自分の子供や自分自身も忘れるのは悲しいでしょう

専門家直伝! 脳を活性化する4つの栄養素

人間にとって、健康は非常に大事で、脳の健康を判断する重要な指標の一つは記憶力です。人間の脳内に学習や記憶をつかさどる部位は海馬であり、年齢に重なるにつれ、海馬も萎縮し始めます。その萎縮を抑制し、認知機能を効果的に改善できる4つの栄養素をご紹介します。
 

海馬の役割

人間は脳の左右にそれぞれ1つずつ、計2つの海馬があります。この海馬はどんな役割をはたしていますか。

海馬のx線イメージ(Shutterstock)

1. 新しい情報の処理と保存:海馬は新しい情報を脳に記憶として保存する役割があるため、新しい知識を学ぶ時に重要な機能です。

2. 記憶の統合と形成:海馬は断片的な記憶を統合し、大脳皮質に保存します。また、短期記憶を長期記憶に変換する役割もあり、記憶した内容を固定化されるようにします。

3. 空間記憶:海馬は自分が置かれる環境を把握し、空間認知力を形成する上で重要な役割を果たしています。

4. エピソード記憶機能:海馬は、私たちが個人的に経験した出来事の詳細(時間、場所、ストーリーなど)を処理し、保存する役割を担っています。
 

海馬損傷による記憶障害

海馬損傷により、短期間の記憶障害が起きます。2~3年前の記憶が消失(逆行健忘)したり、障害後に起こった出来事や勉強した知識など覚えなくなったり(前行健忘)症状が出ます。

人は、自分の記憶力の衰えに気づく際、時間的に新しい記憶ほど思い出せなくなります。さらに、過去に経験したことなど思い出せなくなるような、部分的または完全なる記憶喪失を誘発されることもあります。空間認識とナビゲーション能力と環境把握力も阻害されます
 

認知能力を改善できる4つの栄養素

人間の記憶機能や空間ナビゲーション能力に海馬が重要な役割を果たしています。臨床例を通じて、海馬機能の維持し、記憶力と認知力を改善できる4つの栄養素をご紹介します。

1. オメガ3脂肪酸

研究では、食事やサプリメントでオメガ3脂肪酸を補充することで、認知能力を守り、アルツハイマー病を予防する効果が期待できることがわかりました。

オメガ3脂肪酸(Shutterstock)

 

70代の張さんは、軽度の認知障害を抱えています。DHAとEPAの含有量が多いサプリメントを飲むように指導しました。6カ月後にテストの結果、記憶力も認知機能も向上されたと見受けられました。MRIの映像で確認したところ、海馬の萎縮もペースダウンになりました。この結果はオメガ3脂肪酸が海馬を守り、認知機能の全般を向上させる効果を証明できたのです。

別の65歳の患者は、初期のアルツハイマー病を患い、オメガ3脂肪酸を12カ月飲み続けました。認知機能の回復はしなかったものの、進行を止め、状態が安定していることを確認できました。脳の画像検査で、海馬の萎縮が遅くなっていることも判明したのです。つまり、オメガ3脂肪酸は症状の進行を遅らせ、海馬の健康を維持する効果がある可能性を示唆しています。
 

2.抗酸化物質

食べ物に含まれている抗酸化物質や抗酸化サプリメントは、海馬を酸化損傷から守る効果があります。

ブルーベリー(Shutterstock)

 

72歳の男性患者さんは、記憶喪失の初期症状が現れ、6カ月の時間をかけて、食事を調整しました。ブルーベリーやダークチョコレートなど抗酸化物質が含まれる食品を摂取させた結果、認知機能の改善を観察できました。

研究では、ブルーベリーに含まれているポリフェノールは高齢者の認知機能を改善できるし、認知能力を低下する恐れがある高齢者において、エピソード記憶及び実行能力を向上させる可能性があることもわかりました。ダークチョコレートが認知能力の改善に役立つ効果も証明されました。

患者さんの食事調整では、糖分と揚げ物の摂取を減らすことも含まれていて、努力した結果、記憶力や情報処理スピードの改善を見受けられ、血液検査でも、酸化ストレスの数値が降下したことも観察できました。

65歳の女性患者さんは、閉経後に記憶力の低下を感じていました、彼女にビタミンCとEの補充しましょうとアドバイスしました。9か月の治療を経て、彼女の記憶力、特に短期記憶において著しい改善が見られました。これは、抗酸化物質であるビタミンCとEが海馬を保護する効果があることを示しています。研究では、アルツハイマー病に対して、ビタミンCの補充は予防および治療の一つの有効な手段であるとされています。

ビタミン(Shutterstock)

 

3. ビタミンB12

研究によると、ビタミンB12の不足は認知障害や海馬の萎縮と関連しているとされています。臨床試験の結果も、ビタミンB12欠乏症の患者の認知障害がビタミンB12を補充することによって一時的に改善されることが示されています。

女性患者さんは、若いのに、認知能力と記憶力が低下した症状が現れました。ビタミンB12の注射を実施し、数カ月後、認知能力と記憶力が明らかに改善されました。若年層の発症は、原因がビタミンB12欠乏症であるかどうかを一度確認してみましょう
 

4. クルクミン

抗炎症作用及び神経を守る機能があります。海馬の健康維持に役立ちます。研究では、クルクミンはアルツハイマー病の進行を遅らせ、運動機能や認知機能に関係する認知障害を改善できることがわかりました。

60歳の患者さんは、軽度の認知障害を抱え、濃度の高いクルクミンを処方し、他の治療法と併用して6カ月継続しました。その結果、記憶力と認知機能が改善されました。神経心理学の観点から、海馬の機能が回復していると評価しました。

上記の事例は、海馬を守り、記憶や認知能力を改善できる4つの栄養素をご紹介しましたが、個人差や実際の状況により効果も異なりますので、具体的な治療法については専門医にご相談してください。

クルクミン(Shutterstock)

(翻訳編集 正道 勇)