皆さんは、顔が赤らむほど恥ずかしいことをした経験はありますか。
初めてのデートで、手のひらから汗が出ますか。
会社でプレゼンをする時、緊張して胃が痛み、口が乾き、心臓がドキドキしますか。
「心と体」は関係しあっている
これらは全て、人間の情緒が引き起こした生理的な変化であり、日常生活ではよく見られるものです。でも、そうした感情が体に与える影響の大きさや深さを、ご存じでしょうか。
それは、病気を引き起こすことも、病気を治すこともできるのです。
慢性的なストレスが健康に悪いことは、よく知られています。西洋医学でさえ、病気の90%はストレスによるものか、ストレスと関係があると認めています。
しかし多くの人は、感情の健康への影響を軽く見ているのではないでしょうか。その理由の一つは、私たちが物質面から病気を見ることに慣れすぎているからです。もう一つの理由は、ほとんどの人が、感情が病気を引き起こす事実を信じていないことです。
以下、私の母の実話を、皆さんと共有したいと思います。
母は20歳の頃から病気がちでした。最初は腎臓病です。以来何十年もの間、彼女は多くの病気を患ったので、病院で処方される薬も大量になり、母の体はまるで錠剤を詰める「薬瓶」のようになりました。
一時は1日15種類の薬を飲み、病院に出入りするのが日常となりました。何度も心臓発作を起こし、何回も脳卒中を起こしたのです。私たち家族はその間、彼女がいつ死んでしまうのかと、恐怖と不安の中で暮らしてきました。
「深い悲しみ」が招いたもの
3年前、父が亡くなりました。
その後、母の体に一つだけ残されていた腎臓(それは外から移植された腎臓でしたが)が機能不全になりました。母は腎不全のほかに、心臓病、2型糖尿病、甲状腺障害、てんかん発作、皮膚がん、関節炎、高血圧、さらに中性脂肪が高すぎる上、結腸ポリープがあります。
医師は「もう何もできない」と言いましたが、私は諦めたくなかったのです。私は、全身が病気だらけの母に、できることは何でもしようと決めました。
栄養不良、有毒の重金属、食物アレルギーなどの病気の原因となる因子を特定し、それを除去する方法を考えました。母が口にする食事は、全て私の手でまかないます。
私は、食事療法のセオリーに従って、食事を根本から改善しました。母には、きれいな良い水を飲ませ、朝の散歩や日光浴を勧めます。
7ヶ月後、母の体の病気は、高血圧を除いて、全て改善されたのです。その結果、それまで15種類の薬を飲んでいた母が、3種類にまで減らすことができました。
「健康になった母」の死
とにかく、すごいことをしたと思います。
例えば、母親は何十年もの間、毎日3回の食事と寝る前にインスリンを打っていましたが、7カ月間の食事療法と生活習慣の調整を経て、糖尿病はほぼ全快したのです。
母の担当医は、信じられないほど多くの検査をして、何か健康上の問題を見つけようとしましたが検査結果はすべて正常でした。心臓病、糖尿病、がん、関節炎、腎不全もなく、他の病気の徴候も見つかりませんでした。
しかし、それから数カ月後に母は亡くなったのです。
20歳での発病から約50年。その50年間で「一番健康だったとき」に亡くなるというのは、一体どうしてなのでしょうか。
私も以前は慢性的な持病があり、それは6年前まで治りませんでした。自己免疫疾患です。これは死にそうなほど辛く、深刻な病気です。
私の症状と発病の過程は、腎臓病、ポリープ、関節炎、高コレステロール値も含めて、母の場合と良く似ていました。私も母と同じように、全ての病気が治りました。
取り除けなかった「悲しみ」
しかし母には一つだけ、ずっと治らず、最後には命を奪った病気がありました。
母は、俗に「失恋症」とも呼ばれる「圧迫性心筋症」で亡くなったのです。母は父の一周忌の日に、心臓の痛みを覚えて救急外来を受診しました。病院で一連の検査を受けた結果、心臓発作症候群と診断されました。
母は、高血圧以外の全ての病気を克服することができましたが、高血圧だけは克服することができなかったのです、その理由が、ようやく分かりました。
母の高血圧は、「夫を失った過度の悲しみが不安や恐怖を生み、それが血圧上昇につながる」という、気持ちの辛さが招いた生理的現象だったのです。
私は母と心を開いて語り合い、一緒に悲しみに向き合おうとしましたが、母は結局心を開きませんでした。母の死は、そうして訪れたのです。
「心のもち方」が病を治す
私の母の実例は、ネガティブな感情が解消できなければ、病気になるだけでなく、死に至ることもあること教えてくれます。
逆に言えば、「天は私たちに、感情のもち方を変えることで、心身の傷を治す力を与えてくれた」ということにもなります。
この「奇妙な才能」には素晴らしい例証があります。それは「自発的回復」です。
通常の治療を行わずに疾患が消失した場合は、「自然寛解(しぜんかんかい)」と呼ばれます。これは完治と同意義ではなく、再発の可能性は含まれていますが、ともかく病状が落ち着いて、消えている状態を指します。
全ての病気は「自然に良くなるケース」があり、がんも例外ではありません。
人間の体が「自然治癒力」を持っていることは明らかですが、この能力は、どのような場合に、最大限に発揮されるのでしょうか。
「許す」ことの大切さ
自然治癒力は、多くの場合、次のような場合に発揮されます。それは「誰かを心から許す」あるいは「誰かに対する否定的な感情を打ち消す」など、寛恕(かんじょ)を代表とする、特定の心理状態をもった場合です。
1984年のある研究で「自然寛解」を検討した事例がありますが、それによると「がん患者は、発病する前から、心に憂鬱な問題を抱えている場合が多い」と言います。
これを逆に読み取ると、ネガティブな感情から解放されることで病気は改善され、病根は消失するということです。繰り返しますが、人間の感情は、良くも悪くも、人体の生理に影響を与えることができるのです。
ぜひ、ご記憶にとどめておいてください。
あなたは、この「不思議な治癒力」を使って、あなた自身の健康を守ることができます。
気分を変えるだけで、体も変わるのです。
(文・Sina McCullough/翻訳編集・鳥飼聡)
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