2023年6月5日、メリーランド州ホワイトオークに本部を置く米国食品医薬品局(FDA)(Madalina Vasiliu/The Epoch Times)
米規制当局がイベルメクチンに関する投稿を削除へ

FDAがイベルメクチン訴訟で和解、物議醸した「使用しないで!」投稿削除に合意

このたび、医療品規制を責務とする米政府機関の米国食品医薬品局FDA)が、イベルメクチンを新型コロナ治療薬として服用しないよう促したソーシャルメディア上の投稿やウェブページを削除することに合意した。

FDAはすでに、「新型コロナウイルス感染症の予防や治療のためにイベルメクチンを服用すべき? いいえ」との記述があったページを削除している。 

テキサス州南部の連邦裁判所に提出された和解発表(今月21日付)によれば、FDAは、「新型コロナウイルス感染症の治療または予防のためにイベルメクチンを使用してはならない理由」と題された別のページを21日以内に削除する予定だ。

同ページには現在、「FDAはイベルメクチンをヒトや動物の新型コロナウイルス感染症の予防や治療に使用することを許可も承認もしていない」とある。また同ページは、新型コロナに対するイベルメクチンの有効性を示す複数の研究が引用されているにもかかわらず、イベルメクチンの有効性を示すデータはないとしている。

FDAは和解の中で、ソーシャルメディア上の複数の投稿を削除することにも同意している。たとえば、「あなたは馬でも牛でもない。冗談抜きで、みんな(イベルメクチンの使用を)やめよう」という投稿などは、いずれもイベルメクチンの使用に強く反対しているように見える。

それと引き換えに、FDAに対する医師たちの訴えは棄却された。その旨が提出文書には記載されている。

訴えを起こした医師の1人、メアリー・タリー・ボウデン氏は声明で、「FDAはイベルメクチンとの戦いに敗れ、FDA史上最も人気のあるツイートも含め、イベルメクチンと新型コロナに関するすべてのソーシャルメディア上の投稿と消費者への指示を削除することに同意した。この重要裁判は、医師と患者の関係性に対するFDAの過度な介入を制限する重要な先例となる」と述べた。

同じく原告の1人で医師のポール・マリク氏も「和解の結果は、米国のすべての医師と患者にとっての勝利であり、私たちは非常に喜んでいる」と述べた。

マリク氏は、新型コロナウイルス感染症およびコロナ後遺症、ワクチン接種後症候群の治療を目的とした非営利支援団体 FLCCCの最高科学責任者(CSO)だ。

「FDAはイベルメクチンに関する無責任な発言や投稿で医療行為を妨害した。医師が『ただFDAの言うことに従った』ことで、患者が救命治療にアクセスできなくなり、どれだけの人命が影響を被ったのか、私たちは知る由もない」とマリク氏は語った。

FDAの広報担当者はエポックタイムズに対し、「2〜4年近く前の発言について訴訟を続けるよりも、この訴訟を解決することを選んだ」と電子メールで述べた。

「FDAは法律違反や不正行為があったとは一切認めておらず、訴訟で争われている『声明を発表する際にFDAがその権限を逸脱した』という原告側の主張にも同意しておらず、FDAが規制している製品に関して一般市民とコミュニケーションをとる権限を支持している」

「FDAは、現在入手可能な臨床試験データはイベルメクチンの新型コロナウイルス感染症に対する有効性を実証していないという立場を変えていない。FDAは新型コロナウイルス感染症の予防や治療のためのイベルメクチンの使用を承認していない」

イベルメクチンは、寄生虫によって引き起こされる熱帯病であるオンコセルカ症などのいくつかの症状に対する治療薬として、1996年にFDAによって承認された。

医師の適応外処方、つまり承認された目的とは異なる目的での薬の処方は、米国ではよく行われている。

医師らが新型コロナの治療にイベルメクチンを処方し始めた後、FDAは2021年8月21日のX(当時はツイッター)上の投稿を含む一連のキャンペーンを強化した。

ボウデン医師と他の2人の医師は、FDAの行為は議会から与えられた権限を超えていると主張し、FDAを訴えた。

2022年、連邦地裁のジェフリー・ブラウン判事は、FDAの行動は権限を逸脱していないと判断し、訴えを棄却した。しかし、2023年の控訴審では、「FDAは消費者に薬の服用をやめるよう勧告する権限を有していない」とし、医師側を支持する判決を下した。

判決から和解までの間、FDAはイベルメクチンに関する声明の変更を拒否し、訴訟の棄却を求めていた。

訴訟について

医師のロバート・アプター氏、ボウデン氏、マリク氏らは2022年にこの訴訟を起こした。彼らは新型コロナの患者にイベルメクチンを処方した後の反響に苦しみ、FDAの責任を追求した。

例えばアプター氏は、薬剤師がFDAの勧告を理由に処方を拒否したことを指摘した。

「早期治療が最も重要であるにもかかわらず、この拒否のせいで、処方箋を記入してくれる薬局があったとしても、その薬局を探す間、患者は治療を受けられない」

また、保険会社は新型コロナの治療薬としてのイベルメクチンに対する支払いを拒否しているという。

医師たちは「FDAは医師と患者の関係を違法に妨害している」として訴えを起こした。FDAがイベルメクチンに関して連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDCA)で与えられた権限を踏み越えたと医師らは述べた。

政府側の弁護士は、FDAの行動は法律の範囲内だと主張し、棄却を勝ち取った。

トランプ政権下で任命されたブラウン判事は、FDAの権限は医療機器に関してのみ制限されていると述べた。

「FDAの行動を制限する法令が存在しない以上、FDAが法令の制限外で行動したとは言えない」とブラウン判事は判決文に記した。

「さらに、FDAに正当な権限の根拠がなかったとは言えない。FDAは議会から、公衆衛生を保護し、とりわけ規制された医療製品の安全性と有効性を確保する責務を負っている」

第5巡回区連邦控訴裁判所の3人の裁判官は、法律はFDAに医学的助言を行う権限を与えていないと判断し、これに同意しなかった。

トランプ政権下で任命されたドン・ウィレット連邦巡回控訴裁判所判事は、「FDAは情報を提供することはできるが、消費者に薬の服用を『やめる』よう勧告できる権限はない」と述べた。控訴裁判所は、連邦地裁に本件を差し戻した。

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