「チャーハン症候群」とは?微生物専門家が語る食中毒と予防法

「チャーハン症候群」と呼ばれる2008年に20歳の青年が死亡したケースがTikTokで再び注目を集め、最近インターネット上で話題になっています。この「チャーハン症候群」とは、調理済みの食品が常温で長時間放置された場合に発生する、バクテリア「バチルスセレウス(Bacillus cereus)」による食中毒を指します。

20歳の大学生が、冷蔵庫に入れず放置して再加熱したスパゲッティを食べた5日後に死亡したと報じられたことが、「チャーハン症候群」が再び注目されるきっかけとなりました。死亡は稀ですが、バチルスセレウスは、食品が適切に保存されていないと胃腸の病気を引き起こす可能性があります。ここでは、このバクテリアについて知っておくべきことと、自分を守る方法を説明します。
 

「チャーハン症候群」とは?

バチルスセレウスは、環境中のどこにでも見られる一般的なバクテリアです。米やパスタのようなでんぷん質の食品が原因となることが多いですが、調理済みの野菜や肉料理など、他の食品にも影響を及ぼす可能性があり、適切に保存されていない場合に問題を引き起こします。

一部のバクテリアは毒素を生成することがあります。冷蔵が必要な食品が常温で放置される時間が長くなるほど、これらの毒素は増殖する可能性が高くなります。バチルスセレウスは他のバクテリアとは違い、加熱に非常に耐性のある胞子タイプの細胞を生成する特徴を持っています。

常温で放置される時間が長くなるほど、バクテリアによる食中毒のリスクが増加する(Shutterstock)

 

したがって、残り物を高温で加熱すれば他の種類のバクテリアを殺すことはできますが、バチルスセレウスに汚染された食品の場合は同じ効果が得られない可能性があります。

これらの胞子は基本的には休眠状態にありますが、適切な温度と条件が与えられると、成長し活性化することがあります。そこから、私たちを病気にする毒素を生成し始めます。
 

その症状とは?

バチルスセレウスに感染した場合の症状には、下痢と嘔吐があります。実際の感染には二種類あり、一つは通常下痢と関連し、もう一つは嘔吐と関連しています。こういった症状は数日で治まる傾向にありますが、子供や基礎疾患を持つ人など、体力の弱い人は医療を必要とする可能性が高くなります。

バチルスセレウスによる食中毒は、他の胃腸の病気と症状が似ているため、多くの人が医療機関を受診せずに終わることが多く、その発生頻度についての正確なデータはありません。しかし、食中毒の発生がイベントなどに関連して調査される際には、そのデータが記録されることがあります。

バチルスセレウスに感染した場合の症状には、下痢と嘔吐がある(Shutterstock)

 

この他にも大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなどの細菌や、ノロウイルスなどのウイルス性の胃腸炎が一般的である可能性が高いです。とはいえ、これらの菌から自らを守ることは非常に重要です。
 

自分を守るために、できることは?

残り物は、熱いものは熱いままで、冷たいものは冷たいままで保つべきです。毒素が増殖できる危険温度帯に留まる時間を最小限にすることが重要です。この危険温度帯とは、冷蔵庫の温度以上で、60℃ [140°F] 以下の温度です。この温度以下の場合は、食べ物を再加熱すべきです。

食事を調理した後、数日間食べる予定がある場合は、すぐに残り物を冷蔵してください。冷ますのを待つ必要はありません。冷蔵保存する場合は、冷気が食品全体に浸透するのを早めるために、小分けにすることを推奨します。これにより、冷蔵庫から食品を取り出す回数も最小限に抑えることができます。

一般的なガイドラインとして、「2時間/4時間ルール」に従うことが良いとされています。つまり、常温の環境下で食品を放置した場合、2時間以内であれば、再び冷蔵庫に戻しても安全と言えます。それより長く放置されている場合は、その場で消費し、残りは捨てることが推奨されます。4時間以上放置された場合は、リスクが増大します。

これは食品の安全に関する一般的な格言である「疑わしい場合は捨てましょう」に当てはまります。

また、食品衛生の基本原則を覚えておくと良いでしょう。調理をする前に必ず手を洗い、清潔な器具を使用し、調理済みの食品とそうではないものをきちんと区別し、交差汚染がないように心がけましょう。

 

(翻訳編集 呉安誠)