「筋肉は休ませてこそ美しい」フィットネスの落とし穴に注意して
中国語で、ひたすら筋肉増大(バルクアップ)を目指すボディビルは「健美」。
それに対して、筋トレもふくめ、均整のとれた健康美の実現を目指すフィットネスは「健身」と呼んでいます。
その「健身」つまりフィットネスについて、最も大切なのは「運動後の筋肉を、きちんと休ませること」です。
フィットネスで、第一の間違いは、例えば、トレーニングの前日にあまり良く眠れていないなど、コンディションの悪いときに過剰な筋トレをしてしまうことです。
第二の間違いは、トレーニングの合間に適度な休憩を入れないこと。
第三の間違いは、トレーニング後の休息を十分にとらないことです。
フィットネスは、単なる技術やファッションではなく、私たちの体にわざわざ圧力をかけて変化を起こさせ、その圧力に体を適応させていくことで、理想の体形を持続的に維持するものです。
つまり筋トレは、それ自体が大きなストレスなのです。
あなたの筋肉は、実際あなたによって一度引き裂かれています。切れた筋繊維は再生することによって強くなり、より太く、より柔軟になりますが、これは確かにストレスです。もしもストレスが過剰であったら、それは健康に有害なものとなります。
私たちは、誰でも限界点を持っています。この限界点とは何でしょうか。それは私たちがストレスを受けすぎて、交感神経系によって体が制御されて「サバイバルモードに切り替わったとき」です。
この限界点は、さまざまな要因によって変わってくるので、その時の体調をよく把握することが不可欠です。
例えば、前日に食べた物がお腹に合わず消化不良になった、友達や恋人とけんかをした、あるいは仕事の悩みで前の晩によく眠れなかった、などはどれも異なるケースですが、あなたにとっては心と体の負担になるものばかりです。
そんな時に、会費を払っているからといって、いつものジムヘ通い、いつもと同じようにインストラクターの指導に従って、通常メニューの筋トレをすることは適切とは言えません。
その日のコンディションに合わせて、主体的に筋トレのメニューを軽くしたり、運動の間の休憩を長くとるなど、トレーニングの強度を適切なレベルに合わせる判断が望まれるのです。
筋トレは、つい不注意でやりすぎて、自分の限界点を超えてしまいます。日頃の精神的なストレスが、かえって興奮を呼んで、肉体に無理なストレスを与えてしまうこともあります。
体力を過剰に消耗させることで免疫系が損傷されると、病気にかかりやすくなります。
また、けがをしやすくなり、過労のため頭の思考がすっきりしなくなります。
これは、あなたが達成しようとしている「健身」つまりフィットネスの目標とは、正反対のものではないでしょうか。
一流のアスリートであれば一般論とはまた別ですが、普通の愛好者が筋トレをしている時は、十分な休息を取らなければなりません。自分の体を変えていくには、労力とともに、十分な時間も必要です。
オーバートレーニング症候群という言葉があります。筋トレを多く、ハードにすることは、必ずしも良いとは限りません。これは過剰な筋トレが招いた慢性的な疲労状態で、場合によっては危険をともなうものです。
ウェイトリフティングを数回行えば、筋肉をより強く、より引き締める必要があることを体が認識します。ウエイトを何度か上げられるようになると、「この新しいニーズに対応するためには、より多くの筋繊維が必要だ」と、さらに体は認識します。
そこで傷ついた筋繊維の回復と増強に不可欠なのが、タンパク質の補充と十分な休憩です。
日常の筋トレの中で、最も危険なのは合理的な休憩をしないことです。
これでは筋肉を鍛える目的は達成できず、ただ関節に大きな負担をかけてしまいます。それに気づかず続けていくと、ねんざ、肉離れ、関節の損傷が頻発するようになります。
せっかく健康的な肉体を目指してジムに通い、自分で筋トレをしているのですから、間違った方法で体を壊してはいけません。
自分の体の声を聞くため、よくよく耳を傾けてみてください。
筋トレの合間に、十分な休息が取れているかどうかが分かります。そうして適度な運動することによって、あなたが本当に健康で美しい肉体を得られるよう願っています。
(翻訳編集・鳥飼聡)