香港の高層ビル群(Photo by PETER PARKS/AFP via Getty Images)

香港人の約8割は居住を希望…億万長者の数は減少=調査

香港の居住者が香港から離れていく傾向が強まっている。香港の公式移民データによると、2月と3月にそれぞれ6万5295人と6万6334人の住民が転居したという。新しい世論調査では、調査対象となった香港住民の80%近くが移住に関心を持っていることが明らかになった。

3月中旬、調査会社バルトラは18歳以上の香港人500人近くを対象に、オンライン調査を行った。その結果、回答者の79%が移住を「検討中」または「将来的に検討」と答えた。理由の上位3つは「より良い生活環境のため」(51%)、「子供のより良い教育のため」(29%)、「複数の在留資格や国籍を取得するため」(27%)だった。

また、投資移民は比較的居住は容易なため、40%以上の回答者が希望しているという。

バルトラの地域ディレクターであるジェフリー・リン氏によると、今年の第1四半期に約500件の移民に関する問い合わせがあったという。香港の多くの高所得者層は移住の意志を持っており、以前は、移民の80%は安定した収入のある専門家だった。同氏はまた、香港でのパンデミックの落ち着きや、英国での起業家ビザの取り消しなどで、今年のアイルランドへの移民申請件数が増加することが予想されるとの見方を示した。

リン氏は、英国の移民政策が不透明で税制も複雑なため、香港の顧客の一部が英国や台湾ではなくアイルランドへの移民を検討するだろうと予想している。

アイルランドの投資移民プログラムでは、移民が居住権を保持するために1年に1日だけアイルランドに滞在する必要があるため、投資家は既存のビジネスをより柔軟に管理できる。

シティの調査、香港の百万長者は15%減と激減

シティバンクは26日、「香港の億万長者に関する2021年版調査報告書」を発表した。それによると、昨年末までに香港には純資産1000万香港ドル以上の百万長者が43万4000人おり、香港の人口の約7.4%を占めていると推定されている。

しかし、2020年の同時期の同様の調査と比較すると、その数は15%、つまり8万1000人減少していた。2021年の調査は、2021年10月から2022年1月にかけて、21歳から79歳の香港人3786人を対象に、ランダムに電話インタビューを実施したものである。

香港の「億万長者」とは、純資産総額が1000万香港ドル(約1億6600万円)以上と定義されている。これらの億万長者の純資産の中央値は1570万香港ドル(約2億6055万万円)で、2020年同期の1550万香港ドル(約2億5732万)から1.3%の微増となった。資産の約70%は不動産で、残りは流動資産である。

報告書によると、流動資産の中央値は350万から400万に増加した。多くの人の流動資産は、半分近くが現金、3割近くが株式、2割以上がファンドや債券となっている。

投資戦略については、3割以上の人がパンデミックにより、慎重に取り組んでいると回答した。彼らは現金保有を増やし、株式保有や新規投資を減らしている。また、新規投資は低リスクの商品に投資する傾向があった。

パンデミックから2年後、70%以上の人が総資産がパンデミック前の水準に戻ったと、25%近くが総資産がパンデミック前に比べて増加したと回答した。

億万長者の約30%が今年のわずかな経済成長を期待していると答えた。また、24%が今後1年間の不動産市場について楽観視し、60%近くが様子見をしているという。

香港の超富裕層、かつてはニューヨークを凌駕

かつて香港は世界で最も超富裕層が多い都市だった。2018年9月にウェルス-X(Wealth-X)が発表した「世界の超富裕層に関する2018年版報告書」によると、香港は2億3500万香港ドル(約39億320万円)以上の資産を持つ人が1万人以上となり、ニューヨークを超えていたという。

この報告によると、2017年に香港の超富裕層の数は31%増加して約1万人になった。米国で最も超富裕層が多い都市はニューヨークで約9000人だった。3位は東京だった。当時、世界の超富裕層の総数は約25万6000人、総資産は31兆5000億ドルだ。

2020年時点では、ニューヨークが113人の億万長者で1位、2位は香港、3位はテクノロジーの中心地であるサンフランシスコとなった。しかし、2021年には、香港とサンフランシスコは脱落した。

2021年、中国の富裕層は、ブルームバーグが2012年に世界の富裕層の富を記録し始めて以来、最悪の年となった。中国当局が大手の民間企業、特にハイテク産業をターゲットにした規制を行った結果、中国の富裕層は610億ドル近い資産を失うことになった。

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