注意が必要!急性硬膜下血腫が起こりやすい5つの条件

日本の著名な漫画家・鳥山明氏が3月1日、急性硬膜下血腫のため68歳で死去しました。鳥山氏の代表作『ドラゴンボール』(台湾でのタイトルは『七龍珠』)は累計発行部数が2億部を超え、また同名のアニメシリーズは80か国以上で放送され、世界中に多くのファンを持っています。

鳥山氏の元アシスタントである松山孝司(まつやまたかし)氏は、昨年の秋に鳥山氏から「2024年2月に手術を受ける予定だが、外側にあるのでそれほど難しいことではないと聞いた」とも述べています。

では、このような硬膜下血腫とは、どんな病気であり、どのくらいのリスクがあるのでしょうか。

 

「硬膜下血腫」とは

硬膜下血腫は、急性、亜急性、慢性のものをふくむ頭蓋内出血の一種です。

そのうちの急性硬膜下血腫は、脳の表面と硬膜の間に形成される血の塊であり、通常、大脳の表面の静脈が伸びたり裂けたりすることによって引き起こされます。頭部に損傷を受けると、脳が突然衝撃を受けたり揺さぶられたりして、脳の表面の静脈が破裂する可能性があります。このタイプの外傷性急性硬膜下血腫は、あらゆる頭部損傷のなかで最も致命的なものの一種です。

台湾の権威ある脳神経外科医師であり、長庚大学医学部の神経外科教授である魏国珍氏は、台湾の医療専門メディア「NOW健康」に、次のように語っています。

「急性硬膜下血腫は多く見られる症例ではありませんが、自然発生するか外傷によって引き起こされる可能性があります。また、手術後にこの問題が発生した場合は、以前の脳腫瘍による出血あるいは血栓の発生が原因である場合があります」

いくつかの研究によると、自然発生的な硬膜下血腫は外傷性血腫よりも頻度が低いと指摘されています。主な原因には、皮質動脈の破裂、血管の奇形化または動脈瘤、および腫瘍などが含まれます。このうち、自然発生する硬膜下血腫の 5.4%は脳腫瘍に関連しており、特に中年層に多く見られます。

日本の学者は、急性硬膜下血腫を伴う脳動脈瘤破裂を患った55歳の男性と66歳の女性に関する2件の症例を報告しました。また別の症例報告では、53 歳の女性が脳膜瘤と診断されましたが、急性硬膜下血腫を伴うことはほとんどありませんでした。

米ミネソタ州に本部をおく総合病院メイヨークリニックによると、成人では軽度の頭部外傷でも頭蓋内出血を引き起こすことがあります。頭蓋内出血の兆候や症状は、頭部外傷の直後に現れる場合もあれば、数週間以上経ってから現れる場合もあります。

時間の経過とともに、脳へのストレスが増大し、頭痛、めまい、嘔吐、錯乱、ろれつが回らない、てんかん発作、眠気、徐々に意識を失うなどの症状が現れることがあります。

脳出血の種類(パブリックドメイン)

 

その治療と予後について

急性硬膜下血腫は通常、頭蓋内圧を軽減するために、できるだけ早く血腫を除去する手術を必要とします。しかし、いくつかの研究によると、高齢の患者がこの手術を受けることができるかどうかについては、議論の余地があると指摘しています。

2023年、有名な医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」は、11か国の急性硬膜下血腫の患者426人を対象とした研究を発表しました。患者は2つのグループに分けられ、それぞれ開頭手術と頭蓋減圧手術を受けました。研究者は手術の1年後に患者を評価し、両方の方法で同様の結果を示しました。開頭手術群と頭蓋減圧手術群の患者の死亡率は、それぞれ30.2%と32.2%。植物状態になった人は、それぞれ2.3%と2.8%。軽度の障害(他者からの介助を要する)が残った人は17.7%だったといいます。これに対して、回復が良好であった率は、それぞれ25.6%と19.9%でした。

また別の研究では、16年間にわたって、65歳以上の84人の患者が急性または亜急性硬膜下血腫のために開頭手術を受けました。そのうち、患者の25%が日常生活の機能を回復し、11%が重度の障害を負い、64%が死亡しました。
 

リスクが高い「5つのタイプ」は要注意

台湾の亜東記念病院脳神経外科の主任である岑昇信氏は、同病院の公式ウェブサイトに掲載された記事の中で、次のように指摘しています。

「急性硬膜下血腫のほとんどは、明らかに頭部への外傷を伴うものです。その場合の症状は、現れが早く、また激しいものとなります。頭部外傷により急性症状が生じた場合は、できるだけ早く医師の治療を受けてください」

まだ間に合う「黄金時間(ゴールデンタイム)」のうちに、医師の指示に従って最善の診断と治療を行うことで、身体へのダメージを最小限に抑えることができると岑昇信医師は訴えます。

また、魏国珍教授は「転倒が激しい場合、頭部に外傷を負った場合、高齢者であること、高血圧、糖尿病などの合併症をもつ患者は、この5つのタイプに当てはまる人は、硬膜下血腫に特別な注意が必要です」と、注意を促しました。

8万4千人以上の参加者を7年以上追跡したある研究では、糖尿病の人は糖尿病でない人に比べて硬膜下血腫を発症するリスクが63%高いことが判りました。また、その発生率は加齢によって増加するとともに、女性より男性のほうが高かったことも判明しています。

研究者はまた、脳卒中、慢性腎臓病、心房細動などを患っている糖尿病患者は、硬膜下血腫を発症するリスクがさらに高いことも発見しました。その中でも、心房細動を伴う糖尿病患者は、硬膜下血腫を発症するリスクが最も高くなります。

魏国珍教授は、「上記の5つのタイプの患者が、手足に力が入らない、あるいは異常な動きをした場合は、緊急治療が必要であること。また治療後も、2~3か月は家族が注意深く観察し、異常がみられた場合には再診が必要になります」と提言しました。

 

Ellen Wan
2007年から大紀元日本版に勤務しており、時事から健康分野まで幅広く携わっている。現在、記者として、新型コロナウイルスやコロナワクチン、コロナ後遺症、栄養学、慢性疾患、生活習慣病などを執筆。