高市大臣、働く若い女性と人生を語る
高市早苗の日本を思う気持ちの起原は父母の教えにあった。
日本の行く末を憂え、政治家が目標ではなく、日本を守り、日本を良くするための政策を作り、それを法として実現することに「徹底」しているという。
20代の高市早苗はどんな女性だったのか? 親の期待を裏切る道を常に歩み、バイト(家庭教師4件+飲食店バイト)で、学費を稼いで大学を出たという。また、ヘビメタのバンドで、ドラムスを楽しんでいたというのも、親が厳しかったので、反発したのだという。
大学では、経営学部で経営数学を専攻した。在学中のある日、大学の廊下に貼られていた松下政経塾の塾生募集のポスターを見て、受験した。三次試験で松下幸之助との面談、あがって動けなくなり、口もきけなくなったという。
「人間の大きさというか迫力に圧倒された」と回想するが、試験結果は松下氏に指名されて、政経塾に入塾。1985年24歳の時であった。
松下幸之助が人生を変えた!
松下氏の日本に対する予言が、高市氏を変えたのだそうだ。
「世界に大きな変化が起こる。繁栄はアジアに移るから、アジアを勉強せよ」
1990年代の日本の不況を予測し、そして、外交と安全保障を学べと指導されたのだ。
もし、大きな変化が起こるのなら、日本のために、政策を練り、法整備をしたいと希望し、24歳の春、高市早苗は政治家になると決心したという。
ここからは、高市大臣が自身の動画チャンネルで昨年掲載した、20代女性3人との対談の模様をご紹介する。
奈良県初の女性国会議員
20代女性(IT企業・開発): 実際周りの女性で、政治家を志すという方って、他にいらっしゃいましたか?
高市大臣: 絶対数が少なかったですよね。奈良県では女性が国会議員になったことはなくて、未だに私しかいないです。だから、最初の選挙の時はもうむちゃくちゃ言われましたね。 今だと、割と自民党が候補者選ぶのに、立候補すると 女性はいないかとか、若い人はいないかって、若いことや女性であることっていうのは割と売りになる時代が来て、それは先輩方が頑張ってきてくださったおかげなんですが、私が出る頃は女が国会行って何するねんとか、この小娘がとか言われて、私の初当選って32歳なんで、別に小娘じゃないっていうか、別におばさんって言ってくれてもいい年代なのに、小娘とか散々なこと言われてたんで、当時やっぱり女性が年齢がそんなに高くないうちに国政っていうのは あんまり歓迎はされてなかったと思います。
20代女性(IT企業・人事): 当選を果たすまでも大変だったと思うんですけど、その後も大変だったんじゃないかっていう風にちょっと想像してまして、実際その男性社会の中で、女性として単身活躍をしていくっていう上で、特に32歳で当選してから、こういうところが大変だったなみたいなお話も、ぜひお伺いしたいなと思っていました。
美人議員特集に選ばれ「うふっ」、でも怪文書
高市大臣: 良かったこととしてはね。今じゃあもうこの現在の私の顔を見て信じられないと思うんですが、初当選の頃は何かの週刊誌に美人国会議員特集みたいなのでメデイアに出ているのを見て、「うふっ」て思ったことはありました。唯一良かったのはそれぐらいで、あとはやっぱり、30代ぐらいの時ってすごく嫌な怪文書、例えば、 誰々の愛人だから国会議員になれたとか。
20代女性経営者: わかります。すごくわかります。
高市大臣: わかる?
