マヌカハニーの成分ががんと関連? 研究が示す新たな可能性

最近の研究により、マヌカハニー(マヌカという植物の花から採れる蜂蜜)に含まれるメチルグリオキサール(MGO)とがんの関連性が浮き彫りになりました。これまで、多くの人々がマヌカハニーの抗菌作用と治療効果を高く評価していましたが、新たな発見により、その安全性と有効性について再評価が必要となっています。この知見は、健康志向の人々にとってマヌカハニーの利用を再考するきっかけとなり、自然療法への見方にも影響を与える可能性があります。
 

マヌカハニーとは?

マヌカハニーは、ニュージーランドやオーストラリア南東部に自生するマヌカという植物の花から、ミツバチが受粉して作られる蜜で、特有の抗菌効果や健康効果で知られています。スキンケア製品や自然な甘味料として利用されるほか、傷の手当にも用いられています。その豊かな風味と濃厚なテクスチャーも特徴の一つです。
 

メチルグリオキサールとは?

メチルグリオキサール(MGO)は、体内で糖が分解される際に生成される副産物で、炭水化物を多く含む食品や蜂蜜にも含まれています。特にマヌカハニーには、他の種類の蜂蜜に比べて最大で100倍ものMGOが含まれており、これはマヌカハニーの品質と効能を示す指標となっています。

MGOは、マヌカの花の蜜に含まれるジヒドロキシアセトンという化合物から生成されます。ミツバチが採取する蜂蜜には、ジヒドロキシアセトンが多く含まれますが、蜂蜜を保管する間に、このジヒドロキシアセトンがMGOに変化し、その濃度が上昇します。マヌカハニーの評価は、「ユニーク マヌカ ファクター」(UMF)という基準に基づいて行われ、これはMGOと抗菌力の指標となるフェノール含有量に直接関連しています。
 

マヌカハニーとがんの関係に関する研究

2013年に『Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine』誌に掲載された総説では、マヌカハニーががん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導し、腫瘍壊死因子を抑制する効果があることが示唆されていました。アイコニック・インプラント(Iconic Implants)の口腔顎顔面外科医であるゼブ・シュルホフ博士(Dr. Zev Schulhof)は、本紙に「いくつかの研究では、この種の蜂蜜が、がん細胞のアポトーシスを誘導し、がん細胞を死滅させることが示されています。また、がん細胞のDNA断片化を引き起こすことも判明しています」と説明しました。

しかし、2021年に『Frontiers in Oncology』誌に掲載された総説では、MGO(メチルグリオキサール)が腫瘍を抑制する一方で、既存の腫瘍の成長を促進する可能性があることも指摘されています。このような二面的な役割がMGOにあるとされ、特に高濃度のMGOを含むマヌカハニーの摂取が逆効果となる可能性もあります。
 

マヌカハニーの5つの証明された効果

  1. 抗菌・抗微生物効果
    マヌカハニーは、その高い抗菌作用で知られており、特にメチルグリオキサールという成分が薬剤耐性菌に対しても効果を発揮することが研究で示されています。
     
  2. 傷の治癒とスキンケア
    マヌカハニーは、傷の治癒を助ける可能性があり、特に切り傷や火傷の治療に使用されます。さらに、傷跡の組織の形成を軽減する可能性もあるとされていますが、さらなる研究が必要です。
     
  3. 消化器の健康
    マヌカハニーは、H.ピロリ感染症、サルモネラ菌、大腸菌などに対して効果があり、腸内の有益な細菌の繁殖を促進することが示されています。
     
  4. 歯と口腔の健康
    マヌカハニーの抗菌作用は、口腔内の有害菌に対する効果があり、歯周病や歯肉炎の治療にも役立ちます。

咳や喉の痛みの緩和
マヌカハニーは、上気道感染症の症状緩和にも効果があり、咳や喉の痛みを和らげるとしています。

 

(翻訳編集 呉安誠)