1パック
• 固形チーズ(約42グラム)
• 細かく刻んだチーズ(約80グラム)
• ヨーグルト2カップ(約480ミリリットル)
朝食【黒ゴマ牛乳】
30歳を過ぎると、骨密度が徐々に減少し始めます。特に閉経後の女性は、減少スピードがさらに速まります。カルシウム補給は一つの食品だけに頼るのではなく、バランスよく様々な食品から摂取することで、体がカルシウムをしっかり吸収することができます。
お勧めの高カルシウム朝食:
朝に240ミリリットルの牛乳に黒ゴマパウダーを加えて飲みましょう。
- 牛乳1杯(240ミリリットル)にはカルシウムが290ミリグラム含まれています。
- 黒ゴマパウダーにはカルシウムが340ミリグラム含まれています。
この組み合わせで、手軽にカルシウムを補給できます。
さらに、夜に牛乳1杯を追加すると、1日に必要な推奨カルシウム量1000ミリグラムを簡単に達成できます。
黒ゴマのカルシウム含有量は100グラムあたり974ミリグラムと非常に高いです。カルシウム補給のほか、抗酸化作用やコレステロールを低下させ、脂質代謝の調整や心血管を守るなど効果もあります。
さらに、黒ゴマに含まれるセサミンは、人間の骨の形成にかかる細胞の分化を促進する作用があります。また、破骨細胞の分化や機能を抑制する効果もあるため、骨粗しょう症の予防や緩和に役立ちます。
カルシウム補給は一つの食品だけに頼らない
高カルシウムの朝食に加え、昼食や夕食では次のカルシウムを補給できる食品を取り入れましょう。例えば、アブラナ科の野菜、昆布、乾燥小魚などです。アブラナ科の野菜(チンゲン菜、菜の花、ブロッコリーなど)は、牛乳よりもカルシウムの含有量が高いと言われています。また、昆布はカルシウム補給に優れた食品で、ベジタリアンの方に適しています。
午後のおやつには、アーモンドや乾燥小魚の小袋がいいでしょう。カルシウムを補給しながら、空腹感も満たせます。乾燥小魚にはリン酸が豊富に含まれており、カルシウムとバランスよく配合することによって、カルシウムを骨に定着させる効果があり、しっかり吸入を手助けになります。
高カルシウム牛乳 vs 無添加牛乳
一部の牛乳は「高カルシウム」を謳っていますが、実際に補えるカルシウム量が必ずしも多いとは限りません。無添加牛乳で十分です。カルシウム補給のポイントは、カルシウムとリンのバランスにあります。適切に組み合わさることで骨を強くする効果が期待できます。カルシウムだけを補給してリンの摂取を無視すると、骨からカルシウムが流出する逆効果にもたらし、骨密度の減少を早める結果となりかねません。
カルシウム補給のもう一つ重要なポイントがビタミンDです。ビタミンDは日光を浴びることで補うことができますが、アメリカ人の40%ビタミンDが不足しているとされています。ビタミンDが不足していると、どれだけカルシウムとリンを摂取しても体がそれを有効に活用することができません。そのため、カルシウム、リン、ビタミンDという3つの栄養素がそろって初めて効果的な補給が可能になります。牛乳はこの3つの栄養素をすべて含まれています。
生乳 vs 粉ミルク
生乳、常温保存牛乳、粉ミルクの栄養成分に大きな差はありません。常温保存牛乳が長期間保存できるのは、「超高温殺菌」と「無菌充填包装」によるものであり、防腐剤が添加されているわけではありません。
牛乳を飲む際の注意点
1.牛乳と薬(漢方を含め)を同時に摂らないこと
牛乳に含まれるカルシウム、マグネシウム、鉄分が薬と相互作用を起こし、薬の吸収を妨げて効果を低下させる可能性があります。そのため、薬を服用する前後2時間は乳製品を摂取しないようにしましょう。
2.牛乳と酸性食品を一緒に摂らないこと
中医学の古典《本草綱目》には、牛乳と酸性食品を同時に摂ると腹部に硬結を生じる恐れがあると記されています。そのため、牛乳とフルーツをミキサーにかけてジュースを作る際は、パパイヤやバナナのような甘いフルーツを使うことをおすすめです。
(翻訳編集 正道 勇)
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