蘇州古典庭園は中国の江蘇省蘇州市にある歴史的な庭園で、多くは個人の趣味として地元の名士によって造られました。春秋時代の紀元前514年に始まり、五代十国時代に徐々に造成され、宋の時代に熟成し、明の時代に集大成しました。
清の時代の後期には、既に170の庭園がありましたが、現在、無傷で保存されているものは60カ所しかありません。
その中でも、「拙政園(せっせいえん)」は、古典的で雅やかな水亭に花と樹木が生い茂げり、回廊からの眺めも格別の趣があり、江南水郷の特色を色濃く映し出しています。その力強い素朴さは明時代の庭園建築様式を代表しており「天下庭園の母」と呼ばれています。
また、最も建造物が多いのは「留園」です。庁堂、回廊、白壁、洞門や小山、水池、花、木など組み合わせによって大小のさまざまな庭が数十か所作られ、さまざまな景色を現します。またガラスのない窓や飾り窓、洞門などを用いて、それぞれの景色を孤立させることなく建物と融合させています。
そして、静かな築山の上にあるのが、「滄浪亭(そうろうてい)」です。宋の時代に造られ、建物自体は大きくありませんが、四隅の屋根の跳ね上がりなど、優雅な造りです。自然ですっきりしていて、それでいて目立たないところに心憎い配慮がされていて、とても落ち着く場所になっています。
その他に、建物が並び立つ小道を抜けると見えてくるなど、庭園全体が精巧で上品にきちんと整っていて、庭園の中の至宝と言われる「網獅園」。園内の築山がライオンのような奇妙な形をしている「獅子林」などがあります。
拙政園、留園、滄浪亭、獅子林は、奇石や洞窟で有名なため、「蘇州四大名園」と呼ばれています。
蘇州古典庭園は、建築、山水、植物の集大成というべき総合芸術と言われています。
蘇州庭園の類になるものの面積は、あまり大きくありません。しかし、それぞれが芸術を表し、多くの工夫が施されています。構造配置は特にこだわりが見えます。庭園を自然に表現する技術を用いて、現代都市にいながら郊外の自然を享受できるものを作り上げたのです。蘇州庭園は一般的に水上庭園のような造り方で、非常に緻密で精巧にできています。
色彩においては、白い漆喰(しっくい)の壁にインディゴ(黒に近い濃紺色)の瓦、栗色の柱など全ては自然のままにしています。空間においては、時には明るく開放的で、時には緩やかに湾曲した造りになっています。そうすることで、より建物や花、木が見え隠れし、神秘的な雰囲気に包まれる庭園出来上がります。そして、建物の中は、朱色の木製家具や名家の書画、掛け軸、盆栽などで装飾され、上品で麗しい趣を表します。
蘇州古典庭園は鑑賞価値が極めて高く、芸術性および歴史文化の研究にも値するものです。
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