フィリピンの議員らは、カガヤン州での中国人学生の急増を「静かな侵入」と表現し、国の安全に脅威をもたらす可能性があると懸念している(パブリックドメイン)

急増する中国人留学生、フィリピン軍が調査を開始

フィリピンの議員らは、カガヤン州での中国人学生の急増を「静かな侵入」と表現し、国の安全に脅威をもたらす可能性があると懸念している。フィリピン軍は4月16日、この事態を調査することを約束した。

「フィリピンスター」紙によると、4600人以上の中国人学生がカガヤンの私立大学に入学し、トゥゲガラオ市内の複数箇所で住居を借りているという。カガヤン州はルソン島の最北端に位置し、台湾の向かいにある。

フィリピン軍の報道官、フランシル・パディラ氏は16日、この問題に関してフィリピン国家警察と連携して調査を進めると明かした。

中国人留学生の急増による国家安全保障上の懸念

3月20日に提出された決議によると、イサベラ州第六選挙区の議員ファウスティーノ・ダイ五世は、「カガヤン州の大学に入学する中国人学生の数が著しく増加している」と述べた。

彼らは、この増加がフィリピンの国家安全保障と経済にリスクをもたらすと指摘し、特にこれらの外国人が偽りの計画に関与していることが問題視されている。

北スリガオ州第二選挙区のロバート・バーバース議員は4月16日、中国からの労働者、商人、観光客、学生のフィリピンへの流入に衝撃を受け、「静かな侵略がすでに始まっている」と指摘した。

また、「(フィリピンに押し寄せる中国人が)これほど多いのに、どうしてどの機関も疑念を抱かないのか?」

「マニラタイムズ」の報道によると、安全保障の専門家たちは、中国共産党の攻撃的な行動により南シナ海の緊張が高まる中、「防衛協力強化協定(EDCA)」基地の近くで目撃された中国の学生たちが国家の安全にとって脅威になる可能性があると警告しています。

カガヤン州で中国人の急増が見られることに、同州の第三選挙区代表であるジョセフ・ララ議員が懸念を示した。 ララ議員は、このような増加が国の安全に影響を与える恐れがあるとして、問題の調査を求める決議案を提出した。

サウスチャイナ・モーニング・ポストの番組「This Week in Asia」のインタビューで、匿名を希望するマニラ在住の軍将兵は、彼らの司令部であるキャンプ・アキナルドが、アパートに住む中国人に囲まれていると語った。

国防アナリストで国際開発安全保障協力協会の創立者であるチェスター・カバルザ氏は、政治家や実業家が多いため、カガヤン州は中国系フィリピン人の存在に慣れていたが、台湾海峡の現在の安全保障状況における同州の地政学的重要性を考慮すると、中国人の流入は本当に注目に値するとThis Week in Asiaに語った。

カバルサ氏によれば、新たに流入した中国人は「裕福な学生やビジネスマン」であり、「台湾海峡の地政学的緊張やルソン島北部に米兵が交代で駐留している中、この州にやってきたのだから、その存在は疑わしい」のだという。

立法府による調査を求める声に対し、親共産主義者として知られるカガヤンのマヌエル・マンバ知事は、トゥゲガラオの留学生が安全保障上の脅威になっているとは考えていないと述べた。

「カガヤンと全国における中国人留学生の存在は、中国語学習機関と高等教育委員会との間の合意の結果である」 と語った。

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