中医学の理論はズバリ宇宙を調和させる陰陽五行の理論であり、人体は小さい宇宙であるからです。(manoimage / PIXTA)

視覚を超えて中医学を見る(上)

中医学が病を治す方法、鍼灸から薬まで、すべては人間の目で見えない経絡というメカニズムから着手していることがよく知られています。経絡はエネルギーのメカニズムであり、人体の電路とでも言えるかもしれません。「黄帝内経」では「霊枢」と言います。そのため、人間の目に見える次元だけ研究するという思考から離れないと、真実を知ることはできません。中医学の理論はズバリ宇宙を調和させる陰陽五行の理論であり、人体は小さい宇宙であるからです。

おそらく、陰陽五行は道家の哲学的概念から生まれたもので、それを使えば人体を調整できるのか、宇宙を調整できるのかと疑問に思う方もいるでしょう。この考え方を最初から変えるべきです。人間の目で陰陽五行を見ることができないため、それを哲学的概念とみなすと、中医理論の基盤が根こそぎ引き抜かれ、真実が完全に覆い隠されてしまいます。目に見えないものを信じないという考えは中医理論が受け入れられない一番の原因でしょう。

陰陽五行は、単なる哲学的な名詞と理解されるだけではありません。五行とは陰陽の二種類のエネルギーがさらに発生して進化し、水火木金土の五種類のエネルギーを形成するものです。

▶ 続きを読む
関連記事
 【大紀元日本5月1日】 中国医学は「科学的でない」とよく言われるが、数多くの病人を治している。「科学的」だと言われる西洋医学もまた、多くの病人を治している。ということは、病気を治せるかどうかという点
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
「五行」とは、水、火、木、金、土のことを指します。古代中国では、これらが宇宙の万物を構成する基本であると考えられており、互いが相互に働きあう、相生相剋(そうせいそうこく)の関係であるとされていました。また、これは自然の摂理で決まっているとされていたのです。
現代の名医である張錫純氏は、自身の中国医学書『医参録』の中で、自身の歯痛が治った短い物語を語っています。この話から、胃の熱に由来する典型的な歯痛があることがわかります。胃の経絡から熱を取り除くことによって、激しい痛みが消えるのです。
人の体の中にある陰陽の気が正常な状態に保たれていることを意味します。 陰陽学説では、疾病は陰陽の相対的バランスが崩れ、そのために偏盛あるいは偏衰がおこり、その結果としておこるものであると考えています。伝統中医学は体の中の陰陽のバランスの崩れを正すものです。 私たち一般人がこのことを知ることは非常に重要で、病気の治し方はわからなくても、正気が乱れず、陰と陽のバランスは崩れなければ、病気は防げるのです。正常な状態に保つことで、病の邪気を寄せ付けません。ですから、病気を避けたいのであれば、普段の健康管理は万全にしなければなりません。