20代女性経営者: 私も、結構、一人だけ名刺渡されなかったりとか、ビジネスの場なんですけど、若い子だから、どっかからたまたま来ちゃった子みたいな見られ方したりとか、すごく苦労したので、わかります。だからすごく反論のしようもないことですよね。
高市大臣: 誰々の愛人ですっていうのは、当時は紙にそういうのを書いた「怪文書」っていうのをポスティングするとか、そういうことを平気でやられていました。まあ選挙妨害ですよね。それは私も傷つくし、何よりも当時はまだ両親が生きていたので、やっぱり両親がすごく傷つきますよね。
まだ結婚できていなかったし、結婚前の娘が年配の男性の愛人だって、そんなこと書かれたので(両親は)すごくかわいそうだったんですよね。
20代女性経営者: 女性だから分かる苦しみみたいなことは、多分皆さんもあると思うんですけど、どうやって乗り越えればいいのかなっていう、 今ちょうど考えてるところではあって、私も今26歳なんですけど、会社とか経営していると、まだまだ若い方だし、相手にされないとかも全然あるので、どう乗り越えていけばいいのかなっていうのを聞きたいです。
高市大臣: それもいまだに答えは出ないけど、仕事で結果を出していくしかないんですよね。だから「女性であることに甘えず、でも女性であることを捨てず」、っていうのは、私はずっと自分に言い聞かせてきました。
最初、やっぱり選挙に出た頃って、「ハイヒール履いてる」って同性の人からね、候補者なのにハイヒールを履いてるとか、イヤリングが大きいとか、 同性の目も厳しいんですよ。スカートがちょっと短いんじゃないかとか、いろんなこと言われるし、でも自分は自分じゃないですか 。「I am who I am」って思いながら 「私は私だ」って自分は強く思っています。関西人だから言うと、デカめのイヤリングとか。ジャラジャラっとしたもんって、本来好きなんですよね。 光もんとか、虎柄のシャツとかは気をつけていますけど、それでもちょっと派手めの色の服とか 好きなんです。ただ、有権者からそういうのってチャラいと思われるから、じゃあその服装やめようとか、イヤリングをもっと小さくしようとか、そこのところはあんまり気にしすぎると、自分が自分でなくなっちゃうんで、我慢。心を強く持つっていう。
経営してても多分、おっさんの嫉妬ってありますね。よく永田町も嫉妬の海って呼ばれるんだって、先輩議員から聞いてはいたんです。それは男性同士でもあるし、女性同士でもあるし、男性女性の間でもあるような話なんだろうけど 、若いとか、女性ということが、私の場合は、当時、マイナスに働いていましたね。特に経営者の立場って言ったら、今度は信用度ってことで、おそらく若すぎるとか、女性だからって、まだそういう考え方する人がいるのかもしれないけれど、それはもう仕事で結果を出すしかないと思いますんで、ぜひ頑張ってほしいです。
親のビンタ=「自己責任」=徹底
20代女性経営者: なんかこう、私たちの理想とするキャリアというか、あのちょっと違うかもしれないんですけど、なんかこう(高市大臣への)憧れの意識がすごい強いので。
高市大臣: そんなよいしょしてくれんでもええんやで。
20代女性(IT企業・人事): 逆になんかそこまで頑張れる、なんかモチベーションの維持みたいなところは、どんなところにあるんですか? 例えば、それこそ「私は私」っていうのを今まで乗り越えてきたと思うんですけど、でもなんかそれは多分どこかに「絶対に勝つ」みたいなところがあったと思うのですが、何があったのかなって。
高市議員: これも両親がね、「自己責任」という言葉を私に叩き込んだんですよ。(私は)親が望まない道を歩みましたし、特に選挙に出る時なんて、猛反対されたし、いやそりゃそうでしょ、だって、どこに就職するかと思えば、(親が望んでいた)南都銀行でもないし、県庁でもないし、 近鉄電車にも入れず、いろんなこと言われたり書かれたりして、家族にも迷惑かけて、普通のサラリーマン家庭で、うちは、しかも共働きで、そんなにお金があるわけでもないし、それで、いきなりね、選挙に出るって言ったら怒りますよね。でも出ちゃったわけですよ。あるとき、国会議員になって、土日もなく仕事で、ほぼ休みがなくて、すごい辛いこととか、体が疲れ切っていることもあって、実家に帰った時に、「あ~疲れた」って一言言っちゃったんですよ。そんなら、今だったら社会問題になるのかもしれませんが、うちの親はきつくて、ビンタが飛んできて、で「誰が国会議員になってくれって頼んだんや」って、「自分で選んだ道なのに、あ~疲れたって、その一言は何やねん」ってむっちゃくちゃ怒られて、で、やっぱり家族の集団生活なんで 、家族が不愉快になることは決して家で言わない、家に帰ったらどんなに、辛いことがあろうが疲れてようが、常にニコニコしていなさいって言われたんで、まあそれからずっと、どんなに嫌なことがあっても、疲れていてもニコニコしながら余計なことは言わないです。両親が生きてる間はそうやって過ごしてきたんですが、だからまあ「自己責任」って思うようになりました。
あとは、政治家でいることが目標じゃなくて、やりたい政策があるからやっているわけで、だから「これをやり遂げるまではやるぞ」という感じですかね。
皆様のお悩みや考え方を聞きたいですね。
20代女性(IT企業・開発): 周りから求められていることと、 自分がやりたいことにギャップがあることがあって、例えばこのアプリケーションの中で、その追加したい機能はこっちなんだけど、周りから求められている、やるべきことはこっちなんだろうなーっていう。それを自分の時間の使い方として、どういうパワー配分でやったらよいのか、結果を出すことについても、結果を求められているものに対しては、できるものを出すべきなのか? それとも自分がやりたいことで、結果を出すべきなのか? こういうことで、結構悩むことが、最近、多いです。
高市大臣: 自分が作りたいアプリと、上司から指示されたアプリが違うってわけですね。
20代女性(IT企業・開発): そうです。全く同じアプリで、2つ追加する機能を作ることになった時に、その優先順位をどうしたらいいのかっていうのに、結構悩むことが多いです。
高市大臣: でもそれは上司の方に、相談すれば解決するんじゃないですか?
