世界保健機関(WHO)によると、全家庭や店舗の約3分の1がカビに汚染されており、その数は家庭、企業、学校の合計で4500万軒以上にものぼるといいます。換気や断熱、暖房が不十分な建物は、カビが発生しやすいのです。
建物だけでなく、車やトラック、船、バスもカビに汚染されています。環境中のカビは健康にあまり影響がないと思っていても、多くの食品にはカビが含まれている可能性があります。カビにさらされる機会が増えると、これらの微生物が人間の健康に与える影響はより大きなものとなります。
建物からカビを除去するのには、確かにお金がかかりますが、カビが人の健康に与える影響はもっと大きいのです。米国では、カビによる病気の治療にかかる医療費は、すでに年間56億ドル以上となっているなど、カビが原因で起こるさまざまな病気の治療には、毎年数十億円が費やされており、その多くは有効な対策法が確立されていません。
この数字は、かつてないほどのスピードで増加しています。世界保健機関(WHO)の情報によると、カビによる呼吸器疾患だけでも30%~50%増加しており、呼吸器疾患はカビが引き起こす多くの疾患のごく一部に過ぎないことが分かっています。
カビは、毒性の強い毒素を出す微生物群です。米国微生物学会誌に掲載された研究では、これらの微生物が毒素を生成するメカニズム、これらの毒素がヒトに病気を引き起こすメカニズム、そして生物兵器に使用されるメカニズムについて探求しています。そう、カビはとても危険なのです。
カビは現代社会で公衆衛生上の問題となっています。
カビは見えない殺し屋
カビに対する抵抗力は人それぞれです。人によっては、鼻水、頻繁な咳、目のかゆみ、涙目などが、カビ感染の主な症状です。また、喘息が主な症状である人もいます。米国環境保護庁(EPA)の調査によると、米国では450万人の喘息患者がカビを起因としていると推定されています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺閉塞ともいう)やコロナウイルスに新たに感染した人の肺は、すでにウイルスによって弱くなっており、カビによってさらに悪化する可能性があります。
その他、慢性的な基礎疾患を持ち、免疫力が比較的弱い患者や、カビに特に敏感な方は、周囲のカビ汚染に特に注意する必要があります。カビにさらされると、ある一定のレベルまで蓄積され、病気や死亡事故につながることもあります。
また、がん患者さんにとっては、周囲のカビ問題への配慮が特に重要です。
(翻訳・香原咲)
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