何十年もの間、胃潰瘍の原因はストレスにあるとされてきました。しかし1982年、医師たちは特定の種類の細菌が原因であることを発見しました。
科学者たちは再び顕微鏡を覗き、輸血が死亡や脳卒中の一因であることを示唆する証拠を探しています。
脳卒中は血液を介して感染する可能性がある
新しい研究では、複数回脳出血を発症したドナーから輸血を受けた患者は、出血性脳卒中リスクがわずかに高いことが明らかになりました。このことは、血液に起因する因子と脳卒中などの脳の血管障害との間に潜在的な関連性がある可能性を示唆しています。
脳アミロイド血管症(CAA)は、脳卒中を引き起こす2番目に多い原因です。脳の血管壁に欠陥のあるアミロイドβタンパク質が沈着し、血管がもろく、破裂しやすくなることにより、脳卒中や認知機能の低下につながるのです。
最近「米国医師会雑誌」に発表された研究では、CAAがプリオン病に似た感染性を示す証拠が発見されました。プリオン病はこれまで、牛の脳疾患である牛海綿状脳症(狂牛病)と関連しており、これらに感染した肉を食べることでうつります。アミロイドβやタウタンパクが蓄積した死体から採取した下垂体ホルモンによって、この病気が人に感染するというデータがあります。
科学者たちは、輸血は汚染された肉を食すのと同じリスクがあるのではないかと考えました。
この仮説を検証するため、研究者たちはスウェーデンとデンマークの5~80歳まで、100万人以上の患者の全国血液バンクと健康データを用いてコホート研究(疾病の要因と発症の関連を調べるための観察的研究)を行いました。全員が1970年1月1日(スウェーデン)または1980年1月1日(デンマーク)~2017年12月31日までの間に赤血球輸血を受けた患者です。
その結果、脳出血を複数回発症したドナーの血液を輸血された患者は、脳出血を発症しなかったドナーの血液を輸血された患者よりも脳卒中のリスクが有意に高いことが判明しました。
しかし、脳出血を1回のみ発症したドナーの血液を受けた患者は、脳卒中リスクの増加は認められませんでした。
著者らは、輸血により体内に入った物質が脳卒中と関連している可能性を示していると指摘しています。また、脳出血を発症したドナーからの輸血を受けた患者で、脳卒中リスクが2.3%増加したことも新たな発見だと述べました。
アルツハイマー病との類似の関連が発見される
また、この研究では脳卒中を1度でも起こしたドナーから血液を受けた患者に、同様の認知症リスクの増加が認められました。
ハーバード大学医学部の神経学教授であるスティーブン・グリーンバーグ博士は、この研究に付随する論説の中で、この研究の方法論は厳密な裏付けがあると述べています。
「ドナーからの輸血による未検出の物質によって、将来の脳出血や認知症のリスクがわずかに増加するだけでも、公衆衛生上の重大な懸念となります」とグリーンバーグ氏は書いています。
このことは、ドナーを介して感染する可能性のある未検出の物質の重大性を強調し、何千万人もの人々を守るためにこれらの要因を特定することの重要性を強調しています。結局のところ、米国では平均して2秒に1人が血液を必要としているのです。
脳内出血の治療法
スタテンアイランド大学病院のセオドア・ストレンジ博士は、治療は脳の損傷の種類によって異なると、エポックタイムズに語りました。
硬膜下血腫の原因が転倒による出血であれば、頭蓋骨に小さな穴をあけ、そこから血腫を洗浄する手術で対処できることが多いです。
一方、脳卒中や動脈瘤の破裂による出血は、患者が十分に早期に医師の診察を受けていれば制御可能ではあるものの、コントロールがより困難であるとストレンジ氏は述べています。
危険因子の管理だけがCAAの希望
現在のところ、CAAによる脳血管内のアミロイド蓄積を阻止する治療法はありません。そのため、出血の予防が重要であるとストレンジ氏は言います。
脳しんとうや脳出血を引き起こす可能性のある転倒などの外傷のリスクを減らすことが不可欠です。
ストレンジ氏は「高齢になると、患者は転倒しやすくなるため、抗凝固薬、アスピリン、イブプロフェンなど出血リスクを高める薬は、最小限に抑えるべきだ」と指摘しました。
医師は他の疾患を有する患者において、抗凝固薬のメリットとリスクを天秤にかけて判断する必要があると、ストレンジ氏は述べました。
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