若い女性: そうですね。大体自分が考えているものが、その相手に伝わっていない、 重要性が伝わっていなくて、相手が考える優先順位と、自分が考える優先順位がすり合ってないことが、やっぱり原因のことが多いので、まあ、その同じアプリのその優先順位を作る、分けるっていう観点だと、やっぱり上司の方に、なんかその重要性を分かっていただくっていう仕事を、一つ増やすとできるようになるなって思ってます。そうなんでしょうね。
政治の世界でもプレゼン
高市大臣: あのプレゼンがいかにうまくいくかって話ですよね 。上司の方は上司の方で、やっぱりこう管理職として、またそれが社長さんだった場合はトップリーダーとして、会社の収益も考えなきゃいけないし、収益を起こすときに、いろんなことを考えなきゃいけないし、あと顧客のニーズに、どのレベルのコストで答えられるかっていうのも、考えなきゃいけないから、最終的な判断はトップがするんでしょうが、ただやっぱりトップの方はトップの方で、心がけなきゃいけないのは、ちゃんとその目的を明確に示して、何のためにこの仕事をあなたに頼んでるんだって、アプリケーションの提案にしても、何のために? コストや顧客のニーズを考えたら こういう判断で自分は頼んでるんだっていうのを、明確に伝えてもらわなきゃいけないですよね。 またこっちがやりたいし、これが顧客のためになると思ったら。もうこんなにこれはすごいんだっていうプレゼンをするしかないんでしょうね。
政治の世界でも一緒で、何のためにこの議員立法を出すんだっていうので、まず仲間から野党まで回ってですね、説明するっていうのは、体力が必要な仕事ですよね。
分かっていただく、理解していただくっていうのは 。一番しんどい局面ですね。
20代女性経営者: やっぱり普通の仕事と比べて、政治家の仕事っていうのは、なんか全然違って難しいことがあるんですか? 普通の仕事っていうのもちょっと抽象的なんですけど、20代の頃にされてたお仕事と今の仕事と比べると、難しさとか忙しさとかは結構レベルが違ったりとか?
高市大臣: もともと大学教員だったし、落選した時もまた大学に戻って教えさせていただいてたんですけれども、若い人に教えたり、そういう仕事も大好きです。政治家は政治家で、選挙はしんどいですよね。体力もいるし資金も用意しないといけないし、それはしんどいですけれども、また選挙の時に演説していて、そばにたまたま聞きに来てくださった方が、いろんな悩み事とか、こういう問題があるんだって話してくれて、それが割とヒントになって、当選したら、議員立法につながるとか、そういうこともあります。
20代女性経営者: (選挙演説の時に)話しかけてもいいんですね?
高市大臣: 全然いいんですよ。一番乗ってる時に声かけられると困るんですが、 演説で一区切りついて、ありがとうございましたみたいな時に、いろんな話をしてくださる方がむしろ嬉しいですね。選挙じゃない期間でもね、選挙区に帰った時とか地方に出た時に、いろんな話を伺えるでしょ。自分の人生は一つだから自分が経験したことしか分からないけど、いろんな職業でいろんな年代でいろんな経験をした人、家族構成もみんな違うし、でも、自分ならではの悩みとか困り事とか教えてくださると、それはすっごくすっごく勉強になります。「なるほどっ!」ていう、そういう気づきはいただけますね。
―――後半、「もし、高市早苗が20代に戻ったら!」に続く。
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