道教のハタキ
神韻の多くの舞踊の演目に、白髪で長い髭の年老いた仙人が、ハタキを振り回しながら教鞭を執っている姿が見受けられます。西遊記では孫悟空の道家の師で八仙人の一人である呂胴賓、そして同じく仙人である太上老君などが、魔法のハタキを片手に威徳と無敵な強さを披露しています。また、『消えた夢』『山を切り開いて母を救う』、他にもいくつかの開幕の演目でも見られます。いったいこのハタキは何なのでしょうか。
道教で用いられるハタキは、動物の毛と麻を合わせたもので、木製の柄がついています。道家の道士や僧侶は、ハタキを携えて修業の旅に出ます。禅僧も説法の際にハタキを振りかざします。ハタキは説法の威厳と厳粛さを象徴するものなのです。
道教の文化では、ハタキは世俗的な欲望や肉欲を掃き捨て、俗世界から昇華する感覚を放つ力があるとされています。邪悪な霊を世界の汚れとし、道教のハタキは神秘的な力で祓い清めるという解釈もあります。
ハタキは、武器としても知られます。馬のしっぽで作られたハタキは、武当拳 (内家拳)でよく用いられ、ハタキを使いこなせれば、自己防衛の能力が身に付きます。ハタキを使った型や動きは、柔と硬の両方を備えた優雅で自由な独特のものです。ハタキの使い方を覚えるには、敏捷性だけでなく、気質と精神の融和が求められます。
瓢箪(ひょうたん)
中国の伝説では、瓢箪(ひょうたん)を携える人物がよく登場します。道教の八仙人の一人、李鉄拐(りてっかい)が金の瓢箪を常に肩から下げていました。また、変わり者の済公和尚は、酒の入った瓢箪を片時も離しませんでした。2011年の神韻を飾った、酔いどれの僧、魯智深は、瓢箪を腰に付けていました。2007年の神韻の演目に出てきた嫦娥は、瓢箪から薬を飲み、月に昇りました。
瓢箪は、蔓のあるウリ科の植物で、キュウリやスイカなどもウリ科に属します。新鮮な実の時は、柔らかい緑の皮に包まれており、野菜として食します。熟したものは輝くような黄色になります。古代の人々は、瓢箪に香料を入れたり、花瓶などとして使いました。水、薬剤、酒の容器としても使われました。瓢箪は、長年にわたり、酒の味を保存します。古代の医学書には、瓢箪に保存された酒には、腫れを抑え、視力を回復し、消化を助ける効能が現れることがあると記録しています。
風水では、瓢箪は邪霊を払う力があると信じられています。中国語の「葫蘆」は 「フールー」と発音し、「護禄」や「福禄」と同じ発音のため、古代の人は、幸運を招くお守りとして、玄関に掛けたり、身に携えて、邪霊を払ったりしました。
――「神韻芸術団」(日本語ホームページ)より転載
https://ja.shenyunperformingarts.org/explore/view/all/page/5
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