モンゴル草原を照らす「鏡」ーートルイ
トルイは、モンゴル語では「鏡」という意味で、あの大草原を統一し、広大なモンゴル帝国を築き上げたチンギス・カンの四男です。彼の生涯は戦功赫々としていて、智勇兼備の名将として知られ、その勇猛さと忠義は代々モンゴル草原で謳われ続けています。
史書によると、幼いトルイが言葉を話せるようになったある日、チンギス・カンは征戦の最中にタイチウト氏族に捉えられてしまいます。
チンギス・カンの家族と母ホエルンは非常に心配して、救助などを企てようと忙しない中、緊迫した状況をまだ理解できない幼いトルイは、よろよろとしながら祖母ホエルンに近づき、その膝に抱きついて、「父上は栗色の馬に乗って帰ってくる」(出典『新元史』:「拖雷独曰:‘我父乘栗色马归矣。」)と言いました。まだ幼いのに慰めてくれているトルイを見て、ホエルンは心が温かくなりました。しかし、誰もトルイの言葉を真に受けていません。
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テムジンはソルカン・シラからもらった馬を走らせながら、母親と兄弟たちの足跡を探索していき、ついに、オノン川河流付近で家族と再会できました。
「あなたは父と義兄弟の契りを結びました。私はあなたの息子であるも同然です」とテムジンは用意していたマントをトオリルに差し出しました。このマントは、クロテン(イタチ科)の毛皮で作られた珍しいものです。
テムジンはタタル部族を征服した後、将官たちを連れて陣営を巡回していました。この時、どこからともなく子どもが走ってきて、「エージ(モンゴル語で母という意味)に会いたい」とテムジンの足に抱き着きました。
太祖チンギス・カンの娘であるアラカイ・ベキの生涯は生まれながらにして非凡な運命を辿ることになります。色鮮やかで豪華な花嫁衣装を身にまとい、オングト部の領地に足を踏み入れた時、アラカイのドラマチックな人生はまだ始まったばかりなのです。
父親の名残惜しい目線の中、アラカイ・ベキは躊躇なく頷き、この婚姻を受け入れました。これはモンゴル部族の存亡にかかわる政略結婚であり、オングト部の支持を得てこそ、草原を統一することができるのです。